レビュー
初受験の不安を「手順」に変える、1冊完結型の攻略本
『はじめて受けるTOEIC L&Rテスト全パート完全攻略』は、初めてTOEIC L&Rを受ける人に向けた、全パートの攻略書です。内容説明が親切です。「何から始めて、どうすべきかわからない人へ」と明言し、ビギナーから上級者まで対応すると言います。目標設定も幅広い。「まず600点」も「いきなり高得点」も狙える。短期間のスコアUPと、本物の英語力UPの両方を視野に入れる。入口の迷いを減らすために、選択肢を整理しています。
しかも「一冊完結」をうたうだけあって、要素が揃っています。解法テクニック27、パート別攻略、実力UPの勉強法、200問の完全模試。試験対策で困るのは、教材が増えすぎることです。増えすぎると、何を終わらせれば良いかが分からなくなります。本書はその迷子を防ぎます。
パート別の目次が、学習の順番を作る
目次は、写真描写、応答、会話、説明文、短文穴埋め、長文穴埋め、長文読解の順です。TOEICはパートが多いので、対策が分散しがちです。本書は分散を前提にしつつ、順番を作ります。順番があると、毎日の学習が回ります。
また、対策の本でありがちな「解き方の説明が抽象的」という弱点が減りやすい構成です。テクニックの数を明記しているので、読む側は「ここまで覚えればいい」というゴールを作れます。ゴールがあると、途中で折れにくい。
27の解法テクニックは、試験中の「迷い」を減らすためにある
内容説明が「これだけでグッと差が出る!解法テクニック27」と言うのは、誇張ではないと思います。TOEICの点が伸びない原因は、英語力そのものより、迷いと時間切れの組み合わせで起きます。迷うと時間が減ります。時間が減ると後半が崩れます。崩れると失点が増えます。テクニックは、この連鎖の最初にある迷いを減らします。
特に初受験は、問題文の読み方や設問の見方が安定していません。安定していないと、毎問で判断がぶれます。ぶれは疲労を増やします。疲労が増えると集中が落ちます。本書は、パート別に判断の型を作り、ぶれを減らす方向へ導きます。
模試が付くから、最後に自分の穴が見える
200問の完全模試が付くのは大きいです。初受験の人が怖いのは、形式だけでなく時間感覚です。時間が足りない。焦って塗り間違える。後半が崩れる。模試があると、そういう崩れ方を事前に経験できます。
模試を解いたあとにやるべきことは、間違いの分類です。単語が原因か。設問の読み方か。時間配分か。本書のテクニックは、その分類のあとに効きます。分類がないと、復習が散ります。分類があると、復習が鋭くなります。
「短期間でスコアUP」と「英語力UP」を両立させる読み方がある
内容説明では「短期間でスコアUP」と「じっくり本物の英語力UP」の両方を掲げます。両立は難しいです。ただ、読み方を分ければ現実的です。短期で欲しいのは、失点を減らす手順です。長期で欲しいのは、語彙とリスニングの体力です。本書は、パート別の攻略と勉強法を同居させるので、目的に応じて取り出せます。
たとえば短期なら、解法テクニックを先に読みます。次に模試で再現できるかを確認します。長期なら、パートごとの勉強法を先に取り入れます。弱いパートを決め、毎週のルーチンにします。1冊で両方を回せるのが、この本の使い勝手だと思います。
類書比較:超直前本より、初受験の「全体像」を作るのが得意
TOEICの類書には、直前のテクニック本があります。直前本は即効性があります。一方で、初受験では直前以前の全体像が見えにくくなりがちです。本書は全体像を作ります。パートごとの狙いと手順を示し、テクニックと模試で固めます。
また、スコア帯別の本は対象が明確です。その分、範囲が狭い。本書は「まず600点」も視野に入れつつ、上を狙う人にも伸ばせる余白があります。最初の1冊として選びやすい理由はそこにあります。
初学者向けの本の中には、説明が丁寧すぎて実戦へ出るのが遅いものもあります。本書は模試とテクニックがあるので、早い段階で実戦に触れられます。実戦へ触れると、課題が具体になります。課題が具体になると、復習が回ります。初受験の学習は、この循環が作れるかで差が出ます。
こんな人におすすめ
- 初めてTOEICを受けるので、全体像を最短でつかみたい人
- 教材を増やしたくないので、1冊で完結させたい人
- 模試で時間配分を体に入れて、本番の崩れを減らしたい人
試験は、努力より手順がものを言う場面があります。特に初受験は、手順を知るだけで点が上がります。本書はその手順を、1冊にまとめた攻略本でした。
最初の模試で点が低くても問題ありません。模試は評価ではなく地図です。どこで迷うか、どこで時間が消えるかを知るために使う。そこを前提に読むと、本書の価値が出ます。
初受験の不安を、手順と反復で薄めたい人に向く1冊です。