レビュー
概要
『数字でわかる!こどもSDGs 地球がいまどんな状態かわかる本』は、SDGsを「よい行い」や「大切な目標」として抽象的に教えるのではなく、数字で現実を見せてくれる本です。著者はバウンド、監修は秋山宏次郎さん。森林減少、安全な水、CO2排出、海の汚染などを、グラフや比較表を使って小学生にもわかる形で示しています。
この本の強みは、問題の深刻さを感覚ではなくデータで理解させるところにあります。子ども向けの社会問題本は、やさしい反面、現実の輪郭がぼやけることもあります。本書はそこを避けていて、「どれくらい」「どのくらい増えているか、減っているか」が見えるので、話が現実味を持ちます。
読みどころ
- いちばん良いのは、数字がただ載っているだけではなく、理解の入口になっていることです。たとえば森林が毎年どれくらい減っているのか、安全な水を使えない人がどれくらいいるのか、といった情報は、数字で示されると一気に切実になります。子どもにも「本当に起きていること」として届きやすいです。
- グラフ、地図、比較表の使い方もわかりやすく、社会問題の本でありながらデータの読み方の入門にもなっています。数字の大きさだけでなく、増減を見る、比較する、傾向を読む、といった力が自然に育つので、社会科や総合学習にもつながりやすいです。
- また、本書は世界の課題を遠い話で終わらせません。食べ残し、水や電気の使い方、身近なごみの問題などへ戻していくので、「じゃあ自分たちは何ができるか」という会話に移りやすいです。親子読書や自由研究の題材として使いやすいのはこの点だと思います。
- 必要以上に説教くさくないのも大きな魅力です。数字を見せたうえで考えさせる本なので、「こうしなさい」と押しつけられる感じが少なく、子どもが自分で考えやすいです。学びの本として自然な温度感があります。
- 同じシリーズの『こどもSDGs』より一歩踏み込んで、「わかった気」では終わらせない内容です。入門の次に読む本としてちょうどよく、ニュースで聞く言葉を具体的な現実へ接続してくれます。
- 自由研究との相性がいいのも大きな強みです。数字が最初から載っているので、子どもがそこからテーマを広げやすく、グラフをまねして自分なりにまとめる練習にもなります。ただ読むだけでなく、調べ学習の入口としても機能する本でした。
類書との比較
SDGs本には、ストーリーで学ばせるタイプ、イラストで親しませるタイプ、ビジネス目線で解説するタイプがあります。その中で本書は、「数字で理解する」役割がはっきりしています。感覚ではなくデータから考えるので、問題の深刻さや規模をつかみやすいです。
また、子ども向けでありながら、大人が読んでも学びがあります。ニュースで聞いたことがあるテーマでも、数字で並べられると解像度が上がるからです。親子で同じページを見ながら話しやすい本としても価値があります。
こんな人におすすめ
- SDGsをデータで理解したい小学生
- 自由研究や調べ学習の題材を探している家庭
- 社会科や総合学習で使える本を探している大人
- 親子で世界の課題を具体的に話したい人
感想
この本を読んで感じたのは、子どもに社会問題を伝えるとき、数字はかなり強い道具だということでした。感情に訴えるだけでは届かないことも、数字で示されると「そんなに多いのか」「そんなに減っているのか」と理解が進みます。本書はその橋渡しがとてもうまいです。
親としても使いやすい本でした。読んだあとに「うちでは何ができるかな」と自然に話をつなげやすく、押しつけにもなりにくいからです。SDGs入門の次に読む一冊としても、親子で現実をもう少し具体的に見たいときの一冊としても、かなりすすめやすい本でした。
数字が好きな子はもちろん、社会問題が少し苦手な子にも向いていると思います。理由は、善悪で迫るのではなく、まず事実を見せる本だからです。親子で同じページを見ながら対話しやすい、教育的にも扱いやすい一冊でした。
ニュースでSDGsを聞いても実感が湧かない子にとって、本書の数字はかなり有効です。「世界で起きていること」を想像ではなく事実として受け止められるからです。親子で社会の話を始める入口として、とても使いやすい本でした。