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レビュー

概要

『DIYシリーズ 新版 基本から始める塗りのテクニック』は、DIYの仕上がりを左右する「塗り」を、初心者向けに手順化して学べるムックです。壁、家具、木材、家電、雑貨といった“塗る対象”ごとにポイントを整理し、定番の塗装テクニックに加えて、エイジング(古びた風合いを出す表現)も扱います。巻末には塗料・道具カタログが付いていて、材料選びで迷う段階までカバーする構成です。

DIYは、木工そのものより「仕上げ」で差がつきます。形が整っていても、塗りが雑だと一気にチープに見えるし、逆に塗りが決まると既製品っぽく見えます。本書はその“差が出る領域”を、基礎から固めるための一冊です。

読みどころ

1) 「場所別」の整理が、初心者の失敗を減らす

塗装は、対象が変わると難しさも変わります。壁と家具では塗り方も養生の考え方も違うし、木材と家電では塗料選びの感覚も変わる。本書は壁・家具・木材・家電・雑貨と対象別にポイントを解説するので、「同じやり方で全部やろうとして失敗する」事故を避けやすいです。

2) “手順”が見えると、仕上がりが安定する

塗りは、勢いでやるとムラが出ます。初心者ほど、どの段階で丁寧にするべきか分からない。本書は塗る作業の手順を前提にしているので、作業のリズムを作りやすい。結果として、再現性が上がります。

3) エイジングがあることで、表現の幅が増える

新品っぽさが出すぎると部屋から浮くことがあります。エイジングは好みが分かれますが、「隠す」のではなく「味にする」選択肢を持てるのは強い。DIYの楽しさが一段上がります。

4) カタログがあると、買い物の迷いが減る

塗装の挫折ポイントは、実は作業より買い物です。塗料や道具の種類が多すぎて止まる。本書が巻末に塗料・道具カタログを付けているのは、行動の摩擦を減らす意味で大きいです。

本の具体的な内容

本書は、定番ムックを10年ぶりにリニューアルし、初心者向けに「塗る作業の手順」と「場所別のポイント」を詳しく解説する、とされています。扱う対象は壁、家具、木材、家電、雑貨。つまり、家の中で“塗り替えの需要”が出やすい領域を、まるごとカバーしているイメージです。

壁を塗る場合は面積が大きく、仕上がりも目立ちます。養生とムラのコントロールが重要になります。家具や木材は手で触れるぶん、角や端の仕上げが気になる。家電や雑貨は木とは素材が違うので、同じ感覚で塗ると剥がれやすくなることもある。こうした「対象ごとの罠」を前提にしている点が、本書の設計の良さだと思いました。

また、エイジングを扱うことで、塗装が“保護”だけでなく“表現”になる点も押さえています。DIYは新品風に整えるだけが正解ではなく、部屋の雰囲気に合わせて「少し古びた感じに寄せる」方が馴染むこともある。そうした選択肢を、テクニックとして持てるのは便利です。

巻末の塗料・道具カタログは、実務面で効きます。塗装は、道具の相性で作業効率が大きく変わる領域です。必要最低限の道具を揃えて、まず1回やってみる。その時に、何が足りないかが見えてくる。本書は、その最初の一歩を作りやすくしてくれます。

類書との比較

塗装に特化した本は、建築寄り(壁や外壁)に振れるものと、家具リメイク寄りに振れるものがあります。本書は、壁・家具・木材・家電・雑貨と対象を広く取り、さらにエイジングまで含めることで、家庭内の“塗り直し需要”に対応しやすい構成です。DIYをやる人が最初に触る領域を、わりと漏れなく押さえています。

ただし、専門職の塗装技術を深掘りする職人向けの本ではありません。あくまで「基本から始める」ための設計です。逆に言えば、ここを固めてから専門領域へ進むと、学習がスムーズになります。

こんな人におすすめ

  • 家具や小物の塗り替えをやってみたいが、手順が分からない人
  • 壁塗りに挑戦したいが、失敗したくない人
  • 木工はできるが、仕上げの塗りで完成度が上がらない人
  • エイジングなど、表現としての塗装にも興味がある人

注意点

塗装は、乾燥時間や作業環境の影響を受けやすい作業です。最初から大きいものに挑むより、雑貨や小さな家具など、失敗のコストが小さい対象から始めると良いです。作業の感覚が掴めると、壁のような大物にも取り組みやすくなります。

感想

DIYの完成度を上げたいなら、いちばん投資対効果が高いのは「塗り」だと思います。材料を高級にするより、仕上げを整えたほうが見栄えは変わる。本書は、その基本を対象別に整理し、道具選びまで含めて学べるのが魅力でした。

DIYは続けるほど、家の中に「あと少し整えたい場所」が見つかります。そのときに、塗装の引き出しがあるかどうかで、できることが増える。本書は、そうした引き出しを増やしてくれる一冊です。

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    佐々木 健太

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