レビュー

概要

『この人と結婚していいの?』は、結婚前後の「こんなはずじゃなかった」を、男女の思考・行動の違いからユーモラスに解きほぐし、関係を育て直す視点をくれる本です。著者はプリマリタル・カウンセリング(結婚前カウンセリング)などを学び、数多くのカップルの相談に向き合ってきた立場から、「結婚して幸せになる自信がありますか」と問いかけます。

本書の特徴は、比喩が強いこと。「男はウルトラマン、女はシンデレラ」という見立てで、男女の期待や役割意識のズレを説明します。もちろん個人差はありますが、“ズレが起きる型”を先に知っておくと、衝突を減らせる。そういう実用書です。

読みどころ

1) 目次の時点で、結婚の論点が整理される

プロローグの「結婚して幸せになる自信がありますか」から始まり、第1章は「未知との再遭遇ー知っておきたい男と女の6つの違い」。結婚は“知っている相手”とするもののはずなのに、暮らしが始まると未知が増える。その感覚が言語化されます。

2) 「ウルトラマン思考」と「シンデレラシンドローム」

第2章のタイトルが象徴的です。ウルトラマン思考は、何かを倒して解決しようとする直線的な発想の比喩。シンデレラシンドロームは、「分かってくれるはず」「迎えに来てくれるはず」という期待の比喩として機能します。2つが噛み合わないと、会話がすれ違う。その構造が見えます。

3) 後半の「性・家族・お金」で、現実の論点に降りてくる

第5章は「ベストリレイションを築くための『性・家族・お金』」。きれいごとで終わらず、揉めやすい論点を真正面から扱うのが良いところです。

本の具体的な内容

この本が扱うのは、理想の結婚像ではなく、“破局に向かう手前のズレ”です。

たとえば、よくある悩みとして「結婚したら夫が急に無口に…」が出てきます。これは、愛情が消えたというより、生活が始まって脳の負荷が変わり、会話の目的が変わることで起きる、と整理されます。逆に「突然怒ったり泣いたりする彼女が理解できない」という悩みも出ます。感情をことばにして整えるタイプの人にとって、沈黙は不安を増やす。だからこそ表現が激しくなる。こうしたズレを「面倒くさい」で切り捨てるのではなく、「型」として見せてくれるのが本書です。

第1章「男と女の6つの違い」は、結婚後に噴き出す“えっ、そんなところ?”を事前に知るための章です。違いは、価値観の高尚な対立ではなく、日常の小さな判断(何を優先するか、どう感じるか)に出る。小さいからこそ積もり、爆発する。ここを早めに言語化しておくことが、予防になります。

第2章の「ウルトラマン思考とシンデレラシンドローム」は、相談の場面で実際に起きているズレを、比喩でつかみやすくした章です。ウルトラマンは“敵を倒す”のが仕事なので、相談を「解決すべき問題」として受け取りやすい。一方でシンデレラは、“わかってもらう”“迎えに来てもらう”物語に期待を乗せやすい。ここが噛み合わないと、夫側は「何をしてほしいか言って」と思い、妻側は「言わなくても察して」と思う。どちらが正しいという話ではなく、期待の置き場所が違うという話として読めます。

第3章「二人を引き裂くタブーを知れ!」と第4章「破局物語ー最高!最低!どっちが本当?」は、関係が壊れるときの“禁止事項”と“認知の揺れ”を扱います。喧嘩の最中は、相手が最低に見える。仲直りすると最高に見える。その両極端が、どちらも“真実の一部”でしかない、という視点は冷静さを取り戻す助けになります。

そして第5章「性・家族・お金」は、避けて通れない現実です。「性生活が不一致で…」のような悩みが、恥ずかしさで放置されると、関係全体が冷えていく。家族との距離感、お金の価値観も同じで、曖昧にすると爆発する。ここを“話す技術”として扱ってくれるのはありがたいです。

類書との比較

結婚本は、理想の夫婦像を語るものも多いですが、本書は「問題が起きる型」を先に提示して、衝突を小さくする方向に寄っています。比喩が強い分、合う合わないはありますが、難しい話を一気に分かりやすくする力があります。

こんな人におすすめ

  • 結婚を考えているが、不安が言語化できていない人
  • 交際中で、喧嘩のパターンが見えてきたカップル
  • 倦怠期・破局寸前で、関係の立て直しの視点が欲しい夫婦

感想

この本を読んで感じたのは、結婚は「気持ち」だけで続けるものではなく、「ズレを扱う技術」で続ける面が大きい、ということでした。男女の違いを盾にして諦めるのではなく、違いを前提に運用を設計する。その方向へ背中を押してくれます。

結婚の判断に迷ったとき、相手の欠点探しをする前に、まず“ズレの型”を見直す。そんな読み方ができる本でした。

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