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レビュー

概要

『家族とできる! 選手同士でできる! 全身パートナーストレッチ』は、1人では伸ばしにくい部位を、ペアで安全に伸ばすための本です。さらに“効かせながら”伸ばすコツも扱います。 セルフ(自分だけ)で完結するストレッチ本も多いです。けれど部活やチームの現場では、ペアで進めると早いこともあります。本書はそこに真正面から応えます。

特徴は、単に「この角度で伸ばす」と書いて終わらず、理論→コツ→実際→セルフトレーニングという流れで、再現性を上げていることです。 揺する、さする、角度を少しずつ変える、体幹を支点にする。そうした“効かせるための技”を言語化していて、やり方が雑になりやすいパートナーストレッチを、手順に戻してくれます。

読みどころ

1) 「なぜ今パートナーストレッチなのか」を先に整理する

第1章は理論編で、パートナーストレッチの位置づけを説明します。ここを押さえると、試合前のルーティンや、練習後のケアが「なんとなくの儀式」になりにくい。どこに効かせたいのか、どこは触りすぎないのか、判断の軸が作れます。

2) コツの章が“事故防止”にもなる

第2章はコツ。まず「神7」で緊張を解き放つ、さらに新時代の「TIP2」を駆使する、という形で、パートナー側の関わり方を整理します。パートナーストレッチは、善意でもやりすぎると危ない。だからこそ、効かせ方の前に「安全に進める共通ルール」が必要で、本書はそこを丁寧に作っています。

3) 実際のメニューが、現場の“よくある硬さ”に刺さる

第3章の実際編では、ハムストリングのストレッチ、臀部(大臀筋・中臀筋・小臀筋)や梨状筋、内転筋群など、硬くなりやすい部位がまとまって出てきます。部活やデスクワークで座り時間が長いと、股関節周りが詰まりやすい。本書はそこをピンポイントに触れるので、「とりあえず前屈」より効率的です。

ペアで伸ばすと、同じ部位でも「どの角度なら抵抗が抜けるか」が見つけやすいです。特に臀部や内転筋のように、セルフだと狙いがぼやけやすい部位は、パートナーの補助で“効く場所”がはっきりします。逆に言えば、強く引っ張るより、角度の微調整と体幹の支えが重要になります。

4) セルフトレーニングまで含めるのが、長期で見ると強い

第4章は、柔軟性向上のためのセルフトレーニング。股関節や肩関節の柔軟性を高めるトレーニングが入っていて、ペアで伸ばすだけで終わらない構成です。ストレッチは“戻る”ので、日々の小さな積み増しが必要。本書はその現実に合わせて、セルフ側の補助輪も用意しています。

肩関節の柔軟性の話が入っているのも、競技者には嬉しいところです。投げる競技はもちろん、胸郭や肩周りの硬さは姿勢にも出ます。ペアで整える日と、セルフで保つ日を分けられると、ケアがイベントではなく習慣になります。

5) 「やり方」だけでなく「声かけ」まで含めて組み立てられる

パートナーストレッチは、相手の体を預かるぶん、言葉が雑だと緊張が抜けにくいです。本書のコツの章は、力の入れ方だけではなく、関わり方を揃える意図が見えます。チームで導入するときは、まずコツの章を一緒に読んで、共通ルールを作る。その順番が事故防止にもつながります。

なお、パートナーストレッチでは「効く」と「痛い」は近いことがあります。違和感が強いときは、無理に深追いしない。角度を戻し、呼吸を整えてからやり直す。そうした安全運転の感覚も含めて、ペアで行う価値があると思います。 合図の言葉を決めておくと、さらに安心です。

類書との比較

パートナーストレッチの本は、「症状別」や「部位別」メニューに寄ることがあります。便利ですが、ペアでやるときに一番困るのは、実はメニューの数ではなく、力加減とコミュニケーションです。

本書は、その弱点を「コツ」の章で埋めてから実際へ進むので、現場での再現性が上がりやすいです。さらにセルフトレーニングも入っているので、「毎回パートナーがいないと何もできない」状態になりにくい。家族でも選手同士でも回せるように作られている点が、類書との差だと思います。

こんな人におすすめ

  • 部活やチームで、ウォームアップ/クールダウンを整えたい人
  • 1人ストレッチだと伸び切らない部位があり、ペアで効率化したい人
  • 力加減が不安で、事故なくパートナーストレッチを導入したい人

感想

ストレッチは、やった直後に気持ちよさが出るぶん、雑にやっても「やった気」になりやすい。でも本当に欲しいのは、翌日の動きやすさと、ケガ予防の土台です。本書はそこに寄せて、効かせ方の“魔法”を、手順として見えるようにしています。

個人的には、チーム内で「神7」「TIP2」みたいな共通言語を作れるのがいいなと思いました。言葉が揃うと、指摘は感情的になりにくいです。ストレッチが上手い人の感覚を、みんなの技術に変える。その役割を果たす1冊です。

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    佐々木 健太

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