レビュー

概要

『深堀真由美の基本のヨガ入門』は、ヨガを始めたい人が「何をどう動かせばいいか」を、基礎から順番に積み上げられる入門書です。DVD付きという形式も含めて、読んで理解するだけでなく、実際に動いて体に覚えさせることを前提に作られています。

ヨガの初心者がつまずくのは、ポーズの名前や形そのものより、「どこに力を入れて、どこは抜くのか」「呼吸をどう合わせるのか」「痛みと伸びの違いをどう見分けるのか」といった、体の使い方の部分です。本書はその“使い方”を、基本に寄せて整えてくれるタイプの一冊だと感じました。

読みどころ

1) まず「基本」を固めるので、自己流になりにくい

ヨガは自由度が高い分、動画の真似だけだと自己流になりがちです。形だけ似ていても、背中が丸まり、肩がすくみ、腰に負担が集まる。結果として「効いているのか分からない」「痛めた」で終わることもあります。

本書は“基本の入門”として、難しいポーズに飛びつくより、呼吸と姿勢、体の軸を整えるところから入ります。ここを飛ばさない構成は、長く続ける上でかなり重要です。ヨガは上達より先に、ケガなく続けることが勝ちだからです。

2) DVD付きで「動きの誤差」を減らせる

ヨガ本の弱点は、写真や図だけだと動きの流れがつかみにくいことです。特に、呼吸と動作のタイミング、手足を運ぶ順番、体重移動の感覚は、静止画では伝わりにくい。

DVD付きだと、ここが補えます。見ながら動けるので、「本に書いてある通りにやっているつもり」問題が起きにくい。最初の段階では、正確さより“続けられる自信”が必要ですが、映像があるとその自信が作りやすいと感じました。

本書のDVDは、太陽礼拝の一連の流れ(A・B)を含む“家で回せるプログラム”として構成されていて、合計で約63分のレッスンになっています。具体的には、まず「体を整えるヨガ」のようにコンディションを整える回があり、そこから「美しくなるヨガ」「バランスアップヨガ」「健康になるヨガ」と、目的別に4つのプログラムが用意されている形式です。今日はどれをやるかを選べるので、続ける側の心理的負担が軽い。

3) 体が硬い人ほど、最初に「呼吸」を覚える価値がある

ヨガを始めるとき、柔軟性の不足を気にする人が多いのですが、実際には呼吸が止まっていることのほうが大きな壁になります。呼吸が止まると、力が入り、可動域が狭まり、余計にきつくなる。そして「自分は向いてない」となる。

本書は入門として、ポーズの上手さより「呼吸を合わせる」ことに意識を戻してくれる。ここができると、同じポーズでも楽に感じる瞬間が出てきます。ヨガの“効き方”が変わる入口として、かなり大事なポイントです。

4) ポーズが「目的別」に整理されていて、選びやすい

ヨガのポーズは、ただ種類が多いだけだと迷います。本書は、体を整えるポーズ、不調の改善を意識したポーズ、きれいになるポーズといった形で、目的別に整理されています。

たとえば体を整える側には、ワニのポーズやねじりのポーズのように、背中や体幹をほどいて姿勢を整える動きが入りやすい。さらに、ガス抜きのポーズ、コブラのポーズ、橋のポーズ、バッタのポーズ、弓のポーズといった、背面を使って胸を開く動きも登場します。こうした“名前は聞いたことがあるけど、やり方が曖昧”なポーズを、入口の本で一度ちゃんと押さえられるのは大きいです。

類書との比較

流行の宅トレや短期ダイエット系のヨガは、ハードに動いて汗をかく方向に寄ることがあります。もちろんそれも1つですが、初心者が最初に必要なのは、汗よりも「正しく動ける土台」です。本書はその土台を優先している点で、入門としての価値が高いと思います。

一方で、瞑想や哲学としてのヨガを深掘りしたい人には、別の本が必要かもしれません。本書はあくまで「体を動かすヨガ」を安全に始めるための導入。目的が明確で、その分、使い方も明確です。

こんな人におすすめ

  • ヨガを始めたいが、何からやればいいか分からない人
  • 動画の真似で続かなかった人(自己流になって不安な人)
  • 体が硬くて、ストレッチが苦手な人
  • ケガなく、基礎から積み上げたい人

感想

ヨガは、習慣にできた瞬間から強い運動です。でも多くの人は、始める段階でつまずきます。動きが分からない、続かない、痛める、恥ずかしい。そうした“最初の障害”を下げるには、基礎に寄せた教材が必要です。

本書は、派手な成果を約束するというより、「続けられる形を作る」ことに力点があります。DVD付きという形式も含めて、家で無理なく始めやすい。ヨガを長く続けるための入口として、堅実で頼れる一冊だと感じました。

個人的には、太陽礼拝が入っているのが嬉しいポイントでした。太陽礼拝は、呼吸と動作をつなぎ、全身をまんべんなく使う“ヨガの定番の流れ”ですが、初心者ほど順番があいまいになりやすい。本書は映像で流れを確認できるので、形だけでなく「どのタイミングで息を吸って吐くか」まで合わせやすくなります。

いきなり長時間やる必要はなく、まずは1プログラムを週に数回回すだけでも、体の感覚が変わってきます。続くと、ポーズの上手さよりも「呼吸が通る」「姿勢が戻る」といった変化が先に出てくる。その変化を拾いながら、基礎を積み上げていける入門書でした。

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    佐々木 健太

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