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レビュー

概要

『おこりたくなったら やってみて!』は、怒りや不安、かなしみのような「扱いにくい感情」を、子ども自身が整える入口を作る絵本です。ユニコーンのこども・ガストンと一緒に、気分を切り替えるための簡単な呼吸法を学ぶ構成になっています。

ポイントは、気持ちを「我慢する」「外からなだめる」方向へ寄せないことです。まずは今の気分を客観的にとらえます。次に、呼吸で手放す練習へ進みます。親子の会話が感情の説明で止まるときに、具体的な“次の一手”が用意されているのが強みです。

読みどころ

1) 呼吸法を「感情のハンドル」として教える

本書は、怒りを正しさで抑え込むのではなく、呼吸で落ち着ける道筋を示します。感情は消せません。けれど、扱い方は練習できます。その感覚を、絵本の体験として手渡してくれます。

2) 「今どんな気分?」を言葉にする練習になる

呼吸の前提として、自分の状態を見つめる場面があります。気持ちを言い当てる力は、コミュニケーションの土台です。怒りのまま動く前に、自分の内側を確認する癖がつきます。

3) 親の負担を減らす“再現可能なやり方”

子どもの感情を、周囲がなだめ続けるのは限界があります。本書は「子ども自身が根本から解決する」方向へ寄せます。読み聞かせの体験から、「ネガティブな気持ちを雲にたとえる」声も紹介されています。

本の具体的な内容

説明文では、本書がフランス発の絵本シリーズであることが示されています。『世界一受けたい授業』でも紹介されたことや、世界75カ国で読まれていることにも触れられています。

物語の軸には、ユニコーンのこども・ガストンがいます。ガストンと一緒に、怒りや恐れ、かなしみなどの感情を手放すための呼吸法を学びます。気分を前向きに切り替えるための「簡単な呼吸法」が中心です。

また、本書はシリーズの一冊として紹介されており、『かなしくなったら、やってみて!』『こわくなったら、やってみて!』も併せて案内されています。感情ごとに“練習の入口”を用意する発想が分かりやすいです。

本書は「感情の名前」だけを教える本ではありません。呼吸という行動をセットにします。だから読み聞かせのあとに、そのまま実践へ移れます。例えば、怒りが強いときは言い合いになりやすいです。そんなときほど、まず呼吸へ戻す方が安全です。

説明文には「ネガティブな気持ちを雲にたとえる」体験談も出てきます。雲の比喩があると、感情を“自分そのもの”と同一視しにくいです。「怒りの雲が出ていった」と言えるだけで、気持ちは少し離れます。この距離感が作れると、謝る前に落ち着けます。

類書との比較

子どもの感情教育の本は、大人向けの解説が中心になりやすいです。その点、本書は子ども本人の体験に寄せています。呼吸法という具体があるので、読んだ直後に試しやすいです。

一方で、理屈を深く知りたい親にとっては物足りないかもしれません。けれど、最初に必要なのは“理解”より“再現性”だと思います。本書はそこに強いです。

こんな人におすすめ

  • 怒りの爆発が起きやすく、切り替え方を覚えたい子
  • 不安や緊張を抱えやすく、落ち着く練習をしたい子
  • 感情の説明で会話が止まりやすい親子
  • 「落ち着こう」を具体的な行動に変えたい家庭

感想

この本を読んで良いなと思ったのは、怒りを“悪者”にしないところです。怒ること自体は自然です。問題は、怒りに引っ張られて行動が荒くなることです。本書は、その手前で呼吸に戻る道を作ります。

読み聞かせとしても使えます。 子どもが一人で読む練習にも向きます。 気持ちが高ぶると、親は説得を始めたくなります。 そうすると、火に油を注ぎやすいです。 そんな場面で「一緒にやってみよう」と言えるようになります。対応の選択肢が1つ増えます。 感情の扱い方を、生活の中へ自然と置きたい人には合う一冊でした。

おすすめの使い方は、怒ってから読むよりも、平常時に何度か読んでおくことです。落ち着いているときに“呼吸の型”を覚えると、いざというときに思い出しやすいです。子どもにとっては、怒っている最中に説明を聞くのは難しいです。だから、先に練習しておく価値があります。

親側にもメリットがあります。大人も腹が立つ日はあります。 そんなときは「呼吸へ戻る」という共通言語があると、親子の衝突は減ります。 感情のセルフケアを家の文化として育てたい人には、ぴったりだと思いました。

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    佐々木 健太

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