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レビュー

概要

不動産投資の営業現場で4800件を超える売買を支えた新川義忠が、売却という一瞬の意思決定を乗り切るためのフレームを提供します。全6章構成で、最初に業者選びの判断軸を8項目で整理し、次に媒介契約から査定や契約不適合責任までの基礎知識を「9つの視点」で要点化。続く章では木造アパート、RC、区分所有、商業物件と物件種別ごとにどこで価格交渉のカードを切るべきかを事例入りで示し、最後の税金編では譲渡所得税・居住用の特例・減価償却などの計算の仕方を示しながら「税理士に丸投げしない」心構えを強調します。

読みどころ

膨大な実務データから「業者への質問」を仕組み化した第1章と、税務・契約・事例を連動させた終盤の一体感が魅力。とくに第1章のチェックポイントは「複数の売却ルート」「相場感の裏取り」「実績や口コミ」に加えて「現場の営業担当者がどのくらい実務者目線で問いかけてくるか」まで含む点で、読者が質の高い営業マンを見抜くアラートになっている。第2章では査定の計算要素を整理し、媒介契約のメリット・デメリットを一覧化。その後の実例編では、木造アパートに対して「設備表や契約書で瑕疵を先出し」するステップ、RCマンションでの「将来家賃と売価の連動」、区分所有の「資産価値を疑う目線」などの違いを提示し、単なる成功体験ではない「失敗しないための防御」が軸になっている。税金編では譲渡所得のシミュレーション表や特例適用のケーススタディが載り、営業担当者の提案を即座に検算できるレベルの計算力を手に入れることができる。

類書との比較

売却指南の書籍群には、ステージングや内覧演出に時間を割いたものが多いが、新川のアプローチはむしろ「業者の実力とズレを見抜く」ことに注力する。例えば『マンションを高く売る法』が内覧の魅せ方やリフォームの予算に引き込むのに対し、本書は媒介契約の種類や査定根拠、税金の想定を読み解くことを先にしている。対して『収益不動産の売却バイブル』は利回りの数字に重きを置くが、本書は税制・契約・業者とのコミュニケーションという3つの粒度でダブルチェックできる仕組みを組み込み、実務的な安全弁を重視する。

こんな人におすすめ

  • 初めて物件を売却する個人投資家で、業者に言いくるめられたくない人
  • 収益物件を手放すタイミングを探っており、数値とストーリー両方を確認したい人
  • 税金や契約条項を自分で検算し、決断時に正しい質問を投げたい人
  • 複数の売却ルートを持ち、最短かつ高値を狙う「次の一手」が知りたい人

感想

章ごとにチェックリストとシミュレーション表が織り込まれており、読者自らがワークシートを埋めていく形で理解が進む構成。物件種別ごとの事例は、木造アパートでの管理会社との対話、区分所有での税金の逆算、RCマンションでキャッシュフローと売却価格を並列で見る技能を同時に示す。税金編では、譲渡所得税・減価償却・居住用特例などを逆算するテンプレートがあり、税理士への質問の準備ができる。書式とチェック項目をそのまま現場で使える点で、教科書的な理屈だけではなく「即戦力のツール」である実感が得られた。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

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