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レビュー

概要

『なぜか夫婦がうまくいく3つの習慣』は、夫婦関係の危機を大きな理念で語るのではなく、毎日の接し方や話し方の積み重ねとして捉える本です。紀伊國屋書店の内容紹介では、「話を聞かない夫、プライドを傷つける妻。『3つの習慣』を続ければ二人の世界は変わる!」とあり、さらに「疲れたな」と思ったときに夫婦で癒される「言葉セラピー」付とも紹介されています。つまり本書は、関係修復を観念論で終わらせず、日常に持ち込める行動へ落とし込もうとする本です。

著者の吉岡愛和さんは、同ページの著者紹介によれば家庭教育カウンセラーとしてセミナーや講演、カウンセリングに携わってきた人です。4世代9人家族のなかで生活してきた経験も書かれていて、本書にもその現場感覚が出ています。理屈より先に、夫婦のすれ違いがどんな言葉と気分の流れで起きるのかを見ています。

本の具体的な内容

目次を見ると、本書は全5章です。第1章は「今、夫婦に何が起こっているか?」。ここでは、結婚前には「こんな素敵な人とは二度と会えない」と思った相手なのに、なぜ離婚の危機まで行くのか、というところから始まります。つまり本書は、いきなり解決法を押しつけません。まず、すれ違い、不安、イライラがどんなふうに積み重なるのかを確認し、夫婦の危機を特別な失敗ではなく、起こりうる関係の変化として扱います。

本書の中心になるのは第2章です。章題は「いい関係は『3つの習慣』の実践から」。ここで著者は、うまくいかないほんとうの理由は3つある、と整理しています。詳細な中身を目次だけで断言しすぎるのは避けたいですが、少なくとも本書が言いたいのは、夫婦問題は「相手が悪い」で終わるものではなく、繰り返される習慣のレベルで見直せるということです。だからタイトルの3つの習慣も、気分が良い日にだけ頑張る方法ではなく、関係の土台を作り直すための反復として置かれています。

第3章「夫婦関係を見つめ直すための8つのメニュー」も実用的です。紀伊國屋の目次では、「パートナーに対して勝手な思い込みがないか確認する」「パートナーのどこが嫌なのか確認する」といった項目が挙がっています。この構成から分かるのは、本書が相手を変える前に、自分の見方や反応を点検する本だということです。夫婦関係がこじれると、「どうして分かってくれないのか」に意識が寄りがちですが、本書はその前提にある思い込みや決めつけを掘り返します。

さらに特徴的なのは、第4章で性生活を独立したテーマとして扱っていることです。章題は「品格のある夫婦生活のすすめ―豊かな性を営むには」。多くの夫婦本は性の問題を避けるか、逆に刺激的に扱いすぎますが、本書は夫婦関係の一部としてまっすぐ取り上げています。なぜ営みが失われていくのか、どうすれば豊かさを取り戻せるのかを考える章があることで、関係修復を会話だけの話にしていません。

最後の第5章「夫婦がいっしょに癒される言葉セラピー」も、この本らしい部分です。「愛がなければ生きていけない」「幸せは1つになることから」といった言葉が並ぶので、抽象的に見えるかもしれません。けれど本書全体の流れを踏まえると、これは単なる美辞麗句ではなく、疲れ切った関係を少しずつ立て直すための言い換えの練習だと読めます。言葉で傷つき、言葉で誤解し、言葉で距離を広げた関係を、もう一度言葉で温め直す発想です。

本書を通して繰り返されるのは、夫婦関係を「勝ち負け」で見ない姿勢です。誰が正しいかを決めるより、どんな習慣が2人の空気を悪くしているのかを見る。大きな事件がなくても、相づちのなさ、決めつけ、軽い侮辱、疲れたときの無関心で関係は崩れる。本書はそこに目を向けています。

類書との比較

夫婦関係の本には、心理学理論を前面に出す本と、説教調の人生訓に寄る本があります。本書はその中間にあり、理屈を振りかざしすぎず、かといって精神論だけにも逃げません。章立てを見るだけでも、現状理解、習慣の見直し、セルフチェック、性、言葉のケアまで順に並んでいて、関係修復をかなり立体的に扱っています。

こんな人におすすめ

  • 夫婦の会話が減り、些細なことで衝突しやすくなっている人
  • 相手を責める以外の立て直し方を探している人
  • 夫婦関係の改善を、日常の習慣から考え直したい人

感想

この本の良さは、夫婦問題をドラマチックに煽らないことです。離婚の危機という言葉は出てきますが、そこで脅すのではなく、なぜそうなるのか、どこから直せるのかを淡々と見ていきます。関係が悪くなるときは、たいてい1回の大事件ではなく、毎日の小さな習慣の積み重ねです。本書はそこをよく分かっていると思いました。

特に、8つのメニューや言葉セラピーのように、読むだけで終わらない構成がよかったです。夫婦本は「大切なのは思いやりです」で終わると役に立ちにくいのですが、本書は思いやりをどう形にするかまで考えさせます。劇的な解決策ではありませんが、むしろその地味さが現実的です。関係を壊すのも日常なら、立て直すのも日常だと納得させてくれる一冊でした。

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