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レビュー

概要

『【料理レシピ本大賞受賞】リュウジ式至高のレシピ 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』は、家庭の定番料理を「邪道にして、至高」へ寄せていくレシピ本です。料理の世界では正統派のやり方が尊ばれますが、本書はそこに真っ向から喧嘩を売ります。プロや専門家から見たら「ありえない」作り方でも、結果がうまいなら採用する。うまさと効率を限界まで両立させる。その思想が、100の定番料理へ落とし込まれています。

レシピの方向性は一貫していて、「味の芯を作るポイントだけは外さない」一方で、寄り道は徹底的に削ります。だから、作りやすいのに味が強い。読み物としても面白いですが、本質は台所で効きます。

「至高」の意味(うまい、だけではない)

本書の“至高”は、豪華な食材を使うことではありません。普段の材料で、定番の料理が「自分史上最高の味」に寄るように工程を設計することです。たとえば次のような例が出てきます。

  • 中華の基本を無視して、マヨソースをディップする「至高のエビマヨ」
  • 味つけは煮詰めたケチャップだけでいい「至高のナポリタン」
  • みそ汁ではなく、モツ煮のやり方で作る「至高の豚汁」
  • 魔法の粉で、卵がここまでうまくなる「至高の煮卵」
  • 大事なのは味つけではなく焼き方だと示す「至高の照り焼きチキン」
  • 市販のルウでも最短で最高の味へ寄せる「至高のカレー」

読んでいると、「料理は正しさより設計だ」と感じる瞬間が増えます。

読みどころ

1) 定番料理の“弱点”を、先に潰していく

家庭料理が惜しくなるのは、だいたい同じところです。火の入れすぎ、味のぼやけ、香りの立ち上げ不足、油と塩の扱いの弱さ。本書は、そこを最小限の手数で潰します。

たとえばナポリタンは、ケチャップの水分を飛ばして「酸味」ではなく「旨味」に寄せる発想が肝になります。豚汁は、みそ汁の延長で作るより、モツ煮の作り方へ寄せるとコクが出る。こういう“方向転換”が、レシピの芯になっています。

2) 工程が丁寧で、失敗しにくい

邪道系のレシピは、コツが多いと再現性が落ちます。本書はそこを意識して、工程を丁寧に書きます。結果として、初心者でも「この味に近づける」形になる。レシピ本として重要なのは、再現できることなので、ここは強みです。

3) 「最短距離」に徹するから、続く

料理が続かない理由は、下手だからではなく面倒だからです。準備に疲れる。片付けが嫌になる。気持ちが折れる。本書は、うまいものを作るために本当に必要なことしかやらない、と宣言します。料理を趣味ではなく生活として回したい人に刺さります。

4) 100品という「選びやすさ」

レシピ本の弱点は、載っている料理が多すぎて選べないことです。本書は基本の料理を100品に絞り、食卓の頻出どころを固めています。つまり、冷蔵庫にある材料で「今日の1品」を選びやすい。ここも実用に効きます。

料理が上達するポイントを「工程の意図」で掴める

本書を読んでいると、レシピが単なる手順ではなく、「どこで味が決まるか」を示す地図になっていると感じます。たとえばナポリタンなら、ケチャップを煮詰めて酸味を飛ばし、甘味と旨味を前に出す。豚汁なら、みそ汁の延長ではなく、煮込みのコクを先に作る。照り焼きチキンなら、調味料の配合よりも、焼きの設計が主役になる。

こうした“意図”が見えると、別の料理にも応用しやすくなります。いつもの料理が物足りないとき、調味料を足す前に「香りの立ち上げ」「水分の扱い」「火入れの強弱」のどれが弱いかを考えられるようになる。レシピ本の価値は、再現性に加えて、こういう視点が手に入るところにもあります。

注意点(味が強い=調整が必要な人もいる)

“至高”の方向性は、基本的に満足感が強い味へ寄ります。普段の食生活が薄味寄りの人や、塩分・脂質を控えたい事情がある人は、レシピをそのまま固定化せず、段階的に調整するほうが安心です。

ただ、本書は「うまいものを最短で作る」ための設計図として読むと、調整もしやすいです。どこが味の芯なのかが見えると、芯は残して周辺を少し弱める、という調整ができます。たとえば、コクの出し方は参考にしつつ、塩の強さは自分の基準で合わせる、といった運用です。

感想

この本を読んで感じたのは、料理の上達は「センス」より「判断の数」を減らすことだという点です。定番料理には“外せないポイント”があり、そこさえ押さえれば味は安定します。本書は、そのポイントを具体のレシピに落としてくれます。

「邪道」は、手抜きの言い訳ではありません。必要な工程を残したうえで、不要な工程を切り落とすための言葉です。だからこそ、忙しい日でも作れる。しかも、うまい。定番料理の完成度を上げたい人にとって、台所の相棒になりやすい1冊です。

こんな人におすすめ

  • 定番料理をもっとおいしくしたいが、手間は増やしたくない人
  • レシピ通りに作っても味が決まらず、ポイントを掴みたい人
  • 今日作る献立に迷いがちで、基本の100品を固めたい人

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    佐々木 健太

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