レビュー
概要
『知識を操る超読書術』は、本を読んだあとに「面白かった」で終わらせず、仕事や勉強へ使える知識として残すための読書術を解説した本です。著者のメンタリストDaiGo氏は、記憶、注意、学習効率に関する心理学や認知科学の知見を下敷きにしながら、読む前の準備、読みながらのメモ、読後のアウトプットまでを1つの流れとして整理しています。
本書の中心にあるのは、多読それ自体より、再利用可能な形で知識を残すことです。速く読むことや大量に読むことを目的にせず、「この本から何を取り出し、どう行動を変えるか」に重心があります。そのため、忙しくて読書時間が限られる人ほど、本書の考え方と相性がいいです。
読みどころ
読みどころは、第1に「読む前の問い」を重視している点です。何となく最初から読むのでなく、この本から何を得たいのか、どこへ使いたいのかを先に決めることで、同じ一冊でも吸収の質が変わるという考え方が示されます。この前提があるだけで、受け身の読書からかなり抜けやすくなります。
第2に、メモやアウトプットの扱いが実践的です。本書は、線を引いて満足するのでなく、要点を短く書き換え、自分の仕事や生活へ接続することを勧めます。読んだ内容を「自分ならどう使うか」まで考えるので、知識がその場で終わりにくいです。インプットとアウトプットを分けない読書法だと言えます。
第3に、科学的根拠を下敷きにしているため、自己流の読み方を見直しやすい点もよいところです。記憶の定着には反復や想起が必要であること、集中力には限界があること、複数冊をどう並行するかといった話が、感覚論でなく整理されています。読書が続かない人ほど、方法の問題として捉え直せるはずです。
加えて、読書を「読む時間」だけの活動にしていないのも重要です。読んだ直後に一言でまとめる、24時間以内に誰かへ話す、仕事のタスクへ転用するといった行動まで想定されています。そのため、知識が眠りにくいです。読書と実践の距離はかなり短くなります。
類書との比較
読書術の本には、速読寄りのもの、ノート術寄りのもの、教養論としての読書を語るものがあります。本書はその中で、知識を仕事や発信へ変えるところまで意識しているのが特徴です。単なる読書習慣のすすめではなく、読んだものを成果へつなぐ読書を目指します。
一方で、文学を味わうための読書や、趣味としてゆっくり読む読書とはやや性格が違います。本書は効率と再利用を重視するため、娯楽としての読書を深めたい人には少し実務寄りに見えるかもしれません。逆に、読む量の割に身についていない感覚がある人にはかなり有効です。
こんな人におすすめ
仕事で本の内容を使いたい人、読んでもすぐ忘れてしまう人、インプット過多で行動に結びついていないと感じる人に向いています。勉強法としての読書を見直したい学生や社会人にも相性がいいです。
逆に、読書を純粋な娯楽として楽しみたい人や、読むペースを上げることだけを求める人には少し方向が違うかもしれません。本書は、読書を結果へつなぐための本です。
感想
この本を読んでよかったのは、読書量の多さより「使える形で残っているか」のほうが重要だと整理できることです。本を読んだ直後は理解した気になるものの、数日後には使えない。この問題を、意志力ではなく方法の問題として捉え直せるのが本書の価値でした。
また、読んだ内容を一言で要約する、誰かに話せる形へ直す、具体的な行動へ落とすといった手順は、そのまま仕事の整理にも流用できます。読書好きほど、読んで満足する罠にはまりやすいですが、本書はそこから一歩先へ進ませてくれます。知識を増やすだけでなく、知識を使える武器へ変えたい人に向いた一冊でした。
特に、積読が増える人ほど本書の恩恵を受けやすいです。全部を丁寧に読むのでなく、目的に応じて拾い方を変えるだけでも読書は回り始めます。読む量と使える量の差を埋めたい人にとって、かなり再現性の高い読書術だと思います。
読書メモが散らかっている人にも向いています。どこを残し、どこを捨てるかの判断軸ができるので、ノート術の整理にも効く本でした。
本を仕事へ活かしたい人には、とくに相性がよいです。読みっぱなしを防ぐ仕組みがあるからです。