レビュー
概要
『角川まんが学習シリーズ のびーる社会 日本の地理 47都道府県・地形・気候他』は、47都道府県をめぐる「日本一周の旅」を軸にして、日本の地理を楽しく整理できる学習まんがです。
物語パートでは、『どっちが強い!?』でおなじみのジェイクたちのもとに、地球外生命体のふえーる君がメッセージを届けにやって来ます。ところが、メッセージのピースを日本各地に落としてしまう。ピースを探すために日本一周へ出発して、各地の特色や地形・気候を学んでいく、という流れです。
実は「地理」って、暗記に寄るとしんどい科目なんですよね。けれど本書は、旅の目的があるから「次はどこ?」「そこってどんな場所?」が自然に気になります。まんが→解説ページの往復で、知識を点ではなく、地図の上のつながりとして覚えやすい構成です。
読みどころ
- 47都道府県を“旅”で通る:地方ごとの特徴が、ストーリーの中で立ち上がります。
- 地形・気候まで一冊で触れられる:都道府県の紹介だけで終わらず、「日本の地形と気候」もまとめて整理できます。
- 「なぜ?」の問いが入る:ただ覚えるのではなく、理由を考える形で理解が深まります。
- 言葉がやさしい:先取りや復習の入口として使いやすい説明です。
本の具体的な内容
全体は、まんがパートと解説パートで進みます。冒頭のまんが「日本一周に出発!」で旅の目的が提示され、そこから北海道地方、東北地方、関東地方…と地方ごとに章が続きます。最後に「日本の地形と気候」をまとめる章があり、締めとして、まんが「日本一周を終えて…」で旅が一段落します。
地方別の章では、都道府県ごとの特色や産業、グルメ、伝統文化といった話題に触れながら、地形や気候の違いにも目が向くようになっています。たとえば、同じ「海が近い地域」でも、海流や地形によって気候の感じ方が変わる。こういうズレが、地図を見る動機になります。
そして、学習として効いてくるのが「なぜ?」の問いです。「なぜこの地域ではこの産業が盛んなの?」「なぜこの地形ができたの?」といった形で、知識に理由がくっつきます。暗記で一度は覚えても忘れがちなポイントを、納得で支えてくれるのが良いところです。
解説ページは、写真つきで情報が入ってくるタイプです。地形や気候の話を、文章だけで追うのは意外と難しいので、視覚があるのは助かります。また、遊び要素として「ふえーる君からの挑戦状」クイズがあり、読みっぱなしになりにくい設計です。さらに、旅の中で落としたメッセージピースを“いっしょに探す”しかけも入っていて、ページを戻って確認する行為が自然に復習になります。
使い方のコツ(家庭学習・テスト対策)
個人的におすすめなのは、最初は細かい用語を気にせず、まんがをテンポよく読むことです。旅のルートを頭に入れてから解説ページへ戻ると、「この話はここにつながる」が見えやすくなります。
次に「なぜ?」の問いだけ、ノートや付せんに一言で答えを書いて残します。正解をきれいに書くより、まず自分の言葉で説明するのが大事です。説明できない箇所が、復習ポイントになります。
時間がある日は、「ふえーる君からの挑戦状」クイズを家族で出し合うのもおすすめです。クイズに答えるときは、解説の文章をそのまま読むより、地図や図を指さしながら説明するのがコツ。言葉と場所が結びつくので、定着が早いです。
テスト前は、地方ごとに見出しだけを追って、地図の上で思い出す練習が効きます。47都道府県は量が多いので、「地方→県→特色」の順で階段を作ると、記憶が崩れにくいです。
注意点
広く学べる分、各テーマは“入口”の濃さです。中学受験レベルで深掘りしたい場合は、資料集や問題集を併用すると安心です。
また、地理が得意な子には物足りない可能性があります。逆に、地理が苦手な子や、まだ習っていない子の最初の一冊としては相性が良いと思います。
こんな人におすすめ
- 地理を「暗記だけ」にしたくない小学生
- 47都道府県の特色を、楽しく一通り押さえたい人
- 授業の先取りや復習を、学習まんがで回したい家庭
- 中学受験に向けて、土台を固めたい人
感想
この本の良さは、情報の量よりも「覚え方」を作ってくれるところだと思いました。旅のストーリーがあるから、地方の並びが頭に残る。そこに解説が乗るから、知識がつながる。実はこの順番が、地理にいちばん必要なんですよね。
47都道府県の学習は、どうしても“作業”になりがちです。けれど本書は、「日本のことを知りたい」という気持ちを先に立ててくれます。学習の入り口が重い子ほど、試してみてほしい一冊です。
先取りの段階でも「地図を読むのって面白い」と思えると、その後の暗記がぐっと楽になります。本書は、そのきっかけ作りが上手いです。