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レビュー

概要

『ザ・シェフ三國の究極家庭おかず』は、高級フレンチの再現本ではなく、毎日の食卓を少しずつ底上げするための料理本です。三國清三といえば「オテル・ドゥ・ミクニ」のシェフとして知られていますが、本書で前面に出ているのはレストランの特別感ではありません。和食、洋食、中華の定番おかずを、家庭で無理なくおいしく作るための考え方です。

収録は80品。ハンバーグ、カレーライス、しょうが焼き、ギョーザといった本当に出番の多い料理から、ステーキ、ドリア、パスタ、丼、さらに北海道レシピ、おつまみ、スイーツまで幅広く入っています。この幅の広さがまず強いです。料理本で生活に効くのは、「たまに使う華やかな1品」より、「何度も作るいつもの一皿」の精度が上がることです。本書はそこをよくわかっています。

読みどころ

いちばんの読みどころは、プロの料理人の本でありながら、食材はスーパーでそろうものを前提にしている点です。料理本は見た目がよくても、珍しい食材や調味料が並んだ瞬間に実用性が落ちます。本書はそこを避けていて、家庭の台所で再現できる範囲にしっかり着地しています。だから読者は「すごい料理を眺める」のではなく、「次の週末に作れそうだ」と思いながら読めます。

また、「簡単でも味が決まる」という約束がかなり明快です。家庭料理で難しいのは、凝った技術より、ふつうの料理をちゃんとおいしく仕上げることです。しょうが焼きやハンバーグのような定番ほど、なんとなく作ると差が出やすい。本書には ミクニ流極意ミクニ流家庭料理の基本 も含まれていて、レシピだけでなく「なぜその味になるのか」を持ち帰れる構成になっています。ここが長く使える理由です。

さらに面白いのは、北海道レシピが独立しているところです。ジンギスカン、あんかけ焼きそば、ラーメンサラダといった地域色のある料理が入ることで、本は単なる定番おかず集に留まりません。平日は定番、休日は少し気分を変える料理やおつまみ、甘いものまで広げられる。この使い分けができると、一冊の稼働率はかなり上がります。

章立てのバランスも実用的です。定番おかず、ごちそうおかず、北海道レシピ、アペロとおつまみ、ひと皿ごはん、スイーツまで入るので、夕食だけでなく週末や来客、ちょっとしたご褒美まで一冊でカバーできます。料理本は用途が狭いと結局開かなくなりがちですが、本書は台所の近くに置いて長く使うイメージが湧きます。

類書との比較

家庭料理本には、時短重視の本、節約重視の本、健康管理重視の本があります。本書はそのどれか1つに特化するより、「定番料理の完成度を上げる」ことに軸があります。派手な裏ワザや極端な効率化ではなく、日々の料理がちゃんとおいしくなる方向です。だから、料理初心者が最初の一冊として持つより、ある程度作ってきた人が「いつもの味を一段上げたい」と思ったときに特に効きます。

また、プロのシェフ本にありがちな緊張感が薄いのも良い点です。高級店の技術をそのまま持ち込むのではなく、家庭向けに翻訳し直しているので、読者が萎縮しにくい。料理の達人が上から教える本ではなく、家庭料理そのものに敬意を払っている本として読めます。

主婦の友社の紹介にある「家庭料理を知らずに育ったシェフの思いがこもった80品」という説明も、本書の空気をよく表しています。料理の巧さを見せつけるというより、家庭の食卓にある料理へ憧れや敬意を向けている。その姿勢があるから、定番おかずを見直す本として不思議なあたたかさがあります。

こんな人におすすめ

毎日の自炊をもっとおいしくしたい人、定番料理を自己流のまま続けてきた人、和洋中を一冊で見直したい人に向いています。料理が苦手でも、少しずつ自信をつけたい人にはかなり相性がいいです。反対に、映える一皿だけを短時間で増やしたい人より、暮らしの基礎体力を上げたい人向けです。

家族の食卓を回している人にも、一人暮らしで料理の型を作りたい人にも使えます。定番おかずが強くなることは、結局いちばん日常に効くからです。

感想

この本の良さは、「家庭料理を軽く見ていない」と感じられるところでした。ハンバーグやカレーのような誰もが知っている料理ほど、実は差が出るし、飽きずに続けるのが難しい。本書はそこに真正面から向き合っていて、家庭料理の価値をきちんと高く置いています。

特に印象に残るのは、プロの肩書きが前面に出ているのに、読後の気分は「真似できない」ではなく「作ってみたい」になることです。定番、北海道レシピ、おつまみ、スイーツまで入っているので、単なる日常使いだけでなく、料理そのものを少し楽しくしてくれる。自炊を義務ではなく、暮らしの質を上げる技術として見直したい人にとって、かなり頼れる一冊です。

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    佐々木 健太

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