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レビュー

概要

『たった1日で即戦力になるExcelの教科書【増強完全版】』は、Excelを詳しくなるために学ぶ本ではなく、仕事を早くするために学ぶ本です。著者の吉田拳さんは、関数や機能を網羅的に並べるのではなく、実務で本当に使うものだけを厳選し、「これだけ押さえれば仕事が変わる」という順番で整理しています。

この本のよさは、初心者向けなのに現場感が強いことです。ショートカット、参照、SUMやIF、COUNTIF、VLOOKUPといった基礎関数、データの並べ方、日付や文字列の扱い、フィルタや並べ替えなど、毎日の業務で効く論点が中心です。Excel本にありがちな「知識は増えたが仕事は速くならない」という状態になりにくく、学んだことがそのまま翌日の実務へ戻っていきます。

読みどころ

  • まず良いのは、「覚える量を減らす」設計です。Excelは機能が多いので、初心者ほど何から手を付けるべきか迷います。本書は、必要な関数や機能をかなり絞り込み、優先順位をはっきりさせています。全部を学ばなくても仕事はかなり改善できる、という安心感がある本です。
  • 第1章で扱うショートカット、自動変換の解除、データ保護、共有前提のシート設計といった話がとても実務的です。ここは地味に見えますが、日々のストレスや事故を減らす要点が詰まっています。Excelを長く使う人ほど、こういう基礎の差が効いてきます。
  • 関数パートもバランスがいいです。SUMやIFのような基本から始まり、SUMIF、COUNTIF、VLOOKUPへ進むので、難しすぎず、でも物足りなくもありません。特にVLOOKUP関数は、検索列、絶対参照、エラー処理、列順が変わったときの考え方まで触れていて、実務でつまずきやすい部分を押さえています。
  • この本が強いのは、表の作り方に踏み込んでいることです。セル結合に頼る“神Excel”を避け、並べ替え、オートフィルタ、ピボットテーブルがきちんと機能するデータベース形式の考え方を教えます。ここを先に学ぶだけで、あとから集計や共有がかなり楽になります。
  • 日付、時刻、文字列の処理が丁寧なのも好印象でした。締め日計算、住所分割、氏名の切り分け、入力ミス防止など、現場でよくある面倒ごとにきちんと答えてくれます。関数の知識だけではなく、Excelで仕事を回す感覚そのものを渡してくれる本だと思います。
  • さらに印象に残るのは、「Excelの勉強に必要以上の時間を使わない」という思想です。新機能や新関数を追い続けるより、普遍的な原理原則を押さえたほうが仕事には効く、というメッセージが一貫しています。これは学習コストを抑えたい社会人にとってかなり重要です。

類書との比較

Excel本には、資格試験対策型、関数辞典型、機能一覧型がありますが、本書は「実務改善型」と言える立ち位置です。全部を説明するのではなく、仕事の生産性を上げる順番で内容が組まれているので、忙しい社会人でも読み切りやすいです。

また、上級者向けの自動化本へいきなり進むよりも、この本で参照、関数、表設計の考え方を固めたほうが伸びやすいと感じます。Excelに苦手意識がある人の入口としても、新人教育用の1冊としてもかなり使いやすいです。

こんな人におすすめ

  • Excelが苦手なまま仕事で使っている人
  • 忙しくて分厚い入門書を読む気になれない社会人
  • 明日から使える内容を優先したい事務職、営業職、管理部門の人
  • チームの新人にまず読ませる1冊を探している人

感想

この本を読んでよかったのは、Excelを機能の集合ではなく、仕事を整える道具として見直せたことでした。関数をたくさん覚えるより、データの持ち方や参照の考え方を先に整えるほうが、結果としてずっと効きます。本書はその順番を崩しません。

1日で全部をマスターする本ではありませんが、1日で「何を先に学べば仕事が変わるか」をつかむにはとても良い本です。遠回りせずにExcelを実務へつなげたい人にすすめやすい一冊でした。

特に、自己流で何年も使ってきた人ほど、学び直しとして読む価値があります。変な癖を放置したまま作業量だけ増やすと、Excelはすぐ非効率になります。本書はその土台を短時間で立て直す本として、かなり完成度が高いと感じました。

Excel本を買って積んでしまいがちな人にも向いています。読み切れる分量のなかに、業務で効く論点が詰まっているからです。学んだことが翌日の作業時間に返ってくる感覚を得やすいので、挫折しにくい入門書でした。

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    佐々木 健太

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