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レビュー

概要

“社会心理学”という学問を、心理学の基礎知識がない読者にも馴染ませるために、図解と身近なトピックで再編集した一冊。集団の中の個、人間関係、職場や社会の構造までをシリーズ共通の図解デザインで紹介し、歴史的な心理実験(例えばミルグラム実験やロールシャッハテスト)から集団の協力・競争・攻撃性の芽生えを紐解く。現代の働き方や社会現象と心理学のリンクに重点を置き、「社会のあり方」に目を向けることで、日常での対人関係に心理学を応用する土台を作る。

読みどころ

「社会現象と心理学」の章では、SNSで流れる炎上やフェイクニュースをサイコロジーで分析。たとえば集団極性化や社会的証明の働きによって、個の判断がどのように偏っていくのかを図解し、今の情報環境で“心理的な自己防衛”をどう設計するかを示す。また、「職場における心理学」では、リーダーがどのようなフィードバックを与えるとモチベーション曲線が変わるかを、報酬と期待値の図示で解説。「集団や社会の中の個」では、周囲の期待や規範が行動を縛るプロセスをshow and tellすることで、自分を客観視するリフレクションを促す。

類書との比較

『図解 世界の心理学』のように心理学全体を広く扱う書と比べ、具体的な社会・組織の文脈に踏み込んでいる点が本書の強み。『嫌われる勇気』のアドラー心理学が個人の勇気を語る一方で、このシリーズは、個の勇気が集団の文脈にどう影響するかを図で可視化する。『マインドセット』のような思考法に比べて社会的な圧力・規範を重視するため、個人の成長の先にある「社会への影響」を見据えたい読者に向く。

こんな人におすすめ

人間関係に疲れやすい会社員、社会的な場での立ち位置に悩む若手、心理学的知見をチーム開発やプロジェクトの設計に取り入れたい人。逆に、純粋に実験の統計や学術的詳細を読みたい研究者にはやや簡潔すぎるが、「自分の体験」を社会心理学で言語化したい人にはちょうどいい。

感想

図解なのに社会心理学の基本モデルをしっかり押さえ、たとえば「同調圧力」や「集団のリーダーシップ」を実際の会社の会議室に落とし込む手腕が見事だった。図を追っていくと、今の自分がどのバイアスに引きずられているかがわかり、そのバイアスと距離を取るための小さな行動のヒントも得られる。仕事で扱うプレゼン資料だけでなく、家族との会話や地域活動にとっても、社会心理学というレンズをかけた新しい視点を提供してくれた。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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