レビュー

概要

小学校中学年(6〜11歳)の子どもの感情を理解するために、日常の場面を6つのステップで分解したガイド。著者は臨床発達心理士として、子どもの気持ちを可視化する「感情の地図」と親子で使う「伝えるグラス」を組み合わせて、親が自分の心を開きながらこどもの反応を読み取る流れを紹介。各章では「場面理解→気持ちのラベリング→寄り添い方→次の行動」というフレームを繰り返し、柔らかい言葉で書かれている。

読みどころ

・第1章では、学校のルール、友人とのいざこざ、家庭での役割など「場面の前提」を細かく記述し、子どもの反応を「身体反応」「言葉」「行動」に分けて示す。たとえば、宿題を無視する場面では「眉間を寄せる」「ため息」「ゲームへ逃避」という3つの観察を並列化し、それぞれに対応する親の声かけ例を用意。観察をするときは時間を計り、泣き始めたタイミングと捉えるための「観察ノート」をつけるように勧めている。 ・第3章では「気持ちを言葉にする」ための単語カードが登場。喜び・怒り・悲しみ・不安などの4つの基本感情を段階ごとに色分けし、感情を言語化するカードを親子で作るワークが収録されている。また、言葉を使わずに体験で伝えるための「音の表現」や「絵で描く」アプローチもあり、言語化が難しい子どもでも表現に触れられるように工夫。 ・第5章では「親自身の感情を扱う」方法を紹介。忙しさや怒りを子どもにぶつけないための呼吸練習、時間をとって自分の思いを整理する「自分のグラス」ワークがある。親の怒りが爆発する前に「深呼吸3回→頭の中で君とのつながりを想像→次の言葉を選ぶ」というカウントリストを使うことで、親子の関係を修復するプロセスを作っている。

類書との比較

『子どもの気持ちがわかる365日』(大和書房)は1日1つの解説を提供するが、本書は発達段階に応じた「場面の観察と対応力」を繰り返し学ぶ構成で、データに基づく支援を重視している。『親子の問題行動に立ち向かう心理学』(技術評論社)よりも、絵カードやワークシートの実践的利用に重きを置き、医療現場よりも家庭での日常を優先している点が特異。加えて、『感情コーチングのすゝめ』(春秋社)と比べても本書の「時間で区切る」観察記録が、忙しい親にも再現性を高めている。

こんな人におすすめ

小学校低学年〜中学年の子どもを持つ保護者、学童保育や担任教諭、子どもの感情理解に悩む祖父母。特に言葉では表現しない子どもに寄り添いたい人に効果的。逆に、0〜5歳や中高生のステージでは内容が連続しないため、それぞれに特化した別冊を使った方がよいだろう。

感想

観察ノートに「走り回る」「目を逸らす」と記録した後、子どもが涙を流したときに「それってどういう気持ち?」と聞いたら、自分で答えてくれた。親のグラスワークも続けていて、怒りが出る前に「今の自分は赤信号」と認識できるようになり、冷静になれた。子どもが落ち着いた時間になるまで待つ「タイムアウト」ではなく、自分の気持ちを向き合う練習が含まれているのが印象深い。日常の場面を丁寧に掘り返すことで、親子の対話が変わる実感がある一冊だ。

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