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レビュー

概要

『英文会計入門』は、財務諸表の英語をただ訳せるようにするだけでなく、会計の概念を英語でどう理解し、どう説明するかまで視野に入れた入門書です。会計と英語が両方絡むと、初学者は二重に詰まりやすいものです。勘定科目の意味があいまいなまま英単語を覚えようとしても定着しませんし、逆に会計知識があっても英語表現の型が分からないと資料が読みにくい。本書はその間をつなぐ本としてかなり実務的です。

扱う内容は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の基本、主要な会計用語、比率分析、英文報告の読み方など、会計英語の基礎に必要な部分が中心です。専門書のように高度な論点へ一気に入るのではなく、日本語で会計の意味を確認しつつ、英語でどう表されるかを見せるので、業務で急に英文財務資料へ触れる立場になった人にも使いやすい構成になっています。

読みどころ

最大の読みどころは、「単語を覚える本」で終わっていないところです。Assets、liabilities、equity、depreciation といった単語を訳語で並べるだけなら一覧表でも足りますが、本書はそれぞれが会計上どんな役割を持ち、英文資料の中でどのように使われるかまで追わせます。用語の意味と文脈が一緒に入るので、単なる暗記よりずっと実務で使いやすいです。

また、財務三表を別々の表としてではなく、互いに関係する情報として捉えさせる点も良いです。英語資料を読むときは、日本語以上に「いま何を説明しているのか」を早く掴む必要があります。本書では、売上、利益、費用、資産、負債、キャッシュの関係が整理されているため、英文の決算説明やレポートに出会ったときにも読み筋を作りやすくなります。

さらに、英文会計の学習では「数字をどう読むか」より「数字をどう伝えるか」が重要だと分かる構成です。財務比率や増減の説明は、単に語彙の問題ではなく、何が重要で、どこを比較し、どう順序立てて述べるかの問題でもあります。本書はそこに少し踏み込んでいて、会計英語を業務の言葉として扱う感覚を作ってくれます。海外取引や英文IR資料に苦手意識がある人にも役立ちます。

類書との比較

英語財務の本には、単語集や訳例集に近い本も多くあります。それらが「こう訳す」を中心にするのに対して、本書は「何を言っているのか」を理解するところへ重心があります。だから、翻訳者だけでなく、経理、経営企画、営業管理、投資関連の実務担当者にも相性がいいです。

また、英語学習本と比べても、本書はかなり対象が明確です。一般的なビジネス英語の本ではカバーしきれない会計の固有表現に絞られているため、必要な人にとっては回り道が少ないです。会計を学ぶ本であり、同時に専門英語を学ぶ本でもある、その二面性が強みです。

特に、決算資料や英文IR、海外子会社とのやりとりで「単語は見たことがあるのに意味が繋がらない」と感じる人には助けになります。会計の概念が先に整理されるので、英語だけを追って迷子になる時間を減らしやすいです。専門分野の英語学習は対象を絞るほど効率が上がると実感しやすい本です。

こんな人におすすめ

  • 英文の財務資料や決算関連資料に初めて触れる人。
  • 経理・財務・経営企画で、会計英語の土台を作りたい人。
  • 英語は読めても、会計用語になると理解が曖昧になる人。
  • 単語暗記ではなく、実務の文脈で会計英語を身につけたい人。

感想

この本の価値は、英語と会計を別々の科目として扱わず、1つの業務言語として結びつけてくれるところにあります。英文会計というと難しく見えますが、本書は「どの概念をどう表すか」を順番に整理してくれるので、苦手意識がかなり薄れます。会計の基礎を確認しながら英語資料を読む力をつけたい人には、派手さはなくても堅実に効く一冊です。実務の入口としてかなり頼れます。海外案件の準備段階で読む価値が高いです。会議や資料作成で英語の数字説明に詰まりやすい人にも役立つはずです。

とくに、英語力の問題だと思っていた詰まりが、実は会計概念の理解不足だったと気づけるのが大きいです。逆に、会計は知っているのに英文になると急に自信がなくなる人にも効きます。数字そのものより、増減の背景や構造をどう英語で追うかが分かるので、決算短信の英訳や海外レポートの読解に入る前の土台として使いやすい本でした。

派手にスコアが上がるタイプの学習書ではありませんが、業務で英文財務資料を読む人には確実に効きます。経理や財務の担当者だけでなく、IR、経営企画、海外営業のように数字説明へ関わる人が読んでも、使う場面を想像しやすいはずです。専門英語を実務に接続する入門書として、かなり堅実な一冊でした。

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    佐々木 健太

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