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レビュー

概要

『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』は、インテリアを「センス」ではなく「ルール」で整える本です。買い足し前提ではありません。まず配置を変える。視線を集める場所を作る。高さのバランスを整える。そういう“見え方の設計”で、部屋の印象を一段引き上げていきます。

本書が繰り返すのは、「うまくいかないのはルールを知らないだけ」という立場です。だから、読んでいて気持ちがラクになります。おしゃれな部屋づくりに挑戦して挫折した人ほど、刺さるタイプだと思いました。

紹介されるルールは具体的です。たとえば「対角線に何を置くか」「一カ所に目線を集めて見せ場を作る」「背の高い家具を手前にすると広く見える」「クッションは3個」「三角形の法則」「本棚に抜けを作る」など。モノを増やすより、見せ方を変える方向に徹しています。

本の中では「部屋があか抜ける20のルール」を打ち出していて、やることが明確です。インテリアの世界観を語るというより、手順のある作業に落とし込んでくれます。「今日、どこを触れば変化が出るか」が分かる。ここがありがたいです。

読みどころ

1) 「対角線」と「見せ場」で、部屋の印象が一気に変わる

部屋の入口から見たときの対角線上は、いちばん視線が飛びやすい場所です。ここをどう扱うかで、部屋全体の第一印象が決まります。本書はその“入り口の見え方”を軸に、配置を組み直します。

さらに「見せ場を作る」という考え方が分かりやすいです。全部を見せようとすると雑然とします。逆に、視線を集める一点を決めると、周辺が自然に引き立ちます。この「見せる」と「引く」の設計が、あか抜けの正体だと腑に落ちました。

2) ルールが“数字”や“形”で覚えやすい

インテリアの本って、写真の雰囲気で終わりがちです。でも本書は、数字や形で覚えられる要素が多いです。たとえば観葉植物は「130〜150センチ」が効く、クッションは「3個」がまとまる、配置は「三角形」で整う、という具合です。

この手のルールは、迷いを減らしてくれます。部屋づくりで一番つらいのは、正解が分からないまま時間だけ溶けること。目安があるだけで、手を動かす速度が上がります。

たとえば「クッションは3個」というルールは、センスより構図の話だと分かります。1個だと寂しい。2個だと対に見える。3個だとリズムが生まれる。こういう説明があると、感覚で選ばなくて済みます。

3) 「買わない」を前提にしているから、実行に移しやすい

おしゃれな部屋に憧れても、賃貸だったり、狭かったり、子どもがいたりします。そこで「買い足しましょう」から始まると、現実が止めます。本書は「基本は今あるものでOK」と明言して、配置換えから入ります。

結果として、試すハードルが低いです。読んだその日に、対角線上の置き方を変える。棚の一部を“抜け”にする。クッションの数を調整する。こういう小さな実験が積み上がります。

「背の高い家具を手前にすると広く見える」というルールも、すぐ試しやすいです。大きいものは奥に置きたくなります。ですが視線の抜け方を整えると、手前に置いた方がスッキリ見えることもあります。こういう“逆の発想”があると、配置換えがゲームになります。

類書との比較

片づけ本と比べると、本書は「捨てる」より「見せ方」に寄っています。たとえば『人生がときめく片づけの魔法』が“取捨選択”で生活を立て直す本なら、こちらは“配置と視線”で印象を作る本です。モノを減らせない時期でも、手を付けられます。

また、インテリアの写真集系と比べても、本書は再現のための言語化が多いです。雰囲気のコピーではなく、ルールのコピー。だから自分の家に合わせて変形しやすいのが強みだと思います。

「センスがある人の部屋」に寄せると、真似できない部分が残ります。本書はそこを割り切って、ルールの組み合わせで勝つタイプです。だから、ワンルームでも、家族のいるリビングでも、入口の見え方を整えるところから始められます。

こんな人におすすめ

  • インテリアが好きなのに、いつも「なんか違う」で止まる人
  • 買い足しより、まず配置換えで変化を出したい人
  • 賃貸、狭い部屋、子どもがいるなど条件がある人
  • 写真より「なぜそう見えるか」の説明が欲しい人

感想

この本を読んで一番よかったのは、「部屋づくりが面倒に感じる理由」に答えが出たことです。センスの有無ではなく、ルール不在のまま手を動かすから疲れる。だから、ルールを持てばラクになる。言われてみれば当たり前なのに、ちゃんと言語化されると前に進めます。

特に好きだったのは、「全部を良くしようとしない」方向へ導くところです。対角線と見せ場を押さえる。そこから周辺の高さや抜けを整える。これなら、部屋全体の完璧を目指さずに済みます。

実践のコツとしては、一度スマホで部屋を撮ってみるといいです。普段の視点では見えていなかった対角線や、視線が散っている場所が、写真だと分かりやすいからです。そこから本書のルールを当てていくと、作業が迷子になりにくいです。

インテリアに自信がない人ほど、試してみてほしいです。お金をかけずに変化が出ると、次の一手が怖くなくなります。部屋が整うと、気分も整う。そんな相互作用を、最短距離で体験させてくれる一冊でした。

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    佐々木 健太

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