レビュー
概要
『講談社 学習まんが 日本の歴史(全20巻セット)』は、受験や学び直しの土台として「日本史を一気に通す」ための大型セットです。全20巻に加えて、歴史人物データカード120枚などの特典が付く構成で、読むだけで終わらず、暗記や復習まで含めて回しやすいように設計されています。
日本史は、用語を覚えるほどバラバラになり、流れを追うほど細部が抜けます。このセットは、その分断を漫画のストーリーでつなぎ直し、「人物と事件が同じ時間軸で動く」感覚を作ってくれます。特に、中学受験や高校受験で日本史が苦手になる子どもは、暗記ではなく“物語”が必要なことが多い。学習まんがの価値は、そこにあります。
読みどころ
1) 全20巻で「通史の骨格」ができる
日本史が伸びない人の多くは、知識がないのではなく、知識の置き場所がない。縄文・弥生、平安、鎌倉、戦国、江戸、近代……それぞれを別の科目として覚えてしまい、つながらない。全20巻で通史を通すと、「前の時代の未解決問題が次の時代へ引き継がれる」ことが見えてきます。
たとえば、土地の支配の仕組み、武士と朝廷の関係、中央と地方の緊張、税や財政の問題。時代が変わってもテーマが形を変えて残る。これが分かると、年号や用語の暗記が“意味を持つ”ようになります。
歴史の勉強で効くのは、「この人物は何をした人?」より「なぜその人物が必要になった?」を掴むことです。人物や事件は、突然現れるのではなく、時代の条件が積み上がった結果として現れます。学習まんがは、その条件を“場面”として見せられるのが強い。だから、人物名の暗記が苦手でも、「このとき困っていたのは何か」「どう解決しようとしたか」が残りやすい。結果として、用語が後から追いついてきます。
2) データカードが「思い出す訓練」に使える
学習まんがは、読んで楽しい反面、記憶は薄れます。だから、復習の道具が必要です。人物データカードが付いていると、「読んだ後に思い出す」を自然に挟めます。
カードは、子どもにとっては遊びに近い形で回せるし、大人にとってはスキマ時間の復習に使える。読む→カードで確認→分からない巻に戻る、という往復ができるだけで、学習効率はかなり上がります。セットは大きいですが、回し方があると強いです。
3) 受験だけでなく「教養の地図」にもなる
日本史の教養は、ニュースや旅行の理解を一段上げます。寺社や城を見たときの解像度が上がるし、政治の言葉の由来も分かるようになる。受験が終わった後も、全巻が“地図帳”として残るのが、学習まんがセットの強みです。
特に、歴史に苦手意識がある人ほど、最初に専門書へ行くと挫折しやすい。まず漫画で全体像を掴んでから、興味が湧いた時代を深掘りする。この順番のほうが、結果として詳しくなれます。
たとえば旅行で京都や鎌倉へ行ったとき、「ここは〇〇時代の話だった」と思い出せるだけで、景色が変わります。現代のニュースでも、外交や税、制度改革の話が出たときに「昔も似た構図があった」と気づける。歴史の教養は、正解を当てるためだけではなく、世界の理解を厚くするためにある。本セットは、その教養の入口としても使いやすいと思います。
類書との比較
学習まんがの日本史セットは各社から出ていますが、違いは「どこまで受験寄りか」「どこまでストーリー寄りか」「資料や特典の充実度」です。本セットは特典が厚く、読んで終わりになりにくいのが良いところです。
一方で、漫画はあくまで入口です。細かい論述や資料問題の対策は、別の教材が必要になります。ただ、入口が強いと、その後の教材が効きます。歴史を嫌いにならずに進めるための土台として、かなり堅い選択肢だと思います。
こんな人におすすめ
- 中学受験・高校受験で日本史の「流れ」を作りたい人
- 暗記が苦手で、まず物語として歴史を理解したい人
- 親子で一緒に学べる歴史教材を探している家庭
- 大人の学び直しで、日本史を一気に通したい人
感想
日本史は、覚える量が多いから苦手になるのではなく、「意味がつながらない」から嫌いになります。学習まんがの価値は、そのつながりを先に作れることです。この全20巻セットは、通史の骨格を作り、特典で復習まで支えることで、「読んで終わり」を防いでくれます。
おすすめの使い方は、完璧主義を捨てることです。まずは全巻をざっと通す。次に、カードで思い出し、苦手時代だけ戻る。最後に、年表や資料集で補う。こうやって回すと、歴史は暗記科目ではなく、理解科目として立ち上がってきます。セットとしての値段はしますが、「家に歴史の地図を置く」と考えると納得できる投資だと思いました。
もう1つ付け足すなら、学習まんがは“親の使い方”で価値が大きく変わります。子どもが読んだ後に、「誰が一番偉い人だった?」ではなく「この時代の人は何に困ってた?」と聞くだけで、暗記ではなく理解の会話になります。理解の会話が増えると、受験の暗記も楽になります。セットは大きいですが、家庭の本棚にあるだけで“会話の教材”になる。その点で、単なる参考書より長く効く投資だと感じました。