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レビュー

「社内でOKを取る」ための資料に、型を与えてくれる本

社内プレゼンは、外部向けのプレゼンと似ているようで難しさが違います。社内は前提知識が共有されているぶん、論点がズレると一気に通らない。逆に、合意形成さえできれば進む。だからこそ「資料の作り」で勝負が決まります。

本書は、その社内プレゼンに特化した資料作成術をまとめた一冊だと紹介されています。著者は、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を連発し、孫氏のプレゼン資料作成も任された人物として語られます。外向けの華やかさよりも、意思決定を動かすロジックと見せ方に強い人のノウハウ、という期待値が上がります。

具体的で使いやすいルールが多い

内容紹介で挙げられているルールが、すでに実務向きです。

  • 「5〜9枚でロジックを組む」
  • 「10秒でわかるスライドのコツ」
  • 「キーメッセージは13文字以内」

たとえば「5〜9枚」という枚数の制約は、情報を削る勇気を強制してくれます。資料が長くなると、論点の優先順位がぼやけやすい。枚数を絞ると「この提案で何を決めてほしいのか」が前に出ます。

「10秒でわかる」は、読み手の脳負荷を下げるルールです。社内の意思決定者は忙しいので、“理解に時間がかかる資料”はそれだけで不利になります。10秒で意味が取れるスライドを積み上げる発想は、説得力というより、配慮の設計だと思いました。

さらに「13文字以内」は、キーメッセージの密度を上げる訓練になります。短く言えない提案は、考えが固まっていない可能性がある。そういう痛いところを突いてくるルールです。

完全版で追加されたポイントが、いまの働き方に合っている

完全版としてのアップデート点も具体的で、「提案・報告・依頼それぞれのロジック展開」「A3一枚資料のつくり方」「オンライン・プレゼンの秘訣」などが新規項目として追加されたと紹介されています。

社内プレゼンは、目的によって勝ち筋が変わります。新規提案と、進捗報告と、協力依頼では、必要な情報の並べ方が違います。そこを分けてロジックを示すのは、現場でそのまま使えます。

また、A3一枚の資料は会議の議論を進める武器になります。枚数を減らすと、情報を削ることへの不安が出ます。けれど、一枚にまとめると「結論→根拠→次のアクション」を見せやすくなります。オンライン・プレゼンの項目を追加している点も、働き方が変わった今の実務に合っています。

目的別に「言う順番」を変えるだけで、通りやすさが変わる

社内での資料作成が苦しいのは、話したいことが多いからです。情報が多いと、順番が崩れやすい。順番が崩れると、意思決定者は「結局なにがしたいの?」で止まってしまいます。

本書が扱う「提案・報告・依頼」の切り分けは、順番を整える近道になります。たとえば次のように“型”を持つだけで、資料の迷いが減ります。

  • 提案:結論→理由→効果→リスク→必要な意思決定
  • 報告:現状→問題→原因→打ち手→次の一手
  • 依頼:背景→やってほしいこと→期限→相手のメリット→前提条件

細部は状況によりますが、「順番を決める」こと自体が武器になります。資料の良し悪しはセンスに見えます。でも、順番の設計はスキルです。本書は、そのスキルを言語化してくれるタイプのプレゼン本だと思います。

オンライン前提のコツが入っているのがありがたい

オンラインは、対面よりも“空気”が伝わりにくいです。だから資料の役割が大きくなります。文字が多いと読めない。図が小さいと見えない。話している間に別作業が入る。

そういう前提の中で「10秒でわかるスライド」というルールは、さらに意味を持ちます。オンライン時代の資料は、話の補助ではなく、理解の導線です。本書の完全版がその領域に踏み込んでいる点は、今読む価値につながると思いました。

「キーメッセージは13文字以内」も同じで、短く言えるほど、読み手の理解が速くなります。会議で揉まれる提案ほど、この“短く言えるか”が最後に効きます。

こんな人におすすめ

  • 社内の承認が取れず、提案が止まりがちな人
  • スライド作りに時間がかかり、毎回やり直しになる人
  • 目的別に資料の型を持っておきたい人(提案・報告・依頼)
  • オンラインでの説明が増え、伝わりにくさを感じている人

まとめ

『社内プレゼンの資料作成術【完全版】』は、社内で意思決定を動かすための資料作成に、具体的なルールと型を与えてくれる本です。「5〜9枚」「10秒でわかる」「13文字以内」といった制約は、資料の説得力を上げるだけでなく、読み手の負担を減らす設計にもつながります。提案・報告・依頼のロジック展開やA3一枚資料、オンラインの秘訣など、現代の仕事に合わせたアップデートも含めて、社内プレゼンに苦手意識がある人ほど効果を実感しやすい一冊だと思います。

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    佐々木 健太

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