レビュー
概要
大ヒットギャグ漫画『デトロイト・メタル・シティ』の第1巻では、内気な主人公がデス・メタルバンドの絶叫ヴォーカルとして二重生活を送る滑稽さと社会のズレを描く。主人公のクラウザーさんの派手なステージと、日常に戻ったときの地味な自分とのギャップが、社会的仮面と自己のアイデンティティを問う。
読みどころ
- クラウザーさんが定番のデスボイスをぶちかますライブシーンでは、メタルの歌詞と日本語のギャグが融合し、観客のリアクションも描写してブラックユーモアが炸裂。
- 主人公の正体がバンドの中心なのにバンドメンバーからも愛される奇妙な関係性が、友情やサラリーマン文化への風刺として機能。
- ライブと日常を交互に描く構成が、「仮面をかぶる」ことの疲労感をテンポよく表現している。
類書との比較
『バクマン。』や『のだめカンタービレ』がクリエイターの二面性を描くのに対し、本作は過激な音楽ジャンルと平凡な社会のズレとをギャグで紡いでいる。類書が成長物語を中心にするのに対し、こちらは社会的仮面を脱ぎ捨てる瞬間よりも、また装着する瞬間に強くフォーカスする点にユニークさがある。
こんな人におすすめ
- ブラックユーモアと音楽が両方好きな人。
- 身の回りの仮面文化を笑い飛ばしたい社会批評志向の読者。
- ギャグ漫画なのにサブカルの精神を深く味わいたい人。
感想
クラウザーさんのデスボイスが漢字で飛び出すたびに笑いながら震え、ライブシーンでは音が文字で爆発する。日常のシーンに戻るたびに虚脱感がやってくるが、その対比が本当におかしく、さらなるギャップを期待せずにいられない。メタルへのリスペクトとも皮肉とも取れるバランスが続巻を待たせる魅力になっている。