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レビュー

概要

『おさいふのかみさま』は、子どもがおこづかいと財布を受け取り、商店街で買い物をしながら「本当にほしいものとは何か」を学んでいく絵本です。主人公の子どもおばけが100円を持って買い物に出かけ、目の前の誘惑にひかれながらも、財布の中から現れた「おさいふのかみさま」に問いかけられて立ち止まる。この流れを通して、お金の使い方を説教くさくなく伝えてくれます。

子ども向けのお金の本というと、貯金の大切さやムダ遣いの悪さを一方的に教えるものもありますが、本書は少し違います。何を買うべきかを外から決めるのではなく、「それは今いちばんほしいものかな」と考えさせる構造になっているので、子どもが自分で選ぶ感覚を育てやすいです。親子で読むと、買い物の会話が変わりやすいタイプの絵本です。

読みどころ

読みどころは、買い物の欲望を否定せずに扱っているところです。主人公は商店街でお菓子を買いたくなりますが、その場で「ダメ」と止められるのではなく、「それは本当にいちばんほしいものか」と問い返されます。このワンクッションがあることで、子どもは我慢を押しつけられるのではなく、選ぶために考える体験ができます。お金の教育というより、欲しい気持ちとの付き合い方を学ぶ絵本としてよくできています。

また、100円という小さな額を使っているのも上手です。大きなお金や複雑な制度の話ではなく、子どもが実感しやすい範囲で話が進むため、読後にすぐ日常へつなげやすいです。実際のおこづかい、スーパーでの「これ買って」、駄菓子屋での迷いなど、生活の具体場面に直結します。抽象論より、明日の買い物で使える感覚が残ります。

財布の中から出てくる神さまという設定も効いています。親が正論で諭すと反発が起きやすい場面でも、物語の中の存在がやさしくブレーキをかけることで、子どもが素直に受け取りやすくなっています。親にとっても、「今それ本当にほしいのかな」と聞けばいいのか、と会話のヒントが得られます。

類書との比較

子ども向けのお金の本には、働いて得ること、貯めること、物の値段を知ることを中心にしたものが多いですが、本書は「選び方」に焦点があります。金額の計算や制度理解より前に、欲しい気持ちを一度立ち止まって見つめる。そこがこの絵本の独自性です。小学校低学年くらいでも入りやすく、読み聞かせに向いています。

また、親向けのマネー教育本よりもずっと軽やかです。それでいて、「何でも買ってもらえる感覚」と「考えて使う感覚」の違いを、しっかり残してくれます。お金のルールを覚えさせる本というより、親子でお金の会話を始めるきっかけになる本として優秀です。

こんな人におすすめ

  • おこづかいを渡し始める前後の子どもと親
  • 「欲しい」と言われたときの声かけに迷う大人
  • お金の教育を、怖がらせずに始めたい家庭
  • 絵本を通して生活習慣の土台をつくりたい人

感想

この絵本のよいところは、子どもに「買わないこと」を教えるのではなく、「選ぶこと」を教えている点です。ただガマンさせるのでは、お金の教育は長続きしません。本書は、欲しい気持ちを認めたうえで、本当に必要かを考える流れをつくってくれるので、親の言葉も前向きになりやすいです。

お金の話を家庭でするのは意外と難しく、親の価値観もそのまま出ます。その意味で、この本は子どものためだけでなく、大人の言い方を整える絵本でもあります。おこづかい、買い物、ムダ遣いというテーマをやさしく扱いながら、親子の会話を一段深くしてくれる一冊でした。

とくに、はじめておこづかいを渡す時期の家庭と相性がいいです。100円という小さな金額だからこそ、失敗しても怖くなく、それでも「考えて使う」感覚はしっかり残せます。お金の勉強を大げさに始めるのではなく、日々の買い物の中で自然に教えたい人にとって、ちょうどよい入口になる絵本だと思います。

読み聞かせのあとに「もし自分なら何を買う?」と話すだけでも、お金の教育がかなり立体的になります。家庭で使いやすい一冊です。

絵本として楽しく読めるのに、親子の金銭感覚を整える入口としてしっかり機能するのが、この本の強さだと思います。

親子で長く使えます。

買い物のたびに会話を広げられるので、読後の実用性も高い絵本です。

家庭で繰り返し読み返しやすいのも魅力です。

おすすめです。

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    佐々木 健太

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