Kindleセール開催中

297冊 がお得に購入可能 最大 99%OFF

レビュー

英語が伸びない理由を、努力不足ではなく「量不足」と言い切る本

『英語多読 : すべての悩みは量が解決する!』は、英語学習の伸び悩みを「量」の問題として捉え直す本です。内容説明は強いです。なぜ日本人は英語が苦手なのか。その理由と解決法を示すと言い、暗記も努力も我慢もゼロで伸びる、と打ち出します。もちろん魔法ではありません。言いたいのは、勉強の質の前に、圧倒的に触れる量が足りないということです。

目次も攻めています。1章は「これまでのあなたの英語学習法は間違いだらけ」。2章で多読の効果を語り、3章で多読を可能にする3つの原則を示します。4章は「まず100万語を目指して」。この数字が象徴です。英語は、短期の暗記で伸びるものではありません。量を積むほど、読む速度も理解も上がります。

多読の3原則が、挫折を減らすためのルールになっている

多読の3原則は、辞書は捨てる、分からないところは飛ばす、合わないと思ったら投げる、という形で語られます。直感に反します。真面目な学習者ほど、分からない語を潰そうとします。潰すと止まります。止まると量が積めません。量が積めないと慣れが育ちません。本書はこの悪循環を断ちます。

辞書を引かないのは、理解を諦めるためではありません。速度を守るためです。速度があると、文脈が助けになります。文脈があると、未知語があっても全体が取れます。全体が取れると、読むのが楽になります。楽になると量が積めます。多読は、この循環で成立します。

「読む」から「観る、聴く、話す、書く」へ広がる設計

目次の5章は「読むから観る、聴く、話す、書くへ」です。ここが現実的です。多読は読解の技術に見えます。けれど、インプットが増えると、耳と口にも影響が出ます。語彙が増える。表現が自然になる。リズムが体に入る。そういう変化が起きます。

6章では、ネット空間で自分に合った素材を探す方法を扱うとあります。多読は教材選びで詰まります。難しすぎると折れます。簡単すぎると飽きます。合う素材を探せると、多読は生活に乗ります。

7章と8章は、疑問と悩みへの回答です。始める前の不安と、実践中の不安は違います。そこを分けて扱うのは親切です。多読は継続がすべてです。継続の障害を前倒しで潰す構成です。

100万語は遠く見える。だからこそ「小さく積む」工夫が必要

100万語という数字は、見た瞬間に気が遠くなります。けれど、数字があるから進めます。終わりがない学習は続きません。おすすめは、語数の目標を分割することです。まず10万語を目指します。次は30万語です。続いて50万語です。最後に100万語です。区切りがあると、達成感が残ります。

多読の材料は、紙の本に限りません。短い記事、子ども向けの絵本、グレーデッドリーダー、字幕付きの動画のスクリプト。何でも良い。ただ、原則は3つです。辞書で止まらない。分からないところへ固執しない。合わないなら捨てる。これを守るほど、量が積めます。

類書比較:学習法の改善より、「英語に触れる生活」へ寄せる本

英語学習の類書には、勉強法を改善する本があります。時間術、暗記術、ノート術。あれは役に立ちます。ただ、英語に触れる総量は増えにくい。本書は総量を増やします。総量が増えると、勉強法の細部は勝手に整います。読めるようになると、続けられます。続けられると、さらに読めます。

もちろん、基礎文法や語彙の学習が不要になるわけではありません。ただ、本書の言う量を積むと、基礎学習が意味を持ち始めます。覚えた語が実例として現れます。文法の形が本の中で見つかります。多読は、基礎学習の成果を回収する場として機能します。

類書比較:単語と文法の積み上げ本より、「読む習慣」を先に作る

英語学習の類書には、単語帳と文法書があります。あれは基礎作りに必要です。ただ、それだけだと英語に触れる量は増えません。多読は量を増やします。量が増えると、単語帳で覚えた語が本物になります。文法書で学んだ形が実例として見えるようになります。本書は、基礎学習を否定するというより、基礎を生かすために量を増やす立場です。

また、リスニングの本だけをやる人もいます。聞くだけだと、意味の取り方が曖昧になりやすい。読むと、意味が固定されます。読む量が増えると、聞こえる量も増えます。多読はインプットの土台として強いと感じました。

こんな人におすすめ

  • 単語と文法をやっているのに、伸びが鈍いと感じる人
  • 英語に触れる時間が少なく、慣れが育っていない人
  • 辞書を引きすぎて止まり、継続できない人

英語力を上げる近道は、遠回りに見える量です。本書はその量を積むためのルールを、現実的な形で渡してくれる1冊でした。

最初の一歩は、難しい本を選ばないことです。読める範囲でいい。読める範囲を増やす。多読は、その増やし方を教えてくれます。

まずは毎日10分の読書から始めると続きます。

この本が登場する記事(1件)

本の虫達

要約・書評・レビューから学術的考察まで、今話題の本から知識を深めるための情報メディア

検索

ライター一覧

  • 高橋 啓介

    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
  • 森田 美優

    森田 美優

    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
  • 西村 陸

    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
  • 佐々木 健太

    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。