レビュー
概要
『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』は、職場の人間関係で苦しむ人へ向けて、「敵」と感じている相手との戦い方ではなく、自分の自己肯定感を育てることで状況を変えていく道筋を示す本です。出版社内容情報では、職場で感じるストレスの大半は人間関係が原因だとされ、パワハラまがいの上司、理不尽なクライアント、使えない部下など、職場にいる“敵”の具体例が挙げられています。
でも本書が言いたいのは、「敵に勝て」という話ではありません。著者自身が、弱い自分を否定しながら戦い続け、病気で倒れて休職した経験を通して、「苦しさの原因は自己肯定感の低さで、そもそも敵なんていなかった」と気づいた、という流れが土台にあります。
読みどころ
1) 「敵がいる世界」から降りる発想が、根本的
職場の人間関係でしんどいときって、頭の中が“戦場”になりやすいです。相手の言葉を攻撃として受け取り、反撃できなかった自分を責める。出版社内容情報でも、強くならなくちゃと自分を奮い立たせたり、うまくやれなかった自分を責めたりして苦しくなる、という描写があります。
本書は、その戦いを上手くする方法ではなく、戦場の前提そのものを見直します。敵がいるように見えるのは、自己肯定感が低くて、自分の価値を相手の反応に預けてしまっているから。ここに踏み込むので、解決が“対人テク”で終わりません。
2) 具体的な「自分の扱い方」に落ちてくる
レビューでは、「ま、いっか」という一言で余計なプレッシャーから自分を解放し、自然と前に進む、という感想がありました。こういう小さな言葉の選び方が、自己肯定感の回復には効きます。
また、対人関係のスタンスとして「自分の感情の面倒は見るが、他人の感情の面倒は見ない」という言葉に納得した、というレビューもあります。怒っている人は困っている人、という見立てが紹介されています。そう考えると受け取り方が変わる、という具体例もあり、感情の渦に飲まれたときの戻り方が用意されています。
3) 「寄り添う言葉」と「分析」が同居している
出版社内容情報では、がんばっている人に寄り添う言葉と、元システムエンジニアならではの分析力・問題解決力に定評がある、とされています。ここが本書の読みやすさにつながっています。
精神論だけだと、落ちているときには刺さらないことがある。でも分析だけだと、心が置き去りになる。本書はその中間にいて、「わかるよ」と「こうすると整理できるよ」を行き来する感じがあります。
具体例が「会社に行けない朝」を想像させる
出版社内容情報には、「会社行きたくないなあ」と気分がズーンと沈む状態が、そのまま言葉として書かれています。さらに、職場にいる“敵”の例として、パワハラまがいの上司、理不尽なクライアント、使えない部下が挙がる。
ここまで具体的だと、読み手は自分の職場を簡単に重ねられます。だから、自己肯定感というテーマが、ふわっとした自己啓発で終わりにくい。いま困っている相手の顔が浮かぶ人ほど、刺さりやすいはずです。
「会社に行けない」状態に、別の出口を作ってくれる
この本は、会社を辞める/我慢して続ける、の二択に追い込まれた気持ちをほどいてくれます。敵がいるから苦しいのではなく、敵がいる世界観を採用してしまっているから苦しい。そう言われると、少しだけ選択肢が増えるんですよね。
自己肯定感を育てる、というテーマは使い古された言葉にも見えます。でも本書は、職場の具体例と著者自身の体験(休職、内面との向き合い)を軸にしている分、抽象論になりにくい。会社に行く前の朝、胸が重くなる人に向けた言葉として届きます。
読み終えた後に残る「境界線」の感覚
レビューの中で印象的だったのは、「自分の感情の面倒は見るが、他人の感情の面倒は見ない」というスタンスです。人間関係で疲れる人ほど、相手の機嫌まで背負ってしまいがちです。
でも、自分ができるのは自分の感情を整えることまで。相手が怒る権利、悲しむ権利を持っていることまで奪えない。そういう境界線が引けると、職場の“敵”が、少しずつ「ただの他人」に戻っていきます。
こんな人におすすめ
- 職場の人間関係が原因で、出勤前に気持ちが沈みやすい人
- 相手に合わせられない自分を責めて、さらに苦しくなる人
- 「強くなれ」と自分に言い聞かせるほど疲れてしまう人
- 自己肯定感を、根性論ではなく行動に落としていきたい人
感想
この本を読んで残ったのは、「敵がいない世界に移動する」という感覚でした。もちろん現実には、理不尽な人も失礼な人もいます。でも、そこで毎日消耗し続けるかどうかは、自分の自己肯定感の持ち方で変わる部分がある。
“無敵”という言葉は強いけれど、本書が言う無敵は「相手を倒す強さ」ではなく、「自分の価値を相手に預けない強さ」なんだと思います。会社に行きたくないと感じる人が、今日を乗り切るための具体的な支えになる一冊です。