レビュー

概要

『学校では教えてくれない大切なこと 3 お金のこと』は、小学生が楽しみながらお金の基礎知識を学べる入門書です。漫画と図解を使って、お金の歴史から銀行の仕組み、お小遣いの計画的な使い方までを幅広くカバーしています。金融教育が学校で十分に行われない中でも、家庭での学びの入口として機能する1冊です。シリーズ累計で多くの読者に支持され、「子どもに伝えたいけど伝え方が分からない」という保護者の悩みに応えています。

読みどころ

本書の強みは、子どもが自分ごととして考えられる場面設定が多い点です。お小遣いをもらう、欲しいものを買う、貯金するといった身近な経験を起点に、なぜお金には価値があるのか、なぜ銀行にお金を預けると増えるのかを自然に理解できる構成になっています。

  • お金の成り立ちを「物々交換の不便さ」から説き起こし、歴史的な背景を子ども向けに噛み砕いています。教科書的な説明に終わらず、ストーリーとして記憶に残りやすいです。なぜ貨幣が生まれたのかを理解することで、お金の本質的な機能が見えてきます。
  • 「貯める」「使う」「増やす」という3つの柱で整理されており、お金の機能を体系的に学べます。どれか1つだけでなく、バランスを考える視点が育ちます。目先の欲しいものに飛びつくのではなく、計画を立てて使うことの大切さが伝わります。
  • 銀行の役割や利子の仕組みなど、大人でも曖昧になりがちな基礎を分かりやすく解説しています。親が子どもに説明する際の補助資料としても使えます。銀行は「お金を預かるだけの場所」ではないという理解が広がります。
  • クレジットカードやローンについても触れており、「今手元にお金がなくても買える」仕組みのメリットとリスクを説明しています。子どものうちからこうした知識を持つことで、将来の金融トラブルを防ぐ土台になります。

類書と比べると、本書はエンタメ性を高めながらも、金融リテラシーの土台をしっかり押さえている点が優れています。お金を稼ぐ大変さや、計画なしに使うリスクなど、やや厳しい現実にも触れており、甘い話だけで終わらない姿勢があります。漫画のキャラクターが失敗しながら学んでいく構成が、読者の共感を呼びます。

こんな人におすすめ

子どもにお金の話をどう始めるか悩んでいる保護者にとって、最初の一歩として適しています。お小遣い制度を導入するタイミングで渡すと、子どもが自分で考えて使う習慣が身につきやすいです。金融教育を学校で扱う機会が少ない現状では、家庭での学びの起点として重宝します。また、大人が金融の基礎を学び直す際にも、難しい専門書より入りやすい選択肢になります。教育現場で金融教育を担当する先生が、導入教材として使うケースもあります。

感想

家庭でお金の話をするきっかけを作ってくれる点に価値を感じました。子どもは「欲しいものがあるから買う」という直線的な思考になりがちですが、本書を読むと「買う前に考える」という習慣が少しずつ育ちます。お小遣いを渡す前に家族で読んだことで、使い方について話し合うきっかけが生まれました。

また、貯金の意味を「我慢すること」ではなく「将来のために準備すること」として説明している点が印象的でした。子どもにとって貯金はつまらないものに見えがちですが、目的を持てば達成感に変わります。そうした視点の転換を促してくれるのがありがたいです。ゲームを買うために毎月少しずつ貯めるという経験は、大人になってからの資産形成の原型になります。

親子で読めば、普段の会話では出にくいお金の話題が自然に広がります。教育的な押しつけ感がなく、子どもが楽しんで読める設計が良いです。金融教育の入口として、家庭に1冊あるだけで安心できる本だと感じました。

本書を通じて、お金は「ただ使うもの」ではなく「考えて扱うもの」だという意識が子どもに芽生えます。小学生のうちにこの感覚を持てると、中学・高校での判断力にも良い影響が出ます。早い段階での金融教育の重要性を再認識させてくれる1冊です。

2022年から高校で金融教育が必修化されましたが、小学生のうちから土台を作っておくことの価値は大きいです。本書はその土台作りに最適な教材であり、親子のコミュニケーションツールとしても機能します。お金の話を「タブー」にしない家庭を作る第一歩として推薦したいです。

シリーズの他の巻と合わせて読むと、より幅広い知識が身につきます。本巻はお金に特化していますが、整理整頓や時間管理など、生活全般のスキルを扱った巻も人気があります。子どもの興味に合わせて選べるのがシリーズの強みです。

本書のイラストは明るく親しみやすいタッチで、漫画を読み慣れていない子どもでも抵抗なく入れます。文字量も適切で、一気に読み切れる分量が子どもの達成感につながります。読書習慣のない子どもにとって、本を読む楽しさを知るきっかけにもなります。お金の知識だけでなく、本を読むことへの前向きな姿勢が育つのは嬉しい副産物です。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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