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レビュー

概要

『起きてから寝るまで英語表現1000 オフィス編』は、仕事の場面で口から出したい英語を、生活の流れに沿って覚えていくタイプのフレーズ集です。会議、電話、メール、出張、雑談、報告、相談といったオフィスの定番場面を、小さな表現のまとまりで積み上げていくので、「文法は少しわかるのに口が出ない」という人にかなり向いています。

本書のよさは、いきなり難しいビジネス英語へ飛ばないところです。まずは短いひとこと、次に行動を表す文、最後にその場で言いたくなる表現へ進む構成なので、丸暗記ではなく使う感覚が残りやすいです。音声ダウンロードが付いているため、通勤や家事の合間に口慣らししやすいのも強みです。

読みどころ

読みどころは、「何を言うか」だけでなく、「仕事のどの場面で使うか」が浮かびやすいことです。一般的な英会話集は旅行や日常生活に寄りがちですが、本書はオフィスに絞っているので、報連相、会議の遅延、タスク確認、同僚との雑談など、実際に困りやすい場面を押さえています。そのため、覚えた表現がそのまま実務へつながりやすいです。

また、つぶやき型で練習できるのも便利です。英語学習は相手がいないと続きにくいですが、本書は一人で口に出して練習する前提があるので、朝の支度中や移動中でも回せます。短いフレーズを繰り返すうちに、仕事で言いたいことの骨格が自然に出やすくなります。スピーキングへの心理的なハードルを下げる本として優秀です。

さらに、仕事英語にありがちな「難しく言おうとしすぎる癖」を和らげてくれるのもよい点です。外資系の洗練された表現を完璧に目指すより、まず通じること、簡潔に言えることを優先する。その姿勢が通底しているので、英語に苦手意識のある人でも取り組みやすいです。

実際、職場で困るのは壮大なプレゼンより、「少し遅れます」「あとで確認します」「この件は担当外です」といった細かな一言だったりします。本書はそうした地味だけれど頻度の高い表現をかなり丁寧に拾っています。大げさな成果より、毎日の詰まりを減らすための英語本として考えると、役割がとてもはっきりしています。

類書との比較

文法書や単語帳は土台づくりには役立ちますが、実際の職場で何を言うかまで結びつかないことがあります。本書はそこを埋めるタイプの本です。逆に、交渉やプレゼンの上級表現を学びたい人には物足りないかもしれませんが、日常業務でまず困らないための本としてはバランスがよいです。

ビジネス英語の本の中にはメールや会議だけへ特化したものもあります。本書は一日の流れ全体を追うので、仕事の英語を生活の中で反復しやすいのが特徴です。細切れ学習との相性がよく、続けやすさではかなり強いと感じました。

また、英語の難度が上がりすぎないので、TOEICの点数はあるのに話せない人にも使いやすいです。知識不足というより、口に出す回路が弱い人も多く、このくらい短く、場面が限定された教材はよく効きます。学習負荷を必要以上に上げず、出力練習へ橋をかける位置づけがちょうどいいです。

こんな人におすすめ

仕事で英語を使う機会が少しずつ増えてきた人、外資系や海外とのやり取りに備えたい人、英会話スクールへ通う前にまず自分で口を慣らしたい人に向いています。特に、難しい文法より先に「とっさの一言」を増やしたい人には使いやすいです。

逆に、ゼロから文法を固めたい人には少し実践寄りです。本書は基礎文法の教科書ではなく、仕事で口に出すための補助輪として使う本です。

感想

この本を読んでよかったのは、英語を「勉強する対象」から「今日口に出すもの」へ戻してくれるところです。仕事英語に苦手意識があると、完璧な文を作ろうとして黙ってしまいがちですが、本書の短い表現はその癖を断ち切りやすいです。まず言えることを増やすという感覚が持てます。

また、音声と一緒に回すと定着しやすいです。眺めるだけで終わらず、口に出してみることで、自分の弱い場面がはっきりします。会議なのか、雑談なのか、報告なのか。その苦手が見えるだけでも大きいです。仕事英語の入口として、かなり実務的な一冊でした。

英語学習は、教材の難しさより継続できるかで差が出ます。その点で本書は、机に向かわない日でも続けやすいのが強いです。短時間で回せて、翌日にすぐ試せる。派手さはありませんが、仕事の英語を日常化したい人にとっては、こういう本がいちばん長く残ると感じました。

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    佐々木 健太

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