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レビュー

概要

『ずるいおかず』は、節約料理本の顔をしながら、実際には「料理のしんどさをどう抜くか」にかなり真剣な本です。節約本というと、安い食材で量を増やす、まとめ買いで頑張る、作り置きを徹底する、という方向へ行きがちですが、この本は少し違います。ラクで、洗い物が少なくて、手間をかけずに満足できる。そうやって自炊の負担を下げた結果、外食や買いすぎが減って節約につながる、という順番で組み立てられています。

タイトルにある「ずるい」は、手を抜くことへの後ろめたさを先回りして消してくれる言葉です。料理は真面目に頑張るものだと思っていると、疲れている日はすぐに破綻します。この本は、最初から頑張りすぎない。そこがよいです。節約とラクさとおいしさの3つを、根性ではなく工夫で両立させようとする本として読めます。

しかも副題が「レシピ&アイデア166」になっている通り、単に166品の献立が並ぶだけではありません。どう省けば楽になるのか、どこまで抜いても味や満足感が落ちにくいのか、という考え方ごと渡してくれる本です。だから読み終えたあとに残るのは、レシピ数の多さより、「ここは適当にしても大丈夫なんだ」という自炊の感覚です。

読みどころ

まずよいのは、「節約のために味を我慢する」空気が薄いことです。安く上げるための発想はもちろん入っていますが、料理そのものがつらくならないように設計されています。手間が少ない、工程が短い、洗い物を増やしすぎない、といった条件が揃っているので、自炊が億劫な日に使いやすい。レタスクラブ系の紹介でも「洗い物が少ない」「手間をかけずに作れる」が強く打ち出されていましたが、まさにそこが本書の価値です。

また、本書は「料理を成立させるアイデア集」としても優秀です。レシピをそのままなぞるだけでなく、どこで省略してよいのか、どの組み合わせならラクなのか、どの程度なら雑でもおいしくなるのかがわかるので、読んでいるうちに自炊の心理的ハードルがかなり下がります。これはレシピの数以上に大きい効果です。一度そういう感覚がつくと、別の料理にも応用が利きます。

さらに、「節約にもなる」と書いてある点が誇張で終わっていないのもよいところです。忙しいときほど、コンビニや外食に流れやすく、結果的に出費が増えます。本書のように、少しズルしてでも家で一品つくれると、それだけで食費の暴走を防げます。つまり節約は、単価の話だけではなく、継続できる仕組みの話だとわかる。そこを自然に教えてくれる本です。

本書が扱っているのは、料理そのものの手順だけではありません。自炊を面倒にするのは、献立決め、後片づけ、余りものの処理、そして「ちゃんとやれなかった」という気持ちです。本書の「ずるい」は、その全部を少しずつ軽くする方向へ効いています。節約本として読むと、この心理面への効き方が意外と大きいです。

類書との比較

一般的な節約レシピ本は、安い食材の活用法や1週間の家計管理に強い一方で、日々のしんどさまでは拾い切れないことがあります。本書はそこに強いです。1円単位で攻める本というより、「もう料理したくない日でも自炊を残す」本です。そのため、節約初心者にも入りやすく、完璧主義で自炊が続かない人ほど相性がよさそうです。

また、時短本とも少し違います。ただ速いだけでなく、面倒の発生源を見抜いて消していく感覚があるので、生活の疲れに寄り添う度合いが高いです。家計本と料理本の中間にある、かなり実務的な一冊だと思います。

食費節約の本は、買い物ルールや作り置き計画が細かいほど役に立つ一方、読んだだけで疲れることがあります。その点、本書は今日の夜にすぐ使える温度感です。厳密な家計管理が苦手でも手に取りやすく、料理本としての即効性と、節約本としての継続性を両立しています。

こんな人におすすめ

食費を下げたいけれど、我慢ばかりの節約は続かない人、平日はなるべく料理に時間も気力も使いたくない人、洗い物まで含めて自炊が面倒だと感じている人に向いています。逆に、本格的な料理技術を学びたい人には少し物足りないかもしれません。

感想

この本の魅力は、「ラクしてもいい」とかなりはっきり言ってくれるところです。料理はちゃんとしなければいけない、節約するならもっと我慢しなければいけない、という圧を受け続けると、自炊はすぐ続かなくなります。本書はその圧を抜いてくれるので、読んでいるだけで少し気が楽になります。

特に印象に残るのは、節約を精神論にしない姿勢でした。続く方法を選ぶから、結果として出費が減る。その考え方はかなり現代的で、一人暮らしや共働きの生活に合っています。料理の手間を減らしながら家計も守りたい人にとって、かなり使い勝手のいい一冊でした。

節約レシピ本を何冊か見てきた人ほど、この本の立ち位置はわかりやすいと思います。最安値を追い込む本ではなく、料理に必要な気力の消耗を減らすことで、結果として散財も防ぐ本です。自炊を家計管理の苦行にしない。その発想に価値を感じる人には、かなり相性のいい一冊です。

本の虫達

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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