レビュー
概要
本書は、英語の句動詞(phrasal verbs)を、単語順の辞書ではなく分類辞典として引けるようにした1冊です。 句動詞は、動詞の意味だけを知っても使えるとは限りません。 前置詞や副詞のパーティクルが加わった瞬間に、意味が跳ねたり、比喩に寄ったりします。 本書は、その跳ね方を「分類」と「索引」で扱い、探しやすくすることを目指します。
読みどころ
1) 「意味の近さ」で探せる句動詞シソーラス
単語順の辞書は、見たい語形が決まっているときに強いです。 しかし実際の学習では、「この場面で言いたいのはこれ」という意味から探したいことが多いです。 本書は33のテーマ分類を用意し、意味から句動詞を探せるようにしています。 言い換えの候補が一気に増えます。
2) 例文と文法情報が「運用」に直結する
句動詞は、使いどころで破綻しやすいです。 目的語を挟めるのか。 代名詞だと語順がどうなるのか。 自動詞的か他動詞的か。 本書は例文に加えて、語順や用法を示す工夫があり、暗記より運用に寄ります。
3) 3種類の索引で「迷子」を減らす
分類辞典は便利ですが、分類の外から入れないと困ります。 本書は複数の索引を備え、分類と検索を往復できるようにしています。 辞典を開いた瞬間に、どこから入るかが選べる。 ここが学習継続に効きます。
句動詞を覚えるときは、語彙量よりも「使い分けの精度」が問題になります。 似た意味の表現が並ぶと、どれも同じに見えます。 本書の強みは、近い表現を隣に置き、違いを例文で確認できる点です。
本の具体的な内容
本書は、句動詞をテーマ別にまとめ、近いニュアンスを束で提示します。 たとえば、開始、終了、増減、移動、関係、対立といった大きな意味領域の中で、細かな差分を見比べられる作りです。 4314の句動詞が取り上げられ、例文で使い方の感触を掴めるようになっています。
また、句動詞の理解では、パーティクルの核となるイメージが重要です。 本書は、その核から語義の広がりを辿れるように工夫されており、単語帳的な暗記から抜けやすいです。 句動詞を「例外の集合」ではなく「パターンの集合」として扱えるようになります。
さらに、旧版の内容をもとに、改題と加筆修正がされていることも特徴です。 既に句動詞の辞書を持っている人でも、分類辞典という別の角度で再学習できます。
読み方としては、最初から順に読む必要はありません。 テーマ分類をぱらぱらと眺めるだけでも、英語が「動詞+小さな語」でどれだけ細かく意味を作るかが見えてきます。 英語の語感を鍛える資料としても使えます。
類書との比較
一般的な英和辞典は、句動詞を見出し語の下に載せます。 網羅性は高いです。 ただ、意味から探す動線は弱いです。 表現の選択肢を増やす用途では回り道になります。
句動詞専用の辞書には、語形順で例文を大量に載せるタイプがあります。 こちらは引きやすいです。 一方で、近い表現の使い分けを比較するには、ページを行き来する必要があります。
本書は、類義の句動詞を並べ、差分を見比べることに強みがあります。 語形が思い出せないときでも、意味から到達できる。 この「到達の仕方」が、学習用辞典としての差になります。
実践的な読み方
まず、よく使う動詞を1つ決めます。 次に、その動詞が含まれる句動詞を索引で追い、分類へ移動します。 分類の中で、ニュアンスの違いを例文で確認します。 この往復を繰り返すと、句動詞が単発の暗記ではなく、意味の地図として頭に残ります。 慣れてきたら、同じテーマ内で3つ選び、差分を短いメモにします。 比較の視点が育つと、辞典が学習素材として回り始めます。
もう1つの使い方は、英作文の見直しです。 単語1語で書いた表現を、句動詞の候補に置き換えてみる。 ただし、無理に口語化する必要はありません。 目的は、選択肢を持つことです。 本書はその選択肢を、分類で一気に提示してくれます。
学習のコツは、例文を丸暗記しないことです。 例文の骨格だけを取り出し、主語や目的語を入れ替えて数パターン作る。 使い回しができる形にすると、句動詞が「知っている」から「出てくる」に変わります。
こんな人におすすめ
句動詞が苦手で、暗記に疲れた人向けです。 英作文やスピーキングで、同じ動詞ばかり使ってしまう人にも合います。 辞書を「引く」だけでなく「眺めて増やす」学習が好きな人におすすめです。