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レビュー

概要

『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』は、小学生の子どもが見せる行動の裏にどんな気持ちがあるのかを、イラストとともに解きほぐしていく本です。著者はフランスの心理療法家イザベル・フィリオザ。訳は土居佳代子、絵はアヌーク・デュボワが担当しています。

6歳から11歳くらいの子どもは、幼児期より言葉が増える一方で、自分の本音をうまく説明できない場面も多いです。学校での緊張、友だちとの比較、親への反発、自立したい気持ちと甘えたい気持ちの揺れ。本書はそうした学童期特有の心の動きを、親が理解しやすい形で整理します。

読みどころ

本書の読みどころは、「困った行動」をすぐにしつけの問題へ結びつけない点です。嘘をつく。すぐ怒る。だらだらする。話を聞かない。そうした行動の裏には、不安、恥ずかしさ、疲れ、言葉にできない悔しさが隠れていることがあります。本書はまずそこを見ようと促します。

また、小学生という年齢の難しさをよく捉えています。幼児のように親へ素直に甘えるわけではない。かといって、大人のように整理して話せるわけでもない。その中間期の子どもは、行動で気持ちを表現しやすい。本書はその特徴をイラストつきで説明するので、親が場面を思い浮かべやすいです。

友人関係や学校生活を含めて考える点も実用的です。家で荒れている理由が、学校での失敗や集団のストレスにある場合も少なくありません。親が見えていない時間の負荷まで想像する視点を持てるので、家庭内だけで解決しようとして行き詰まることが減ります。

本書では、怒り、嘘、反抗、きょうだいげんかといったテーマも、単に悪い行動として処理しません。なぜそういう反応になるのかを年齢の発達段階から説明し、親がどう受け止め、どう言葉を返せばよいかへつなげます。小学生との会話がすれ違いやすい家庭ほど助けになります。

本書の重要ポイント

本書で重要なのは、親が「正しく叱る」ことより、「まず理解する」ことです。理解したうえで境界線を引く。ここが軸になっています。甘やかしとは違い、子どもの感情を認めたうえで、やってよいことといけないことを伝える姿勢です。

さらに、親自身の感情の扱いにも目が向いています。子どもの反抗にすぐ反応すると、親子のやり取りは対立になりやすい。本書は、子どもの気持ちを読むことと同時に、親が一拍置く重要性も感じさせます。家庭の空気を整える本としても使えます。

イラスト中心で読みやすいのに、内容はかなり本質的です。感情のラベリング、共感、境界線、自立支援という子育ての基本が、学童期の具体例と一緒に頭へ入ります。実際に使える子育て本です。

学童期の子どもは、親の前では不機嫌でも、本当は学校で無理をしていることがあります。本書はそのズレを見抜くヒントも与えてくれます。表面の態度だけで判断せず、背景を読み直す視点が持てるのは大きいです。

類書との比較

幼児向けの子育て本は、イヤイヤ期や生活習慣の話が中心になりがちです。本書は小学生以降に増える「学校」「友だち」「自尊心」の問題へ重心があります。そこが大きな違いです。

発達心理学の専門書より読みやすく、ハッピーアドバイス系の本よりも行動の背景説明が厚いのも特徴です。感情の仕組みを知りつつ、家庭での声かけまで落とし込みたい人に向いています。

こんな人におすすめ

小学生の子どもの気持ちが読みにくくなってきたと感じる親におすすめです。怒る回数は増えたのに、何に困っているのかは見えにくい。そんな時期の家庭に相性がいいです。

担任、学童保育の支援員、祖父母が読むのにも向いています。子どもの言動を表面だけで判断しにくくなるからです。

また、幼児向けの本ではしっくりこなくなった家庭にも向いています。小学生になると悩みの質が変わるので、その変化に合った言葉を持てるだけでも親の迷いは減ります。

感想

この本を読むと、小学生の子どもは「もう大きいからわかるはず」と見られがちなのに、実際はかなり不器用に感情を抱えているとわかります。その理解があるだけで、親の受け止め方は変わります。

学童期の子育てを、しつけ一辺倒ではなく対話の方向へ整えたい人に役立つ一冊です。子どもの行動の理由を見失いがちな時期ほど、手元に置く価値があると思います。

「もう小学生だから説明すればわかるはず」と思って空回りしている親ほど、この本の助けを受けやすいでしょう。学齢期の感情理解をやわらかく学べる実用書です。

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