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レビュー

概要

『医師も薦める子どもの運動』は、3歳から12歳くらいまでの子どもに必要な運動を、家庭でも実践しやすい形にまとめた本です。著者の中野ジェームズ修一はトップアスリートも指導するフィジカルトレーナーです。本書では子どもの体づくりを「競技のため」ではなく「一生使う身体の土台づくり」として捉えています。

タイトルどおり、スポーツの先生の感覚論ではなく、スポーツ医学の監修を踏まえた構成なのが特徴です。子どもに何をやらせるとよくて、何を無理にやらせないほうがいいのか。筋トレ、ストレッチ、柔軟性、姿勢、体幹、遊びの質などを、保護者にもわかる言葉で整理しています。

運動神経を伸ばす本というより、子どもの成長を邪魔しない運動習慣を作る本と読んだほうがしっくりきます。体育や習い事だけでは不足しがちな「日常の動き」をどう補うかに目が向くので、運動が得意な子だけでなく、外遊びが減っている今の子ども全般に役立つ内容です。

読みどころ

いちばんの読みどころは、「子どもがやるといいこと」と「やらないほうがいいこと」を分けている点です。大人向けの筋トレやストレッチをそのまま子どもへ当てはめるのではなく、発達段階に応じて必要な刺激を見極める視点があります。ここが、運動不足を心配する親ほど参考になります。

また、本書は体幹、足、肩甲骨、柔軟性、バランスといった要素を家庭で観察しやすい形にしています。写真や図、QRコード動画なども活用しながら、子どもの動き方を見て「今どこが弱いのか」を把握できるので、親がただ見守るだけで終わりません。運動教室へ任せきりにしないための本とも言えます。

遊びの重要性を強く押し出しているのもよいです。真面目なトレーニングを積ませる前に、まず多様な動きを経験すること、楽しく動くこと、自分の体を思いどおりに使う感覚を育てることが大切だとわかります。子どもの運動を「競技成績」ではなく「生活機能」として捉え直せるのが、この本の強みです。

本書の重要ポイント

本書で重要なのは、子どもの運動を大人の縮小版として扱わないことです。成長途中の体には、その時期に合う負荷と刺激があり、姿勢や柔軟性、バランス感覚などの基礎が整っていないまま、見栄えのするトレーニングだけを増やしても逆効果になる場合があります。

さらに、運動は体力づくりだけでなく、自己効力感や生活習慣にもつながると読めます。できた、動けた、少しずつうまくなったという感覚は、子どもの自信に直結します。運動を「消費カロリー」ではなく、「体と心の土台づくり」として考え直せるのは大きいです。

親向けの本としても優秀で、見るポイントが具体的です。猫背気味、しゃがむのが苦手、走るとすぐ疲れる、ボールを避けがちなど、気づきの入口が多いので、家庭での観察眼が上がります。医療監修があるぶん、過剰な不安をあおらず、現実的に始めやすいのも助かります。

類書との比較

スポーツ指導本の多くは競技やトレーニングメニュー中心ですが、本書はもっと手前の「発達に合った身体の使い方」を重視しています。特定競技の上達より、どの子にも必要な基礎運動能力へ焦点があるため、汎用性が高いです。

また、医学監修のある子ども向け運動本として、親が安心して実践しやすいのも特徴です。理論だけに偏らず、家庭でやれる範囲まで落ちているので、読みっぱなしで終わりにくいです。

こんな人におすすめ

子どもの運動不足が気になる家庭、姿勢や体の使い方に不安がある保護者、スポーツ教室へ入れる前に基礎を整えたい人におすすめです。特に、外遊びが減って体力や柔軟性が落ちていると感じる今の子どもには相性がいいです。

また、運動が苦手な子を持つ親にも向いています。才能や根性の話ではなく、発達に合った土台づくりから考える本だからです。運動嫌いにさせず始めたい家庭向けです。

感想

この本を読むと、子どもの運動は「何をどれだけやらせるか」より、「今の体にどんな土台が必要か」を見るほうが大事だとわかります。親としても、ただ頑張らせるのではなく、動きの質を観察する目を持てる点が大きいです。

家庭でできる範囲の工夫が多く、無理に特別な器具や教室へ頼らなくても始められる点も好印象でした。子どもの体を長い目で育てたい家庭に、かなり実用的な一冊です。習い事の前に土台を整えたい保護者ほど、手元に置く価値があると思います。

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    佐々木 健太

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