レビュー
概要
『新定番 プレゼンの英語フレーズ1000』は、英語プレゼンを「準備と進行の技術」として支えるフレーズ集です。 紹介文では、国際舞台での実務経験にもとづき、各業界のプレゼンで使われるリアルな英語フレーズを紹介するとされています。 さらに、聴衆を飽きさせないためのインタラクティブな進行のテクニックも解説する、とあります。
フレーズ集は、読むだけでは使えるようになりません。 一方で、必要な場面で口から出るようになると、プレゼン全体の緊張が一段下がります。 本書は新書サイズで携帯しやすく、すきま時間の復習に向いた設計です。
読みどころ
1) 導入、本論、結論、質疑応答まで、場面で切れる
版元ドットコムの目次では、序章に続き、Part 1が導入、Part 2が本論、Part 3が結論、Part 4が質疑応答、Part 5が実践表現、巻末表現集という構成が示されています。 プレゼンの流れで、必要なフレーズが探せる作りです。 英語が得意でも、プレゼンの場面で言葉が詰まる人には、この整理が効きます。
2) 「日本人特有の弱点」を前提にしている
紹介文には、日本人特有の弱点を指摘する、とあります。 典型は、前置きが長い、主張がぼやける、言い切りを避ける、視線が聴衆に向かない、といった癖です。 フレーズは、こうした癖を矯正する支えになります。 単語の問題ではなく、進行の問題として捉え直せます。
3) 音で覚える余地がある
紹介文では、アプリを使えば耳から覚えられるとも触れられています。 プレゼンで必要なのは、作文より発話です。 音で回す仕組みがあるだけで、暗記のストレスが減ります。
本の具体的な内容
本書はタイトルどおり、1000の英語フレーズを軸にしています。 ただし重要なのは、数より配置です。 導入では、目的、結論の先出し、アジェンダ提示が要になります。 本論では、根拠の提示、比較、強調、スライドの誘導が増えます。 結論では、要点の回収と次のアクションの提示が必要です。 質疑応答では、質問の確認、答えの構造化、保留の言い方が問われます。 この流れを、パートごとに切って支えるのが、本書の具体的な機能です。
さらに、インタラクティブな進行のテクニックを扱う点が特徴です。 英語プレゼンが硬くなる原因は、正しさへの意識が強すぎることです。 聴衆に問いを投げる、反応を拾う、区切りで要点を回収する。 こうした動きが入ると、英語の精度だけで勝負しなくて済みます。 フレーズ集でありながら、進行の設計書として読めます。
使い方のコツ
本書は224ページで、新書判に近い携帯性があります。 使い方としては、読み物として通読するより、実際のプレゼン準備の手元に置く方が効きます。
まず、プレゼンの台本を日本語で作り、導入、本論、結論、質疑応答に分解します。 そのうえで、本書のPartごとに必要なフレーズへ当てはめます。 ここで重要なのは、自分の内容をフレーズへ押し込めることです。 英語の表現を増やすというより、英語で言える範囲に内容を整える作業になります。
次に、質疑応答のパートだけは、先に反復します。 導入や本論は練習で整いますが、質疑応答は相手次第で崩れます。 だからこそ、質問の聞き返し、言い換え、保留の言い方などを先に身体へ入れると、全体の緊張が下がります。
類書との比較
ビジネス英語の本には、会議やメール向けの定型表現を集めるものがあります。 汎用性は高いですが、プレゼンの流れに最適化されていないことも多いです。
また、プレゼン術の本は、ストーリーの作り方やスライド設計へ寄りがちです。 英語の言い回しの段で詰まり、実装できないケースが出ます。
本書はプレゼンの場面へ寄せ、導入から質疑応答までフレーズを配置しています。 加えて、実務で使われる表現に軸足を置く点は、類書との差になります。
こんな人におすすめ
英語プレゼンの経験が少なく、導入や質疑応答で言葉が止まりやすい人に向きます。 スライドは作れるが、話す英語に自信がない人にも合います。 必要なフレーズを場面で取り出し、反復して口へ馴染ませたい人に合います。
特に、英語そのものより、進行の言葉が出ない人に向きます。 プレゼンは内容の勝負でもありますが、場を動かす言葉がないと内容へ辿り着けません。 その穴を、場面別のフレーズで埋めたい人に合う1冊です。 短い反復で積み上げたい人にも向きます。