レビュー
概要
スポーツドクター/メンタルトレーナー歴が長い辻秀一が、「自己肯定感至上主義」が蔓延した社会に警鐘を鳴らした2022年刊の新書。フォレスト出版の紹介では、自己肯定感を高めることが正義化され、人とのマウンティングやSNS炎上が相次いでいる一因と指摘し、「必要なのは自己肯定感ではなく自己存在感」として、新たな心の守り方を提示する。citeturn0search3
読みどころ
- 冒頭では自己肯定感の議論が「条件付き」になっている実情を整理し、「自己肯定感ハラスメント」という概念を導入。自分の感情や体験に根差した自己存在感を育むことと、「他者評価に依存した自己肯定感の消耗」を区別する枠組みが示される。citeturn0search0
- 中盤では実例としてSNSのコメント欄や職場での指導が取り上げられ、「肯定的な言葉が苦痛を生み、正義感が突き刺さる」状況を、脳科学と心理学の視点から解説。読者が日常で感じる違和感を検証する章構成が特徴的。citeturn0search0
- 終盤には「自己肯定感ではなく自己存在感」がテーマとなり、身体感覚の記述や脳内ホルモンの話を交えて自分の心身を守る具体的ステップを提示。Booklog の感想でも「自己肯定感の意味に近いものを自己存在感と置き換える視点」が読者の納得を呼んでいる。citeturn0search4
類書との比較
『LIFE SHIFT』や『嫌われる勇気』が社会変動や個人の勇気を語る一方、本書は「自己肯定感至上主義」の圧力に注目し、スポーツドクターらしい身体感覚と神経科学を織り交ぜながら「自己存在感」というキーワードを提示する。外部評価への依存を断ち切るアプローチで、『自分の心を守る技術』の延長線上にある。citeturn0search3
こんな人におすすめ
SNSや職場のフィードバックに疲れている人、「もっと自分を認めないと」という声に違和感を抱く人、そして他人の自己肯定発言に責められる思いを強めている人に特に刺さる。自己肯定感に価値を置く論調へのアンチテーゼを求める読者に、自己存在感を育む方法を紹介する。citeturn0search0
感想
「自己肯定感を高めろ」と言われて苦しんだ経験がある人には、本書の「自己肯定感ハラスメント」という概念は胸につかえる。自分の存在に目を向ける自己存在感の話は、身体を扱うスポーツドクターの言葉らしく具体的で、SNSのコメント欄のような外部評価に振り回されるさまを剥ぎ取り、冷静に対処する余地を与えてくれる。citeturn0search6