レビュー

概要

『0からはじめる囲碁ドリル入門 1』は、囲碁の入門を「解説で理解する」から「問題で定着させる」へ切り替えるためのドリルです。特徴ははっきりしていて、説明・解説がほとんどなく、ほぼ問題のみで進みます。つまり、これ1冊でルールを覚える本ではありません。入門書で理解した内容を、演習として繰り返し確認する位置づけです。

レビューでも「入門書を買ってこの本で演習的な感じがベスト」「学んだ入門書の部分に該当する章を開き、理解度を確認するのに良い」と語られており、用途が明確です。囲碁は、ルールを知った瞬間から「打てる」わけではなく、判断の場面が無数に出てきます。本書は、その判断を小さな問題として切り出し、反復できる形にしています。

本の詳細欄では本の長さが87ページとされており、持ち歩ける薄さです。しかも、シリーズ全巻が入門・初級レベルで、各冊100題という情報に触れているレビューもあります。いきなり分厚い問題集を抱えるのではなく、短距離で「解けるようになった感覚」を作りやすい作りです。

読みどころ

1) 「1章あたり10問」の小ささが、続けやすい

囲碁の練習は、長時間やるほど良いとは限りません。集中が切れた状態で打っても、癖が強化されるだけのことがあります。本書は、1章10問という短い単位で区切られ、パッと開いて終われます。

しかも「バリエーションが配慮されているので、1問1問じっくり取り組むと、章ごとのテーマを深く理解できる」というレビューがある通り、ただの作業になりにくい。短いのに、考えさせる設計になっています。

2) “詰碁だけ”では埋まらない穴を埋められる

囲碁の練習と言うと詰碁が定番ですが、入門者がつまずくのは詰碁の局面だけではありません。レビューにも「詰碁の本などを買ってもまだ難しい」「分からないのは詰碁に出てくるような事柄だけではない」とあり、まさにそこを狙っています。

たとえば、布石を何となく打てても、地の数え方や、形勢をどう判断するかは別問題です。入門者がPCゲームの弱いCOMにも勝てない理由は、局所の正解より、全体の判断のズレにあることが多い。本書は、そのズレを問題として可視化してくれます。

3) 解説が少ないからこそ、学習の順序が大事になる

本書の弱点も、強みと表裏一体です。解説がほぼないため、これ単体だと「なぜそうなるのか」が分からずに止まります。逆に言うと、入門書や講座で学んだ内容を、このドリルで“答え合わせ”する使い方なら、定着の効率が上がります。

「解答の文が簡素すぎる」という声もあり、納得しながら学びたい人は、解説書との併用が前提になります。

また、レビューでは「9路盤・13路盤・19路盤」を対象者として大雑把に考えた、という言及もあります。小さい盤で短い勝負を回しながら、ドリルで判断を補強する。そういう学び方と相性が良いシリーズです。

使い方のコツ

ドリルの効果を最大化するなら、次の回し方が安全です。

  • まず入門書で「その章のテーマ」を理解する
  • ドリルはタイムを気にせず、1問ごとに理由を言語化して答える
  • 迷った問題だけ、入門書へ戻って該当箇所を読み直す
  • 週末に同じ章をもう一度解き、迷いが減ったか確認する

「すぐ次へ」より、「同じテーマで反復」のほうが、囲碁は伸びやすいと感じます。

もう1つのコツは、解答が簡素な分、自分の言葉で補うことです。「なぜその手が急所になるのか」「自分はどこで読み違えたのか」を1行でいいので書く。ドリルが、ただの丸付けではなく、学習ログになります。

囲碁は「何となく打つ」でもしばらくは遊べますが、少し真剣に打つと、形勢判断や地の数え方の曖昧さがすぐ結果に出ます。本書のように、章ごとのテーマを問題で反復できる教材があると、「分からない」を放置せずに戻れるのが大きいです。

類書との比較

囲碁の入門書は、ルールや基本の考え方を丁寧に解説してくれます。一方で、読んだだけでは実戦の判断に移れないことも多いです。逆に詰碁集は、局所の読みを鍛えるのに強い反面、入門者には難度が高く、折れやすい。

本書は、解説で理解した内容を、問題で確認する「橋渡し」の位置にあります。解説は薄い代わりに、演習として手を動かせる。入門書だけで伸び悩んでいる人にとって、学習の穴を埋める類書になりやすいです。

こんな人におすすめ

  • 入門書を読んだが、実戦で何を考えればいいか分からない人
  • 詰碁は難しく感じるが、演習で理解を固めたい人
  • まとまった時間が取れず、短い単位で練習を積みたい人

感想

この本は、囲碁の「分かったつもり」を剥がすのに向いています。解説がないぶん、正解・不正解がはっきり出ます。そこで初めて、自分がどこで迷っているのかが分かる。

囲碁は、知識より判断のゲームです。判断を増やすには、問題を解くしかありません。入門書とセットで使う前提なら、囲碁の最初の停滞期を越える助けになる1冊です。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    森田 美優

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    西村 陸

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    佐々木 健太

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