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レビュー

概要

『女子うつは食事が9割: 本当のPMS改善』は、月経前後の気分の落ち込みや強いイライラ、食欲の乱れ、自己否定感といった不調を、根性や性格の問題ではなく、栄養状態と生活習慣の問題として捉え直す本です。PMS・PMDDアドバイザーあゆ氏が、自身の経験と学びをもとに、たんぱく質、鉄、ビタミン、血糖コントロール、腸内環境といった要素を整理しながら、日常の食事でできる対策を解説しています。

本書の軸は明快で、症状が強い時期ほど「我慢する」より先に、体の材料が足りているかを見直すべきだという立場です。月経前の不調を精神論で片づける本ではなく、食べ方、間食の選び方、朝食の重要性、サプリメントの考え方まで踏み込んでいるため、実用書として読みやすいです。医療を否定するのでなく、セルフケアで支えられる部分を具体化している点も好感が持てます。

読みどころ

読みどころは、第1に「気分の問題」を食事の問題とつなげて説明している点です。PMS関連の本には共感重視のものも多いですが、本書は血糖値の乱高下、たんぱく質不足、鉄不足、マグネシウム不足のように、体の状態から逆算して考えます。そのため、「毎月つらいのに理由がわからない」という人でも、自分の生活のどこを見直せばよいかが見えやすくなります。

第2に、やることを細かく分解しているのも使いやすいです。極端な食事制限を課すのでなく、朝食で何を足すか、間食をどう変えるか、外食時に何を意識するか、といった単位で考えられます。完璧な献立を作れなくても、一日のどこか一か所を直せばよいと理解できるので、忙しい人でも導入しやすいです。

第3に、サプリメントやプロテインの扱いも、魔法の解決策としてではなく補助線として紹介しているところがよかったです。食事を土台にしたうえで不足分を補うという順番が守られているので、情報に振り回されにくいです。ネット上の断片的な健康情報で混乱している人ほど、本書のような整理された説明が役立ちます。

加えて、症状を観察する視点を持たせてくれるのも重要です。いつ体調が落ちるのか、どんな食事のあとに眠気やイライラが強まるのかを記録するだけでも、自分のパターンが見えてきます。本書は食べる内容だけでなく、振り返り方まで含めて整えてくれるので、単発の気合いで終わりにくいです。

類書との比較

PMS本の中には、メンタル面の共感やセルフコンパッションに重点を置くものがあります。それらは心を軽くする点で価値がありますが、食事の組み立てまで細かく落とし込んだ本は意外と多くありません。本書はそこを強みにしていて、気持ちに寄り添うだけで終わらず、台所と買い物に接続できるのが特徴です。

一方で、婦人科治療や薬物療法を中心に知りたい人には守備範囲が少し違います。本書は医療の代わりになる本ではなく、生活面から症状を支えるための本です。症状が強い場合は受診を前提にしつつ、そのうえで普段の食事を整えたい人が読むと効果を発揮します。

こんな人におすすめ

月経前になると落ち込みやイライラが強くなる人、食欲の乱れや甘い物への衝動が気になる人、PMS対策として何から始めればよいかわからない人に向いています。医療的な支援と並行して、日常でできることを増やしたい人にも相性がいいです。

逆に、短期間で劇的に変わる方法だけを探している人には向きません。本書は地味でも、体の材料を整える方向で少しずつ状態を安定させる本です。

感想

この本を読んでよかったのは、PMSの不調を「自分が弱いから」と受け止めずに済むことです。見方が変わります。気分の落ち込みや怒りっぽさには、睡眠不足やストレスだけでなく、栄養状態も関わっていると考えられます。そう捉え直せるだけで、対策の打ち手が増えます。責めるより整える方向へ切り替えやすくなるのが大きいです。気持ちも軽くなります。

また、食事を変えるといっても特別な料理ばかりではなく、毎日の朝食、昼の選び方、間食の置き換えのような現実的な単位で考えられるのが助かります。症状日記と合わせて使えば、自分にとって悪化しやすい条件も見つけやすいはずです。月ごとの波に振り回されがちな人が、生活を立て直す最初の1冊として読める本でした。

家族やパートナーが読む意味もあります。不調を気分の問題だけで理解しようとすると、本人も周囲も消耗しやすいからです。食事や休み方を一緒に見直す入口としても機能する本でした。

身近な人の理解を助ける本としても価値があります。

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    佐々木 健太

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