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レビュー

概要

『手取り17万円からの貯金の教科書』は、収入が多くない人でも家計を立て直せるように、節約と貯金の考え方をかなりやさしく整理した本です。特徴は「気合いで我慢する節約」に寄らないことです。著者は家計再生の実績で知られる横山光昭。大きく稼ぐ方法より先に、いまの収入でお金が残らない構造をほどくことに集中します。

手取りが低いと、貯金本は読んだだけで苦しくなることがあります。しかし本書は、固定費、食費、特別費、キャッシュレスの使い方など、すぐ見直せる順番で話を進めるので入りやすいです。イラスト図解の形もあって、「家計管理が苦手な人向けの再起動本」としてかなり使いやすいと感じました。

読みどころ

まず助かるのは、節約を「何でも削ること」として扱わないところです。本書は、先に固定費から見直し、毎月自動で漏れていく支出を止めることを重視します。通信費、保険、使っていないサブスク、なんとなく続けている出費など、本人が疲れにくいところから減らす発想です。ここを押さえるだけで、努力に対する効果がかなり変わります。

次に実用的なのが、家計簿を完璧に続けられなくても回る設計です。毎日細かく記録しなくても、月ごとの枠を意識し、危ない費目だけを把握すれば立て直せると示します。家計本は管理の手間が増えて挫折しがちですが、本書は「続けられる粗さ」を認めているので、ズボラな人ほど相性がいいです。

また、本書は「節約しているつもりで損している行動」にもかなり厳しいです。安物買いで買い直しが増える、ポイント目当てで余計なものを買う、たまのご褒美が習慣化している、といった落とし穴を具体的に挙げます。だから読んでいて耳が痛い部分もありますが、実際にお金が残らない原因はこういう無自覚な漏れにあると分かります。

さらに、貯金をゴールにしすぎないのも良いところです。生活防衛資金を作る、特別費を先に見込む、将来の不安を減らす、といった順番があり、余裕が出てから資産形成へ進めばよいという姿勢です。最初から投資や高難度の家計管理に飛ばないので、収入が限られている読者にも無理がありません。

イラスト図解の形式も効いていて、文章だけの家計本が苦手な人でも頭に入りやすいです。数字に強くない人ほど、支出のどこが危険で、どこが優先順位の高い見直しポイントなのかを視覚的に把握しやすいと思います。

類書との比較

家計改善本の中には、節約テクニックを大量に並べるものがあります。本書はそうした本よりも、何から見直せば心が折れにくいかに配慮しています。つまり情報量で押す本ではなく、順番を整える本です。

また、投資入門書のように増やす話へ急がず、まず漏れを止めることを重視するのも特徴です。貯められない状態で増やす話をしても続きにくい、という現実に寄っています。家計管理の初手としてかなりまともです。

似たテーマの本の中でも、本書は「我慢の根性論」を避けている点で読みやすいです。節約の正しさを説教するのではなく、生活に無理の出にくい順番で改善を提案するので、読後に実際の行動へ移しやすいと感じました。

こんな人におすすめ

手取りが少なくて、貯金は一部の人にしか無理だと思っている人におすすめです。特に、家計簿に何度も挫折した人、節約を始めても反動で散財しやすい人には合います。

また、家計を整えたいけれど、仕事や育児で細かい管理に時間を割けない人にも向いています。がんばりすぎない設計なので、生活を壊さずに続けやすいです。まず毎月少しでも残る状態を作りたい人向けの本だと思います。

パートナーと家計を共有し始めたい人にも使いやすいです。難しい金融用語が少なく、会話の土台として使えるので、「何から減らすか」を責め合いではなく整理として進めやすくなります。

感想

この本を読んでよかったのは、貯金できない理由を意志の弱さではなく、家計の仕組みの問題として見直せたことです。節約が続かない人ほど、自分を責めやすいですが、本書はそういう読み手を追い詰めません。どこから手をつければ効果が出るかを順番で示してくれるので、気持ちがかなり軽くなります。派手な裏技はない代わりに、実際に暮らしへ戻したときに残る本でした。

収入が低いと、家計本そのものに距離を感じる人も多いと思います。本書はそのハードルを下げ、まずは小さく整えるところから始めてよいと示してくれます。お金の本に苦手意識がある人ほど、最初の一冊として読みやすいはずです。

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    佐々木 健太

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