レビュー
概要
『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』は、閉経と更年期を「よく分からない不調の時期」から、「仕組みが分かり、対処の選択肢を持てる時期」へ変えてくれる実用書です。婦人科医の対馬ルリ子さんと、美容家の吉川千明さんが、長年続けてきた「女性ホルモン塾」の経験をベースに、体と心と美容まで含めて“閉経前後のリアル”を整理します。
本書が扱う不調は、ホットフラッシュやほてり、頭痛、動悸、めまい、関節痛、消化器症状、冷え、乾燥、尿もれ、睡眠障害、うつ・イライラ、意欲や記憶力の低下まで幅広い。ここまで書き並べられると、「これ全部、更年期のせいなの?」と不安が増えそうですが、むしろ逆で、「なぜそうなるのか」「どう対処すればいいのか」「どこに相談したらいいのか」を、具体的に分解してくれるので落ち着きます。
読みどころ
1) 章立てが“困りごと順”で、迷子になりにくい
第1章で閉経のリアルを押さえ、第2章で女性ホルモンの基礎を整理し、体の不調・心の不調・美容と乾燥・対策・かかりやすい病気・検診へと進みます。「今困っていること」から逆引きしやすい構成です。
2) 婦人科との付き合い方を「患者力」として教える
更年期は我慢大会になりがちですが、本書は受診のしかたや相談のしかたを、恥や遠慮ではなくスキルとして扱います。ここが、読後の行動につながりやすいポイントです。
3) 骨盤底筋、乾燥、肌など“生活の困り”に踏み込む
閉経前後の話がホットフラッシュだけで終わらず、尿もれや肥満と絡む骨盤底筋ケア、美容・乾燥トラブルまで射程に入ります。毎日の生活に直結する論点が多いです。
本の具体的な内容
本書は、次のような章で構成されています。
- 第1章 あなたの知らない「閉経」のリアル!
- 第2章 おさらい!「女性ホルモン」の基礎知識
- 第3章 見逃さない!あきらめない!閉経前後の「体の不調」
- 第4章 尿もれにも肥満にも。欠かせないのは「骨盤底筋」ケア
- 第5章 悩んでるのはあなただけじゃない!閉経前後の「心の不調」
- 第6章 婦人科と賢くつきあう「患者力」を育てよう!
- 第7章 SOSが止まらない!閉経前後の「美容トラブル」
- 第8章 早めのケアで差がつく!閉経前後の「乾燥トラブル」
- 第9章 不調がラクになる!令和版「女性ホルモン対策」
- 第10章 知ることで心の準備を!閉経前後に「かかりやすい病気」
- 第11章 「60歳」になったら気をつけたいこと
- 第12章 自分の体のこと知ってる?1年に1回は受けたい「女性検診」
特徴的なのは、第3章〜第5章で体と心の不調を分けて整理しつつ、第4章で骨盤底筋ケアに独立してページを割いている点です。更年期の話は“気分の問題”に寄せられやすいけれど、尿もれや体型変化のように生活の質を直撃するテーマを、具体的なケアとして扱っているのが実用的です。
また、第6章の「患者力」は、婦人科に行く/行かないの二択ではなく、相談の準備、症状の伝え方、検診の受け方など、受診を“自分の味方にする”視点で書かれています。さらに終盤では、閉経前後にかかりやすい病気や、60歳以降の注意点、年1回の女性検診へとつながり、閉経を「通過点」として人生後半の健康設計に接続します。
付録として、受診時に役立つ情報や検診データを書き込める保存版の「マイカルテ」も用意されており、読んで終わりになりにくい。体調の変化を“気のせい”にせず、記録と相談で扱える問題に変えていくための道具が入っています。
「令和版・女性ホルモン対策」の位置づけが現実的
第9章は、気合いで乗り切るのではなく、選択肢を並べて“自分に合う組み合わせ”を選ぶパートです。生活の整え方だけでなく、医療の力を借りる可能性も含めて視野を広げてくれるので、「病院に行くほどじゃないかも…」という迷いが、判断の材料へ変わります。
こんな人におすすめ
- 40代後半〜50代で、体調や気分の波が大きくなってきた人
- 更年期症状っぽいけれど、何から手をつければいいか分からない人
- 婦人科に相談したいが、何を伝えればいいか不安な人
- 美容や乾燥、尿もれなど、生活の困りごとを含めて整えたい人
- パートナーや家族として、更年期を正しく理解したい人
感想
更年期のしんどさは、「症状そのもの」だけでなく、「説明できない」「相談しにくい」「正しい知識がない」ことで増幅すると思います。この本は、閉経をタブー扱いせず、体・心・美容・検診までを一冊の地図にまとめ直してくれるので、まず安心感が出ます。特に良かったのは、骨盤底筋ケアや乾燥トラブルのような、日常の困りを具体テーマとして扱っているところ。生活の中の不便は我慢しがちですが、我慢しないでいい、と言い切ってくれるのが心強いです。
閉経は誰にでも来ます。でも、備え方は選べる。本書はその「選べる」を、知識と道具(マイカルテ)で支えてくれる。更年期を“耐える期間”ではなく、“整え直す期間”として捉えたい人に、かなり頼れる一冊でした。