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レビュー

概要

『焼きたて!ジャぱん』1巻は、日本人のための“日本のパン”を作るという大きな目標を掲げた少年・東和馬が、パン職人の世界へ飛び込む導入巻です。パン漫画ですが、職人の渋い修業譚というよりは、発想力とリアクションで押し切る熱血料理漫画に近い作品です。和馬は特別な才能を持ちながらも、やっていることはかなり真っ直ぐで、「おいしいパンを作りたい」という気持ちがそのまま物語の推進力になっています。

1巻では、和馬が自分の理想とする「ジャぱん」を追いかけながら、パン屋の採用試験やライバルとの勝負に挑んでいきます。世界一のパンを目指すというより、日本人の口に合う、日本人が誇れるパンを作りたいという発想が軸にあるため、テーマは意外とはっきりしています。大げさなリアクションの楽しさと、パン作りへの真面目な情熱が両立したスタートです。

読みどころ

読みどころは、パン作りの工程そのものがバトル漫画のように見えてくるところです。発酵、焼き加減、生地の扱い方といった基本が、勝負の駆け引きとして描かれます。ただ知識を並べるのではなく、「その工夫がどう差になるのか」を対決の中で見せてくれるので、料理に詳しくなくても楽しく読めます。

また、和馬の発想が「奇抜」で終わらないのも良いところです。日本人に合うパンを作るという目標があるので、ひらめきにも一応の筋があります。無茶なようでいて、ちゃんと「なぜそのパンなのか」が語られる。そのため、ギャグっぽい勢いの強い作品なのに、パンへの愛着は軽く見えません。熱血漫画としての気持ちよさがしっかりあります。

リアクションの派手さも本作の大きな魅力です。おいしさをどう見せるかに全力で、食べた側の反応がしばしば常識を超えます。そこが好みを分けるところでもありますが、作品のテンションを決めている重要な要素でもあります。1巻からすでに「この漫画はここまでやる」という方向性が明確で、勢いに乗れる人にはかなり強いです。

類書との比較

料理漫画の中でも、本作はかなり少年漫画寄りです。『美味しんぼ』のような批評性や、『クッキングパパ』のような家庭料理の実用性とは方向が違います。勝負、成長、ライバル、必殺技のような工夫が前に出ます。料理を題材にしたスポーツ漫画のような読み味があります。

また、パンに絞っている点も特徴です。和食、洋食、ラーメンなど題材が広い食漫画と違い、素材も工程も限定されるぶん、発酵や生地の差をどうドラマにするかが問われます。本作はそこを「日本独自のパン」という目標で引っぱるため、題材の絞り方がうまいと感じます。

こんな人におすすめ

  • 勢いのある料理漫画が好きな人
  • 勝負と成長が前に出る少年漫画を読みたい人
  • パン題材の珍しい作品に興味がある人
  • 大げさな食リアクションも含めて楽しめる人

感想

1巻を読んでまず感じるのは、和馬のまっすぐさが作品全体の明るさを決めていることです。パンを作る理由にひねくれたところがなく、とにかく良いものを作って驚かせたい。そのシンプルな情熱があるので、対決や試験の場面も嫌味なく読めます。技術の話が出てきても、難しさより熱量が先に伝わるタイプの漫画です。

もう1つ良かったのは、「ジャぱん」という目標がちゃんと作品の個性になっていることでした。ただうまいパンを焼くだけなら、ここまで記憶に残らなかったと思います。日本人のためのパンとは何か、という問いがあるから、アイデアに芯が通ります。物語の軸もぶれません。料理漫画として勢いがあります。少年漫画としての強さも十分です。シリーズを読み進めたくなる1巻でした。

パンという題材は地味に見えますが、本作はそこをむしろ武器にしています。食卓に近い存在だからこそ、少しの工夫や違いがドラマになります。和馬の挑戦を見ていると、パン作りの細かい技術より先に、「食べる人を驚かせたい」という熱意が伝わってくる。その熱量が最後まで作品を押していました。

1巻の時点で、和馬の才能だけでなく、パンという題材の広がりも見えてきます。菓子パン、惣菜パン、食事パンと、発想の向かう先が多いので、シリーズとしての伸びしろも感じます。勢いだけに見えて、長く走れる設計になっているのが印象的でした。

食リアクションの大げささも含めて、作品の熱量はぶれません。真面目な技術描写と少年漫画的な誇張が同居していて、他の料理漫画にはない楽しさがあります。導入巻としてのつかみはかなり強いです。

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    佐々木 健太

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