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レビュー

概要

『1440分の使い方』は、1日24時間を「1440分」として見直し、成果を出している人たちがどんな時間の守り方をしているかを整理した本です。著者は多くの経営者や高業績者への取材をもとに、時間管理の共通原則を15の秘訣としてまとめています。気合いで頑張る自己啓発本ではなく、予定の置き方、集中の守り方、会議やメールの扱い方まで、かなり具体的に落としてくる実務書です。

この本の軸は、「空いた時間に重要なことをやる」のではなく、「重要なことのために時間を先に確保する」へ発想を切り替える点にあります。やることを増やすのではなく、まず時間の使い道を決める。時間管理の本は多いですが、ここまで徹底してカレンダー中心の考え方へ寄せてくる本は意外と少なく、そこが本書のいちばんの強みです。

読みどころ

読みどころは、時間を「効率化」よりも「防衛」の対象として扱っているところです。たとえば、最重要タスクは朝の早い時間に入れる、会議には目的と終了時刻を必ず持たせる、メールは四六時中見ない、通知に主導権を渡さない、といった原則が繰り返し出てきます。どれも派手な裏技ではありませんが、実際に一日が壊れるポイントを押さえていて、忙しい人ほど効きます。

また、ToDoリストを増やすだけでは結局何も終わらない、という感覚に対してかなり明快な答えを出しているのもよいです。本書では、やるべきことを書き出すより先に、「いつやるか」「何をやらないか」を決めることが重要だとされます。深い仕事、睡眠、家族との時間、運動など、後回しにすると消えやすい予定を先に確保する発想は、仕事だけでなく生活全体を立て直すのに役立ちます。

さらに、個別のコツが全部「注意力を散らさない」という一本の線でつながっているのも納得感があります。ノートを手書きにする、同じメールに何度も触れない、断る力を持つ、一日のテーマを決める。どれも細かな技術に見えますが、実際には意思決定の回数を減らし、大事なことに集中するための工夫です。時間術の本でありながら、集中力と判断力の本としても読めます。

類書との比較

『Getting Things Done』は頭の中の案件を外へ出して整理するのに強い本ですが、本書は整理したあとの「実行時間」をどう確保するかに強みがあります。『Deep Work』が集中の価値を説く本だとすれば、本書は集中を現実のカレンダーにどう埋め込むかまで踏み込みます。思想を語るだけでなく、翌日から予定表を変えたくなるレベルで具体的です。

一方で、人生の有限性を深く哲学するタイプの時間本とは少し違います。本書はあくまで実務者向けで、今の働き方や生活の組み方をすぐ修正したい人に向いています。忙しさに飲まれている人が、「まず何を削って、何を先に置くか」を決めるための本として非常に使いやすいです。

こんな人におすすめ

  • ToDoリストは増えるのに、大事な仕事だけが進まない人
  • 会議、メール、チャットで一日が細切れになっている人
  • 仕事と家庭の両方を回しながら集中時間も確保したい人
  • 時間管理を根性論ではなく仕組みとして見直したい人

感想

この本を読むと、時間管理が苦手なのは意志が弱いからではなく、仕組みが甘いからだと考え直せます。自分の一日を見返すと、集中できないのは能力不足ではなく、最初から他人の予定に開放しすぎているからだとわかります。だから本書のアドバイスは、細かなテクニック以上に、主導権を自分に戻す感覚をくれます。

忙しいのに成果が出ない、終日動いているのに重要なことが進まない、という人にはかなり刺さるはずです。時間を増やすことはできませんが、先に使い道を決めることはできる。その当たり前でいて難しいことを、1440分という数字で強く意識させてくれる一冊でした。

読み終えたら、まず翌日の予定表を15分単位で眺め直してみると、本書の価値がよくわかります。新しい予定を増やすより、意味の薄い会議や惰性の確認時間を削る方が効くと実感しやすいからです。時間術の本は読んで終わりになりがちですが、この本はカレンダーを開いた瞬間から実践に移しやすいのが強みだと思います。

「忙しい」を言い訳にせず、重要な時間を先に守るという姿勢を、かなり具体的に体に入れてくれる一冊でした。

予定表の使い方そのものを変えるきっかけになるので、読後の変化が見えやすい時間術の本です。

再現性も高いです。

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    佐々木 健太

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