『やり抜く子と投げ出す子の習慣 (ASUKA BUSINESS)』レビュー
著者: 岡崎 大輔
出版社: 明日香出版社
¥1,617 Kindle価格
著者: 岡崎 大輔
出版社: 明日香出版社
¥1,617 Kindle価格
『「やり抜く子」と「投げ出す子」の習慣』は、子どもの「やり抜く力」を、気合いではなく日々の行動習慣として育てる本です。キーワードは非認知能力。勉強のテクニックより前に、自己肯定感、生活習慣、学習習慣、目標達成、対人関係、トラブル対処といった土台を整えることで、途中で投げ出しにくい状態を作っていきます。
章立ては6章です。 第1章は「自己肯定感編」。 第2章は「生活習慣編」。 第3章は「学習習慣編」。 第4章は「目標達成編」。 第5章は「対人関係編」。 第6章は「トラブルへの対処編」。
この並びが示す通り、成績を上げる話というより、子どもの人生の回り方を整える話に近いです。
やり抜く力の本なのに、最初が自己肯定感なのはポイントです。子どもが途中で投げ出すとき、能力の問題より「どうせ無理」「失敗したくない」が先に立つ場面があります。本書はそこを、習慣として扱います。
自己肯定感を「褒め言葉で盛る」のではなく、日々の行動の中で育てる方向へ持っていくので、親の気分でブレにくい設計になっています。
第2章と第3章は、生活習慣と学習習慣を分けて扱います。ここがあると、親子の衝突が「勉強しなさい」に集約されず、もう少し手前の生活の乱れとして見えてきます。
睡眠や準備の段取りが崩れているのに、学習だけを強化しても続かない。本書の章立ては、そのズレを修正しやすいです。
第4章は目標達成編です。目標を立てて終わりではなく、途中で折れないための仕組みづくりへ進みます。「やり抜く」を精神論にしないため、行動単位へ落とす。
子どもにとっての目標は、大人より揺れやすいです。気分が揺れる前提で、続け方を作る。そこが現実的だと感じました。
学校生活で投げ出したくなる場面は、勉強だけではありません。友人関係、先生との関係、失敗やトラブルの対処。第5章、第6章が用意されていることで、「やり抜く」が人生全体の話としてつながります。
親としても、子どもの悩みを「勉強の問題」にしない視点が持てるので、会話の質が上がると思います。
章が6つに分かれているので、最初から順番に読むだけでなく、「いま困っている場所」から読むのも向いています。たとえば、朝の支度や生活の乱れで毎日が崩れるなら生活習慣編。勉強に着手できない、机に向かっても続かないなら学習習慣編。目標を立てても三日坊主になるなら目標達成編。友人関係で気持ちが折れやすいなら対人関係編、という具合です。
また、本書は「投げ出す子」を責めるための本ではありません。親の関わり方を整え、子どもが小さく成功できる状況を増やすための本です。だから、読みながら「この行動は家庭で試せそうか」「今の子どもにとって負担が大きすぎないか」を確認しつつ、1つだけ試してみる。そういう読み方が合うと感じました。
第1章から第6章までが揃っているので、「学習」だけに偏らず、生活や人間関係まで含めて見直せるのも助かります。
非認知能力の類書は、概念や研究の紹介が中心で、読後に行動へ移しにくいものもあります。逆に、子育てハウツー本は実践的でも、領域が狭くて「目標達成」や「対人関係」まではカバーしないことが多いです。
本書の特徴は、非認知能力を「習慣」として具体化し、しかも領域を6章に分けて総合的に扱う点です。自己肯定感からトラブル対処までを一冊に収めるので、子どもの状態に合わせて読みどころを選びやすい。類書よりも「家庭で使える」方向に寄った本だと思います。
「やり抜く力」は、才能というより環境と習慣で育つ。そういう考え方を、章立てごとに具体の行動へ落としてくれる本でした。特に、自己肯定感→生活→学習→目標達成という順番は、焦っている家庭ほど救いになると思います。
子どもに何かを続けてほしいとき、親はつい「もっと頑張れ」に寄ります。でも本書は、頑張らなくても回る仕組みを先に作る方向へ誘導します。投げ出す回数を減らし、やり抜けた経験を増やしたいときに、頼りになる1冊です。
「やり抜けた経験」は、気分がいいだけで終わりません。子どもが次の挑戦に向かうときの土台になります。本書は、その経験を偶然に任せず、習慣として積み上げるための考え方をくれます。完璧な子育ての正解がほしい、というより、明日からの家庭の回し方を少し変えたい。そういう気持ちで手に取ると、読みやすく、使いやすい本だと思います。