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レビュー

概要

『男子高校生の日常』1巻は、男子校に通う高校生たちのどうでもいい会話、見栄、悪ふざけを全力で描くギャグ漫画です。大事件は起きません。魔法も超能力もありません。あるのは、放課後の教室、河原、文化祭準備、通学路といったごくありふれた場所と、そこで無駄にテンションだけ高い男子たちのやり取りです。

でも、その「何も起きなさ」が本作の武器になっています。マントを羽織って中二病ごっこをしたり、妹のスカートを見つけてどう扱うかで無駄に揉めたり、女子との会話を脳内で盛大にシミュレーションしたり。どれも本質的にはくだらないのに、本人たちは真剣だから面白い。高校時代の時間の無駄遣いそのものを笑いに変えた作品です。

読みどころ

  • 本作の笑いは、ボケが高度だからではなく、「その場のノリを絶対にやめない」ことから生まれます。一人がくだらないことを言い出すと、もう一人が少しズラして乗っかり、三人目が変な方向へ話を飛ばす。誰も話を収めないので、会話が無駄に大きく育っていく。そのテンポが非常にうまいです。
  • 特にいいのは、男子高校生のしょうもない見栄が何度もネタになるところです。かっこつけたい、モテたい、でも中身は全然追いついていない。そのギャップを笑う構図が一貫していて、しかも登場人物を必要以上に悪意でいじらない。だから読んでいて嫌な気持ちになりにくく、ただただ「ああ、こんな無駄な時間あったな」と笑えます。
  • 女子高校生や姉妹など、男子たちの外側にいるキャラクターの使い方も上手いです。彼らが内輪で盛り上がっている滑稽さは、少し引いた視点が入ることでより際立ちます。とくに河原での会話のような回が象徴的です。急に文学っぽい空気を出すのに、結局くだらないまま終わる。その落差に本作らしさがよく出ています。
  • さらに、1話完結の短いギャグが多いので、テンポ良く読めるのも強みです。一気読みしてもいいし、少しずつつまみ食いしてもちゃんと笑える。ギャグ漫画としてかなり扱いやすい構成です。

くだらなさを本気で描く贅沢

この1巻を読んでいると、男子高校生の時間には「何の役にも立たない会話」に全力を出せる贅沢があったのだと気づかされます。モテるためでも、成績を上げるためでもなく、ただ今その場が面白いから続ける会話。その無意味さを真正面から肯定しているところが、この漫画のいちばん気持ちいい部分です。

しかも、そのくだらなさは決して雑に描かれていません。ボケの置き方、ツッコミの間、話が脱線するタイミングまでかなり計算されていて、会話劇として精度が高い。だから、読む側は「高校生ってしょうもないな」と笑いながら、同時に「このテンポはなかなか作れない」と感心もします。何度読んでも別の場面でまた笑える、再読向きの1巻です。

類書との比較

『日常』のようなシュール系ギャグや、『あそびあそばせ』のようなテンション高めの会話劇が好きな人は相性がいいと思います。ただ、本作はそれらよりも「実際にいそうな男子高校生のしょうもなさ」に寄せているのが特徴です。世界が変だから笑うというより、普通の世界で普通の男子が無駄に盛り上がるから笑える。

そのため、派手な設定ギャグより、会話の間やノリの持続で笑わせる作品が好きな人に向いています。大声で笑う回もあれば、じわじわ来る回もあるバランスが魅力です。

こんな人におすすめ

  • 会話のテンポで笑わせるギャグ漫画が好きな人。
  • 男子高校生のしょうもなさを懐かしく感じる人。
  • 大きなストーリーより、短い話を気軽にたくさん読みたい人。
  • 疲れているときに重くない漫画を読みたい人。

しかも、くだらなさの質が回ごとに少し違うので飽きません。純粋にボケ倒す回もあれば、妙に詩的な空気を出してから落とす回もある。短編の積み重ねなのに単調にならず、「次はどんな角度で無駄なことをするのか」を期待して読めるのが1巻の強さです。

感想

1巻を読むと、「高校生の会話って、なんであんなにどうでもいいことを全力で面白がれたんだろう」と思い出します。本作は、そのどうでもよさを切り捨てず、むしろ宝物みたいに拾って笑いへ変えている。だから単なるギャグ漫画としてだけでなく、青春の無駄な時間を描く作品としても妙に味わいがあります。

読み終わる頃には、派手な名場面より、「なんであの会話あんなに面白かったんだろう」という変な余韻が残ります。笑いの質としては大ネタより小ネタの積み重ねですが、それがむしろ強い。何度でも少しずつ読み返したくなる1巻です。

男子校という閉じた空間だからこその変な連帯感や、外から見れば一瞬で終わる出来事を延々と膨らませる感覚もよく出ています。肩の力を抜いて読めるのに、会話劇としての技術は高い。気分転換に読む1冊としてかなり優秀です。

笑いの方向が古びにくく、今読み返してもちゃんとくだらなくて面白いところも、この作品の価値だと思います。

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