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レビュー

概要

『外資系コンサルの仕事の進め方』は、コンサルタント個人の「すごい技」を見せる本ではありません。むしろ、チームで問題解決を進めるときに、何をそろえれば仕事が前に進むのかを整理した本です。著者陣はアクセンチュアのストラテジー領域で実務を積んだメンバーで、監修には藤井篤之が入っています。

本書の出発点は明快です。個人の分析力や資料作成力が高くても、チーム全体でゴール、論点、役割分担がそろっていなければ成果は出にくい。だから、プロジェクトの全体像、議論の進め方、資料の役割、仮説検証のやり方を1つの流れとして扱います。企画、事業開発、経営企画、業務改革のような仕事にそのまま応用しやすい構成です。

読みどころ

大きな読みどころは、仕事を「サマリ」「ストーリー」「ワークプラン」で分けて考える視点です。結論として何を言うのか。そこへ至る論理はどうつながるのか。誰が何をいつまでに進めるのか。この3つがそろわないと、会議ばかり増えて前に進みにくくなります。本書はその状態をかなり実務的に言語化しています。

議論と資料を別々の作業として扱わない点も良いところです。会議のために資料を作るのではなく、意思決定を前へ動かすために資料を使う。こうした考え方が通底しているので、スライドの見栄えより先に「何の議論を進めたいのか」を考える癖がつきます。資料づくりに時間をかけても会議が空転しがちな人には、かなり効くはずです。

さらに、文献調査、定量分析、インタビューを、仮説検証の一連の流れとして整理している点も実践的です。調べる、数字で確かめる、人に聞く、という作業を単発のテクニックにせず、仮説を強くする順番として扱っているため、分析の迷子になりにくいです。

本書の重要ポイント

本書が一番強く伝えているのは、良い仕事は「優秀な人が1人で引っぱる」形ではなく、「チーム全体の仕事の型」で再現されるということです。若手が読むなら、いきなり高度な分析テクニックへ走る前に、プロジェクト全体の見取り図をつかむ重要性がわかります。マネジャーが読むなら、チームの認識をそろえる設計の大切さが見えてきます。

また、仮説を立ててから調査や分析へ入る順番を重視しているのも重要です。とりあえず情報を集めるのではなく、何を確かめたいのかを決めてから調べる。この基本が徹底されるだけで、資料の枚数は減っても議論の密度は上がります。問題解決の本として、かなり真っ当です。

本書は「若手向け」と「マネジャー向け」で読み方を変えられる設計になっているので、最初から全部を完璧に理解しようとしなくても使えます。今の自分の役割へ引き寄せて読むことで、職場での再現性が高くなります。

案件が炎上してから立て直すのではなく、最初の設計段階でズレを減らす。その発想を持てるだけでも、読む価値は大きいです。実務の土台本として、若手と管理職の両方に効く一冊だと思います。

類書との比較

資料作成術やロジカルシンキングの本は多いですが、それらは個人スキルの磨き方で終わることも少なくありません。本書は、資料、議論、分析、役割分担を別々にせず、1つのプロジェクト運営としてまとめている点が違います。だから、個人の努力だけでは解けない「チームが噛み合わない問題」に効きます。

コンサル本の中には、思考法の抽象論が中心のものもあります。その点、本書はかなり現場寄りです。会議で何を確認するか、分析をどう位置づけるか、誰がどこを持つかまで意識できるので、教養本というより仕事の土台を作る教科書に近いです。

こんな人におすすめ

プロジェクト型の仕事をしている若手、会議と資料が増えるわりに前へ進まない職場にいる人、チームの生産性を上げたいマネジャーにおすすめです。コンサル志望者にはもちろん向いていますが、非コンサルの企画職や事業職にも十分役立ちます。

特に、個人スキルの本をいくつも読んだのに、実務ではうまくつながらないと感じている人に相性がいいです。どの技術を、どのタイミングで、どう全体へ組み込むかが見えてくるからです。

感想

この本を読むと、良い仕事は才能よりも仕事の設計で差がつくとよくわかります。会議、資料、調査、分析がバラバラに存在するのではなく、全部が同じ結論へ向かうための部品だと捉え直せるのが大きいです。

コンサル流の思考法に憧れる人にも役立ちますが、もっと価値があるのは「チームで成果を出す基盤」を学べる点でしょう。自分一人が頑張る仕事から、周囲を巻き込んで前に進める仕事へ移りたい人に向いた一冊です。

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    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

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