レビュー
概要
『20代からはじめる お金が貯まる暮らしかた』は、「節約で我慢する」より、「自分の生活に合う形で貯める」ための暮らし本です。著者miiさんは、東京で一人暮らしをしながら、就職3年で貯金500万円を達成した経験をもとに、家計管理のコツをまとめています。給料が高い前提ではなく、家賃も生活費も高い東京で、どうやって不安を減らしながら暮らしを組み立てたのかが軸になっています。
本書の良いところは、貯金を“修行”にしないところです。節約しながらも、趣味のライブや旅行、メイクやネイルなど「楽しみにはお金を使う」前提がある。だから、読んでいて罪悪感が増えません。むしろ「メリハリの付け方が上手い人は、結果として貯まる」という現実に寄り添っています。
内容は3章構成で、1章は家計簿で貯める、2章は暮らしの工夫で貯める、3章はお金を使うときの考え方で貯める、という流れ。貯金って結局、テクニックより「判断のクセ」が効くので、そのクセまで扱っているのが強いです。
特に良いのは、貯金の話が「固定費を削れ」で終わらないところです。住まい探しの考え方や、最低限必要なもの/そうじゃないものの判断、さらに“みんなが持っているから”で買わない視点など、日常の選択に落ちる形で書かれています。お金の知識というより、暮らしの整理整頓の話として読めるので、家計本が苦手な人でも入りやすいと思います。
読みどころ
1) 家計簿が「縛り」ではなく「安心の可視化」になる
家計簿が続かない人ほど、「つけなきゃ」と追い詰められます。本書の家計簿は、管理というより把握。まず現状を見える化して、不安を減らす。その順番なので、やる気が出やすいです。お金の不安は“知らないこと”で膨らむので、把握だけでも効果があります。
2) 東京一人暮らしのリアルが前提にある
地方から出てきた人ほど、東京の生活費は想像以上です。家賃、交通費、ちょっとした外食。本書は住まい探しの考え方や、最低限必要なもの/そうじゃないものの切り分けなど、生活の土台づくりが具体的なので、「机上の節約術」になりにくいです。
3) 「使うときの判断」が言語化されていて再現しやすい
貯金ができる人は、我慢強いというより判断がブレにくい。本書は「みんなが持っている=必要なもの、ではない」という視点を、暮らしの文脈で落とします。SNSで流行が一瞬で回ってくる時代だからこそ、自分軸の判断はかなり大事です。
4) “楽しみを守る”発想が、継続に効く
節約本がつらいのは、生活が灰色になること。でもこの本は、楽しみにお金を使うことを否定しません。むしろ、楽しみを守るために貯める。そこに目的があると、節約は続きます。続かない節約は意味がないので、この前提はありがたいです。
さらに「自分軸」の話が入っているので、流行や周囲のペースに引っ張られやすい人ほど効きます。貯金を増やすために生活を縮めるのではなく、生活の満足度を守りながら“無駄だけ減らす”。ここが本書のいちばん実用的な部分だと感じました。
こんな人におすすめ
- 20代で「貯金したいけど、何から始めればいいか分からない」人
- 一人暮らしで、家計が毎月ギリギリになりがちな人
- 節約を頑張ったのに続かなかった経験がある人
- 趣味や美容も楽しみつつ、将来の安心も作りたい人
感想
この本を読んで良かったのは、貯金が「意志の強さ」ではなく「迷いの少なさ」で決まると感じられたことです。迷いを減らすには、生活の優先順位が必要で、その優先順位を作るには、現状の把握が必要。家計簿で把握し、暮らしの工夫で固定費と変動費を整え、最後に「何にお金を使いたいか」を自分軸で決める。これが揃うと、貯金は結果としてついてくるんですよね。
20代は、経験にもお金を使いたいし、見た目にも投資したいし、交際費もある。でも同時に、貯金がないと落ち着かない。どちらも本音だから、無理に片方を潰すと続かない。本書はその現実をちゃんと分かっていて、「減らす」より「整える」に寄せてくれます。
自己啓発っぽい熱さが苦手な人でも、淡々と生活を整えるテンションで読めると思います。貯金のスタート本として、かなりおすすめです。
読み終えたあとにやると良さそうなのは、いきなり「全部見直す」ではなく、次の3つだけ決めることです。1) 何にお金を使うと満足度が上がるか(趣味・美容・交際費など)、2) 逆に、買っても満足度が上がりにくいものは何か、3) 毎月の固定費のうち“見直す順番”をどうするか。ここが決まると、貯金は“努力”より“設計”になっていきます。
20代のうちに貯めること自体が目的ではなく、貯めた先で何をしたいかまで視界に入ると、生活が少し落ち着きます。そういう意味で、この本はお金の本というより、暮らしの安心を作る本でした。