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レビュー

概要

『マンガで覚える 図解 おこづかいの基本』は、子どもにお金の話をどう教えるか悩む家庭にちょうどいい入門書です。おこづかいを「好きなものを買うためのお金」としてだけでなく、考えて使う、記録する、先の予定に備えるための練習として扱っており、金融教育の最初の一歩としてかなり実践的です。

この本のよさは、子ども向けのやさしさと、家庭で実際に使える現実感が両立していることです。必要なものと欲しいものの違い、貯める目的の決め方、おこづかい帳のつけ方、家族でルールを決める大切さなど、基本のテーマが漫画と図解で整理されています。子どもが読むだけでなく、親が「何から話せばいいか」を考える手がかりにもなります。

読みどころ

読みどころは、抽象的な節約論ではなく、子どもが毎月のおこづかいで実際にぶつかる迷いをそのまま扱っているところです。すぐ買いたいものがある、貯めたいけれど続かない、友だちと比べてしまう、使ったお金を覚えていない。こうしたつまずきが漫画で描かれるので、子どもが自分ごととして受け取りやすいです。

また、本書は「使うな」ではなく「考えて使おう」という立場です。欲しいものを我慢することだけを教えるのではなく、何を優先したいかを自分で決める練習に重点があります。この姿勢がよくて、お金の教育を道徳やしつけだけにしないところに実用性があります。記録、比較、目的設定の3つを自然に覚えられるので、後の家計管理やお金の価値観づくりにもつながります。

親向けの視点でも役立つ部分があります。おこづかいの額をどう決めるか、追加で欲しがったときにどう話すか、手伝いとの関係をどうするかなど、家庭で揉めやすい論点を話し合うきっかけになります。親が一方的にルールを押しつけるより、子どもと一緒に考えるための教材として使いやすい本です。

実際に使う場面を想像しやすいのも強みです。毎月の額を決める前、使い切ってしまって困ったあと、長く貯めたい目標ができたときなど、家庭の中で何度も出番があります。1回読んで終わる本ではありません。親子で手元に置き、何度も見返す本だと思います。

類書との比較

子ども向けのお金本には、投資や経済まで広く扱うものもありますが、本書はもっと手前のおこづかいに絞っています。そのぶん、話が具体的で、家庭ですぐ試しやすいのが強みです。将来の資産運用より先に、「自分で決めて使う感覚」を育てたい段階に合っています。

また、漫画のおかげで説教くさくなりにくいのも利点です。親が直接言うと反発されやすい話でも、本の中の登場人物を通すと受け入れやすくなります。金融教育の入口として、かなり扱いやすい一冊です。

こんな人におすすめ

小学校中学年から高学年くらいの子どもと保護者にとくに向いています。おこづかいを渡し始めたばかりの家庭、なんとなく渡しているけれど使い方を一緒に整理したい家庭にはかなり使いやすいです。学校や地域の金融教育の導入にも向いています。

反対に、中高生向けに投資やキャッシュレス決済まで学ばせたい場合は、もう少し発展的な本のほうが合うかもしれません。本書はあくまで「お金との最初の付き合い方」を整える本です。

感想

この本を読んでよかったのは、おこづかい教育を「節約させること」だけで考えなくなったことです。大切なのは、何に使うかを自分で決めて、その結果を振り返る経験を積むことだとよくわかります。子どもにとっては買い物の本であり、親にとっては対話の本でもあると感じました。

お金の話は家庭ごとの差が出やすく、つい正解を押しつけたくなりますが、本書は子どもが自分の判断を言葉にすることを後押ししてくれます。いきなり高度な金融教育へ進む前に、まずは「お金をどう使いたいか」を親子で話せるようにしたい。そう考える家庭の出発点として、かなり良い一冊でした。

子どもにお金の知識を与えることは、単に損をしない人に育てることではなく、自分の優先順位を考えられる人に育てることでもあります。本書はそこを無理なく教えてくれます。親が読んでも学びがあり、家の中でのお金の会話を少し前向きにしてくれる本でした。

キャッシュレス化が進むほど、子どもはお金の実感を持ちにくくなります。だからこそ、使ったら減る、貯めるには待つ、優先順位を決めるといった基本を早めに体験する意味は大きいです。本書はその入口をやさしく作ってくれます。

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    佐々木 健太

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