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レビュー

概要

『不動産投資 これだけはやってはいけない!』は、不動産投資の成功談ではなく、失敗の入口を先に見せる本です。著者は長谷川高さん。大手デベロッパーでの実務経験と独立後のコンサル経験を背景に、「初心者がどこで判断を誤るか」をかなり具体的に整理しています。

この本の良さは、不動産投資を夢のある資産形成法として盛り上げるのではなく、失敗すると何が起きるのかを先に見せるところです。利回りの見かけの良さに飛びつく、営業トークをうのみにする、融資条件を甘く見る、出口戦略を考えずに買う。そうした典型的なミスを避けるだけでも、不動産投資の精度は大きく変わると実感できます。

読みどころ

  • まず印象に残るのは、「買ってはいけない理由」を言語化している点です。表面利回りが高く見えても、修繕費、空室率、管理コスト、将来の売却難まで含めると成立しない物件は多い。本書はそこを感覚ではなく、チェックポイントとして整理してくれます。
  • 融資まわりの話も実務的です。借りられる額と、無理なく返せる額は違うという当たり前を何度も確認させます。金利、返済比率、自己資金、金融機関との向き合い方まで含めて、勢いで契約しないための視点が入っています。
  • また、本書は「物件を買う前」だけでなく、「保有してから困ること」にも触れています。空室、家賃下落、入居者対応、管理会社任せの危うさなど、運用段階で起こる面倒を先に知れるので、投資を事業として見る感覚が育ちます。
  • とくに役立つのは、営業側の都合と投資家側の都合が違うことをきちんと意識させるところです。勧められたから安心ではなく、自分で前提を分解して判断する必要がある。その姿勢を持てるだけでも、この本を読む意味があります。
  • さらに、本書は出口戦略の重要さを軽く扱いません。不動産投資は「買った瞬間に勝ち負けが決まる」面が強い投資です。売却で困る物件を持つと、身動きが取りづらくなります。出口まで考える発想は重要です。初心者ほど早めに持っておきたい視点でした。
  • 加えて、著者の語り口が「絶対に儲かる方法」ではなく「こういう前提なら危ない」という現実寄りなのも信頼しやすい点です。不動産投資は金額が大きく、間違えたときの修正コストも重いので、慎重な見方を先に入れてくれる本は貴重です。

類書との比較

不動産投資本には、成功者の体験談や、年収アップの華やかな事例を前面に出す本が少なくありません。それらはモチベーションにはなりますが、初心者が最初に読むには情報の重心が少し危ういこともあります。その点、本書はあくまで事故防止寄りです。

また、税金や節税だけに寄った不動産本とも違います。本書が重視するのは、物件、融資、管理、出口まで含めた全体の安全性です。短期間で夢を見せる本ではなく、長く持ち続けても困らない投資かどうかを見極めるための本として読むと価値がわかりやすいです。

成功法則の本より地味ですが、実際に役立つのはこういう本だと感じました。不動産投資で大きく勝つ前に、大きく負けないための感覚を入れる。その意味で、かなり堅実な入門書です。

初心者向けの不動産本の中には、購入までの勢いをつけることに重心があるものもあります。本書は逆で、勢いをいったん止めて判断を冷静にする本です。そのブレーキ機能こそ、最初の一冊としての価値だと思います。

こんな人におすすめ

  • 初めて不動産投資を検討している人
  • 営業提案をうのみにせず、自分で判断したい人
  • 融資や管理のリスクを先に知っておきたい人
  • 成功談より失敗回避の知識を優先したい人

感想

この本を読んでよかったのは、不動産投資を「物件選びの勝負」ではなく、「ミスを減らす判断の積み重ね」として見直せたことでした。うまくいった人の派手な話より、やってはいけないことを先に知るほうが、実際にははるかに役立ちます。

不動産投資に興味はあるが、情報が多すぎて何を信じればいいかわからない人にはかなり向いています。儲け話にブレーキをかける本なので、読むと少し慎重になりますが、その慎重さこそ必要な投資もあります。

この本は、投資を止める本ではなく、雑に始めないための本です。まず失敗の型を知ってから始めたい人には、かなり実用的な一冊でした。

不動産は一度持つと長く付き合う資産です。その入口で判断を誤らないために、華やかな成功談より先に本書のような失敗回避の本を読む意味は大きいと感じました。

とくに、不動産投資を「勉強しながらやればいい」と軽く考えている人ほど、本書は効くはずです。勉強コストより失敗コストのほうがはるかに大きい世界だからこそ、最初に読む本としての価値があります。

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    佐々木 健太

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