レビュー
概要
スタンフォード大学の行動デザイン研究所に蓄えられた知見を体系化し、習慣を超えるためのメソッドを豊富な実例とともに示した本。著者は研究者として習慣形成と行動変容を長年追ってきた経験を活かし、習慣をつくるためだけでなく、習慣を超えて自由に自分を再設計するための方法論を提案する。
読みどころ
- 第1章では「設定・トリガー・報酬」の3層モデルを現代風にアップデートし、身体と感情のデータを入れて自動化する方法を示す。たとえば、スマホ通知をトリガーにするチェーンでは、本音では触りたくないときに意識的に「ストーリーボード」を読むことで、違う行動へ導く効果があるという。
- 中盤では「習慣の設計図」を用意し、行動を細分化して望む結果に合わせた環境構築のプロセスを段階的に解説。食事・運動・集中の習慣それぞれに「フェーズ」「症状」「調整シート」があり、何をどう測るかが詳細。
- 終盤は「習慣の解体」。習慣が逆効果になったときにどのようにブレイクするか、たとえば1回の柔軟エクササイズを「習慣の証拠」にしてから、逆にそのチェックリストを外す瞬間を計画するメソッドが提示されている。
類書との比較
『ライフ・シフト』が長期的なビジョンを語るのに対し、本書は「目の前の行動」から未来を変える。前者が「社会構造とスパン」を議論するなら、こちらは小さなスクリプトとサイクルで非同期に変化を起こす手法を示す点で異なる。習慣を超越するためのメタ視点と、実験的なトライ&テストが組み合わさっている。
こんな人におすすめ
・習慣が続かないと悩む人。環境デザインの部分からやり直す手順がある。
・自分をリセットして変化を求めたい人。習慣を捨てて、新しい行動パターンをデザインできる方法が紹介されている。
・行動デザインをプロジェクト化する人。フレームとシートをそのまま使える。
感想
習慣を簡単に作るためのリストではなく、自分をデザインするための素材を提供してくれる。項目をノートに書き出し、計測しながら「この習慣は自分を自由にするか」と問いを立て直す。スタンフォード流の意識的なプロトタイピングが日常を変えてくれた。