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レビュー

概要

『子どもにかかるお金大全』は、出産から大学まで、子どもにまつわる支出を時系列で見える化してくれる家計本です。教育費だけでなく、保育料、習い事、医療、受験、通学、生活費まで含めて全体像をつかませてくれるので、「結局いくら必要なのか」が曖昧なまま不安だけが膨らむ状態を減らしてくれます。

本書の特徴は、お金の本でありながら、節約テクニックに偏らないことです。支出の全体像を把握したうえで、NISA、保険、助成金などの制度をどう使うかを考える流れになっています。つまり、「制度を先に決める」のではなく、「わが家に必要な準備は何か」を先に整理する本です。この順番がかなり大事だと感じました。

読みどころ

まず役立つのは、子どもにかかるお金をライフステージごとに区切って示してくれるところです。妊娠・出産、乳幼児期、小学校、中学受験、高校、大学と進むにつれて、出費の種類がどう変わるかが見えます。教育費の本は学費だけを強調しがちですが、本書は習い事、塾、部活、交通費、家でのサポート費用まで含めて考えさせます。そのため、見落としていた固定費や変動費に気づきやすいです。

次に良いのが、制度の扱いが比較的冷静な点です。NISAも保険も助成金も、「これさえやれば安心」という書き方ではなく、使える場面と限界を分けて説明します。たとえば、教育費を積み立てる仕組みとして何が向くのか、保険で備えるべきリスクは何か、公的支援はどこまで期待できるのかを整理してくれるので、商品選びに振り回されにくくなります。

また、本書は家計管理を数字の話だけで終わらせません。夫婦や家族でどう話し合うかという視点が入っているのが実用的です。教育費は、収入の多寡よりも、優先順位をどこに置くかで体感負担が変わります。私立進学をどう考えるか、習い事をどこまで広げるか、受験費用をどう捉えるか。本書は、そうした家族内の意思決定に使える材料を用意してくれます。

さらに、将来不安をあおるより、段取りに変換してくれるのが良いところです。子どもにかかる費用は大きいですが、総額が見えるだけで準備の仕方は変わります。毎月いくら積み立てるか、どのタイミングで負担が重くなるか、何を後回しにしないかが分かるので、漠然とした不安がかなり具体的な行動に変わります。

類書との比較

教育費の本には、学費シミュレーション中心の本と、投資や保険の商品活用に寄った本があります。本書はその中間で、支出の全体像を先に押さえ、そのうえで制度を組み合わせる構成です。だから、投資経験が浅い人でも入りやすく、逆に金融商品だけで何とかしようとする危うさも避けやすいです。

また、子育てエッセイ寄りのお金本よりも、かなり実務に寄っています。一方で、FP向けの専門書ほど硬くはありません。これから子どもの進学や教育費を考える一般家庭が、最初に土台を作る本としてちょうどいいバランスだと思います。

こんな人におすすめ

これから教育費を準備したい家庭におすすめです。特に、まだ子どもが小さい家庭には向いています。準備の始め方が分からないときでも、全体像が見えるだけで動きやすくなります。公立と私立、習い事の量、受験の有無で差が出ることも見えやすくなります。

また、すでに子育て中で、出費がばらばら増えて家計管理が追いつかなくなっている家庭にも役立ちます。教育費だけでなく、生活全体の中で子ども関連支出を捉え直したい人にとって、かなり使いやすい一冊です。

感想

この本を読んで良かったのは、「子どもにお金がかかる」という当たり前の話を、感情ではなく段取りとして考え直せたことでした。何歳ごろに何の支出が増えるのかが分かるだけで、家計の不安はかなり扱いやすくなります。本書は、不安を消す本というより、不安を計画に変える本だと思います。

もう1つ印象的だったのは、制度を主役にしない点です。NISAを使うことが目的ではありません。まず必要額を見積もる。次に積立方法を決める。最後にNISAや保険、助成金を手段として並べる。この順序なら、流行の制度に振り回されにくいです。子育て世帯がお金の話を始める入口としてかなり良い本です。夫婦で同じ表を見ながら話しやすいのも利点です。教育費の不安を、家計会議のテーマとして整理したい家庭にも合います。先送りしがちな話題に着手しやすくなります。実用度は高いです。

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    佐々木 健太

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