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レビュー

薬膳や漢方に興味はあっても、最初にぶつかる壁は言葉です。体質、季節、気血水など。概念が多くて、日々の食事へ落とし込みにくい。本書は、その落とし込みに特化した「食材帳」です。身近な食材197種類を、薬膳的な効能という軸で整理します。

構成は大きく3つです。第1章は、やさしい薬膳のきほんです。体と向き合うこと、自然に従うことが語られます。季節に合った食材を選ぶことも扱います。さらに、体質に合った養生法を知るという観点も入ります。食材の働きを知り、バランスを取る。そうした基本の考え方を先に置きます。

第2章が本体の「薬膳・漢方の食材帳」です。乾物、野菜、果物、魚と肉、調味料とその他に分けて掲載されます。なつめ、くこの実、黒ごま、大豆、ひじきといった乾物から始まり、とうもろこし、ピーマン、だいこん、しいたけなどの野菜へ続きます。果物や、牡蠣、いか、うなぎ、あじ、鶏肉、牛肉といった食材まで並びます。日常の買い物の延長で読める点が強みです。

さらに、レシピが随所に入ります。季節の薬膳茶があります。にがうり緑茶などの例が挙げられています。体質タイプ別の薬膳ごはんと粥もあります。青じそごはんなどが例として出ています。体質タイプ別の薬膳酒もあり、美容酒などが紹介されます。季節の薬膳スープもあり、そらまめのビシソワーズなどの例があります。手作り薬膳調味料として、薬膳ラー油なども載ります。知識が料理へ接続されているのが良いです。

第3章は、やさしい漢方のきほんです。漢方は漢方薬だけではない、という整理が入ります。気になる症状へのアドバイスも扱うとされています。女性の養生と男性の養生という視点もあります。薬の話に寄りすぎず、生活の工夫として扱う構えです。

巻末の作りも実用的です。用語解説があります。症状別インデックスがあります。食材索引もあります。困ったときに引ける辞書として使えます。薬膳を「特別な料理」から「いつもの食材選び」へ引き寄せたい人に向く1冊でした。

197種類という量がちょうどいい

薬膳の本は、概念だけで終わるものもあります。逆に、専門書すぎて日常から遠いものもあります。本書は、身近な食材を197種類に絞っている点が現実的です。買い物で見かける食材が中心なので、読みながら台所へ持ち帰れます。

たとえば乾物の章には、なつめや、くこの実などが挙げられています。薬膳というと特別な材料に見えます。けれど、乾物は保存がききます。常備しやすいです。ここから入れるのは親切です。

野菜の章は、とうもろこしやピーマン、だいこん、しいたけなどが例に出ています。特別な食材ではありません。日々の料理で出番が多いものです。果物の章には、いちご、もも、びわ、柿、アボカド、ゆずなどが並びます。魚と肉の章には、牡蠣、いか、うなぎ、あじ、鶏肉、牛肉といった定番が入ります。これなら続きます。

レシピが「続ける仕組み」になっている

知識は分かっても、料理が変わらないと続きません。本書はレシピをセットにしています。季節の薬膳茶があります。体質タイプ別の薬膳ごはんと粥があります。体質タイプ別の薬膳酒もあります。季節の薬膳スープもあります。手作り薬膳調味料も載ります。薬膳ラー油のように、調味料にしてしまうと応用が利きます。ここが実用書として強いです。

漢方を「薬」だけで終わらせない

第3章の「漢方=漢方薬ではない」という整理は重要です。漢方は薬の話になりがちです。ですが、日々の養生も含みます。本書は、症状へのアドバイスや、女性と男性の養生という視点も扱うとされています。食材帳と漢方の基本がつながると、体調管理の言葉が増えます。

使い方のおすすめ

読み方は2つあります。1つ目は、よく使う食材から読む方法です。いつもの食材が、どんな働きを持つとされるのかを知る。2つ目は、症状別インデックスから引く方法です。気になる状態があるとき、該当する項目から食材へ戻る。こうすると、情報が点ではなく線になります。

薬膳は、毎日を少し楽にするための知恵です。本書は、難しい言葉を「食材」という具体へ落とし込むための道具になります。料理を大きく変えずに、体調管理の感度を上げたい人に合う1冊でした。

注意点

薬膳や漢方の話は、体調不良のときほど強く惹かれます。ですが、重い症状がある場合は医療に相談するのが前提です。本書は「日々の食事でできること」を増やす本として読むのが安全です。症状別インデックスは便利です。けれど、自己判断で抱え込まないための補助として使うのが良いと思います。

毎日続けるなら、まずは薬膳茶やスープのレシピから試すと取り入れやすいです。次に、食材帳で「よく買う食材」の説明を読む。こうして往復すると、知識が生活に残ります。

食材の説明を読むときは、食べ合わせのヒントにも注目すると良いです。効能だけを暗記しようとすると続きません。いつもの献立に足せる工夫として読むと、無理が減ります。

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    佐々木 健太

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