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レビュー

概要

『はじめから1人で学べる 大人のためのピアノレッスン 上巻(DVD付)』は、楽器経験のない大人が独学でピアノを始めるための入門教材です。テキストと楽譜に加え、付属DVDで「手や指の形」「弾く動き」を確認できるのが特徴です。読みながら不安になりやすい部分を、映像で補ってくれます。

構成は段階的です。最初に「はじめの一歩」で姿勢と指の形を整え、「ウォーミングアップ」で鍵盤上の音の位置を覚え、次に「指のトレーニング」で両手の5本指を動かす準備をします。ここまでで“ピアノを弾く準備”を固めてから、Lesson1〜Lesson9で、1レッスンにつき1曲ずつ弾けるように進んでいきます。

レッスン曲は「ちょうちょう」から始まり、「きらきら星」「歓喜の歌」など誰もが知っている曲を挟みつつ、「バイエル18番」「ピアノソナタ K.V.331」「バッハのメヌエット」などにも触れていきます。巻末には「グリーンスリーブス」や「シューベルトの子守唄」「家路より」といった曲も収載されており、合計15曲を通して基礎を積み上げる設計です。

本書が狙うゴールは、超入門の曲を“何となく弾けた”で終わらせず、メロディと単音伴奏のパターンを身につけ、楽譜を読みながら無理なく弾ける状態へ進むことです。1日に少しずつでも良い、という前提で、コツコツ続けられるように作られています。

読みどころ

1) “独学でつまずく場所”を、DVDで補える

大人の独学で難しいのは、正解が分からないことです。指の形、手首の角度、鍵盤の触り方。楽譜が読めても、身体の使い方が分からないと上達が止まります。

本書は、テキストに加えてDVDでお手本を見られるので、「自分の動きが合っているか」を確かめやすい。先生に習うのがハードルだと感じる人にとって、映像がある安心感は大きいです。

2) 姿勢→鍵盤→指のトレーニングの順で、“準備不足”を防ぐ

いきなり曲へ入ると、指が動かないことに心が折れます。本書は、まず姿勢とフォームを整え、次に鍵盤上の音の位置を覚え、最後に指のトレーニングへ進みます。順番が良いです。

この準備パートがあると、レッスン曲へ入るタイミングで「弾けないのが当たり前」ではなく、「動けるようにするための前提がある」と理解できます。独学の継続に効く設計です。

3) 1レッスン1曲で、達成感を積み上げられる

Lesson1〜Lesson9が、テーマに沿って1曲ずつ進むのは、モチベーション管理として優れています。最初の曲が「ちょうちょう」である点も、大人の初心者にちょうどいい。

さらに、誰もが知っている「きらきら星」や「歓喜の歌」を途中で挟むことで、「自分が弾いている」という実感が出やすい。ここが入門書としての強さです。

また、収載曲の並びは、子ども向けの教材というより「大人が飽きずに続ける」ことを意識しているように見えます。童謡のあとにクラシックの断片が入り、また親しみやすい曲へ戻る。この揺らぎがあると、練習が単調になりにくいです。

類書との比較

大人向けのピアノ入門は、紙の教本だけで進めるタイプと、動画レッスン中心のタイプに分かれます。紙の教本は体系的ですが、フォーム確認は難しめです。動画は分かりやすい反面、復習や参照は難しくなりやすいです。

本書は、紙(テキストと譜面)を軸にしつつ、DVDで動きを補完します。独学の弱点を埋める設計で、「続けられるか不安」という大人に向きます。一方で、より高度な奏法や表現を学びたい場合は、別の教材やレッスンが必要になるので、本書は“最初の基礎づくり”に徹した一冊だと捉えるのが良いと思います。

こんな人におすすめ

  • 楽器経験がなく、独学でピアノを始めたい大人
  • 先生に習う前段として、基礎を自分のペースで作りたい人
  • 指の形や弾き方を、映像で確認しながら学びたい人
  • 1曲ずつ達成感を積み上げて続けたい人

感想

この本の良さは、「大人の初心者が恥をかかないように」手順を丁寧に設計しているところだと感じました。姿勢や指の形から入り、鍵盤の位置を覚え、指のトレーニングで準備してから曲へ進む。遠回りに見えて、独学だとこれが最短です。

特にDVDは、ただ眺めるだけだと「分かった気」になりやすい。見た直後に鍵盤へ移り、同じ動きを真似して確かめると良いと思いました。指の形や手首の高さは、文章で理解するよりも、映像の“高さ”や“角度”を体に写したほうが早いです。独学で続かなくなる原因の多くは、迷いが積み上がることです。迷いを減らす仕掛けを用意している点が、本書の強みだと感じました。

また、収載曲が「ちょうちょう」から始まって「バッハのメヌエット」やモーツァルトの曲に触れるところまで広がるので、「練習=退屈」になりにくい。基礎固めをしつつ、音楽としても楽しめるように堅実に作られた入門書でした。

注意点を挙げるなら、入門の教本なので、演奏表現(音色の作り方やペダルの使い方など)を深く掘る本ではありません。まずは「指が動く」「譜面が読める」「両手で合わせられる」という土台を作ることが目的です。その目的に対して、DVDで動きを補いながら進められるのは、独学者にとって大きな利点だと感じました。

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