レビュー
概要
『理由がわかれば自信が持てる!メイクの教科書』は、流行のテクニックを断片的に集めるのではなく、メイクの「基本」と「王道理論」を体系的に学ぶための本です。版元紹介では、「知識がキレイの自信になる」という言葉が掲げられていますが、その表現はかなり正確です。本書は、自己流で何となく続けてきた人が、なぜその手順なのか、なぜその順番なのかを理解するために作られています。
著者のALISAは、現役のメイクアップアーティストであり、YouTube「ALISAのメイク講座」でも支持を集めています。本書では、その実務経験をもとに、特別なコスメへ頼らず、長く使える理論を整理しています。1章のメイクの基本から、2章のベースメイク、3章の立体メイク、4章のポイントメイク、5章の仕上げとメイク直し、6章のスキンケア、7章のQ&Aと用語編まで、流れがかなり素直です。
読みどころ
第一の読みどころは、「理由」を教える構成です。本書は、やり方だけを箇条書きにする本ではありません。版元紹介でも「基本の『理由』を知ることで、今の自分にぴったりのメイクがわかるようになる」と説明されています。ここが重要で、理由がわかると、年齢や好み、トレンドが変わっても応用が利きます。手順の暗記で終わらず、判断力が育つ本です。
第二の読みどころは、章立てのわかりやすさです。1章で全体の基本を押さえたうえで、2章のベース、3章の立体感、4章のポイントメイクへ進むので、何を土台にして何を上に重ねるのかが見えやすいです。さらに5章で仕上げとメイク直し、6章でスキンケアまで入るので、朝のメイクだけで終わらず、1日の流れで考えられます。
第三の読みどころは、イラストと動画導線です。理論や手順はイラストや表組みで整理され、主な工程にはQRコードで実演動画がついています。版元紹介にもあるとおり、指やツールの動かし方は文章だけでは伝わりにくい部分があります。本書はそこをよく理解していて、紙の本の整理された知識と、動画の実践イメージを組み合わせています。
本の具体的な内容
本書の中心は、メイクを「感覚」から「理解」へ移すことです。たとえば、ベースメイクでは何を整えたいのか、立体メイクではどこに陰影を置くと顔の見え方が変わるのか、ポイントメイクでは何を主役にすると全体がまとまるのか、といった発想が必要になります。章立てがそれに沿っているので、読者は自分がどこで迷っているかを切り分けやすいです。
また、5章の仕上げとメイク直し、6章のスキンケアがきちんと独立しているのもよいです。メイク本は塗る工程だけに集中しがちですが、本書は持ちや崩れ方まで視野に入れています。さらに、土台となる肌の状態を整えるスキンケアを切り離さず扱っているので、見た目だけを急いで作る発想になりません。メイクを表面の技巧で終わらせない姿勢が見えます。
巻末のQ&Aと用語編も実用的です。版元紹介では、事前募集の悩みへ答える形で構成されており、SNSやレビューで見かける用語もまとめられています。初心者がつまずきやすいのは、手順以上に、説明や用語の意味がつかめないことです。本書はその段差を埋めてくれるので、独学でも進めやすいです。
類書との比較
メイク本には、流行の顔を最短で再現するタイプと、理論を丁寧に説明するタイプがあります。本書は明らかに後者です。ただし、理論に寄りすぎて難しくなるわけではありません。イラスト、表組み、動画への導線があるので、初心者にも手に取りやすいです。SNSの断片的な情報をつなぎ合わせるより、最初にこの1冊で骨格を作るほうが効率はよいと感じました。
こんな人におすすめ
自己流のメイクに少し不安がある人におすすめです。何年も同じやり方を続けている人、動画は見るけれど理屈が整理できていない人、基本から学び直したい人にも向いています。若い読者だけでなく、年齢や肌質の変化に合わせてメイクを見直したい人にも相性がよいです。美容系の専門学校を目指す入り口として読んでも役立つと思います。
感想
この本を読んでよかったのは、「メイクは才能ではなく理解で上達する」という感覚を持てるところでした。上手な人の動画を見ると、どうしても手先の器用さに目が行きます。けれど本書は、なぜそうするのかを言葉と図でほどいてくれます。だから、ただ真似するよりも、自分の顔に合わせて考える姿勢が身につきます。
印象に残ったのは、基本を知ることが自由につながるという考え方です。王道理論を押さえておけば、流行に振り回されずアレンジできる。これは美容だけでなく、技術書全般に通じる良い作りだと思います。自信がない人ほど、最初の教科書として役立ちます。