レビュー
概要
カット編集やタイトル制作、色彩管理、マルチカメラ、合成といった8つの作例を通じて、Premiere Pro CC の操作と編集のロジックを体験的に学ぶハンズオン本。教材データ・解説動画・エフェクト辞典・素材テンプレートという4大特典を同梱し、「見る」だけでなく自分で「手を動かす」ことを促すスタイルが特徴だ。各章は〈操作→章末チェック→実務への応用〉という構成で、初めての読者でも必ず1件の作品を完成させられるように導かれる。
読みどころ
- チュートリアルはカット編集→タイトル→エフェクト→合成と段階を踏み、マウス操作だけでなくキーボードショートカットとワークスペース設定にも触れる。付録の解説動画では著者が画面を共有しながら操作を説明するので、テキストと動画の往復で精度が上がる。
- 読者の成果物を「魅せる」編集にするため、タイトル制作やアニメーション、色補正の章では「意図」「引き算」「リズム」という3つのテーマを立てて、感情の揺れや視線誘導まで細かくコツを紐解く。アルファチャンネルやクロマキーの合成設定もステップを追っている。
- プロジェクトファイルと素材をダウンロードして即座に実践できる環境を提供しており、各章では「次に入れるべきリファレンス」を示すことで、完成した作品から派生プロジェクトを生むノウハウにも触れている。
類書との比較
『できるポケット+ Premiere Pro CC 2023』のような辞書的解説書が項目ごとの操作を網羅するのに対し、本書は1つの作品を完成させるプロセスを通じて操作を体得する。「どのパラメータをいじって、どう見せるか」に重きを置き、同じく作例重視の『Adobe Premiere Pro Classroom in a Book (2023 release)』よりも日本のユーザー目線でまとめられている点が異なる。また、映像制作に疲れた人向けに『映像がうまくなるカット割りの教科書』が扱う「視線の設計」に相通じる意識があるので、舞台演出から編集への転用も視野に入る。
こんな人におすすめ
スタートアップや中小企業のマーケ担当者、動画を社内外で発信したい個人事業主、Premiere Pro を「自力」で使いこなしたい学生。ソフトウェアの基本操作よりも企画・撮影・納品を見据えて手を動かしたい人にとって、進行管理やテンプレの仕組みまで含めて再現できる。ダウンロード素材と動画解説で、オフィス環境でも勉強会の進行を担える。
感想
資料を眺めるだけではつまったままの「何から始めるか」が、作例を作るうちに自動的に解けていく。Premiere Pro の設定やインターフェースは、この本のように「目標作品」と「目的」をもとに逆算すると理解が速い。書名にある「入門×実践」のバランスを崩さず、手元に素材があるだけで編集を反復できるので、スキルを手堅く仕上げたい人には取っつきやすいバイブルになる。