bookworms創刊に寄せて - 本好きが集まる場所を作りたかった

はじめまして、編集長の高橋です
皆さん、はじめまして。bookworms編集長の高橋啓介です。
今日、私たちは新しい書評メディア「bookworms」をスタートさせます。このサイトを立ち上げるまでに、実は3年もの時間がかかりました。なぜそんなに時間がかかったのか、そしてなぜ今、このタイミングで始めることにしたのか。その理由を、私の個人的な体験を交えながらお話しさせてください。
息子の「なんで?」が教えてくれたこと
2020年に息子が生まれました。今年で5歳になる息子は、最近「なんで?」の質問攻めです。先日も寝る前の読み聞かせで「ぐりとぐら」を読んでいたら、「なんでカステラは黄色いの?」「なんで森に住んでるの?」と矢継ぎ早に質問が飛んできました。
その時、ふと思ったんです。私たち大人も、本を読む時はもっと「なんで?」を大切にすべきなんじゃないかと。
大手出版社で編集者として働いていた頃、私は数えきれないほどの原稿を読み、著者と議論を重ね、本を世に送り出してきました。でも、いつの間にか「売れる本」「話題になる本」ばかりを追いかけるようになっていた自分に気づいたんです。
独立してブロガーとして活動を始めてから、改めて「読者」として本と向き合うようになりました。年間200冊以上読む中で、ビジネス書の理論を実際に試してみたり、健康本の内容を論文と照らし合わせてみたり。すると、本の内容が単なる「情報」から「生きた知識」に変わっていくのを実感したんです。
このアプローチの一例として、『ファスト&スロー』から読み解く人間の思考システムでは、ノーベル経済学賞受賞者の理論を現代の視点から分析し、実践的な活用法を提示しています。
なぜ今、bookwormsなのか
個人ブログでの発信は楽しかったですが、限界も感じていました。一人の視点、一人の経験では、本の魅力を十分に伝えきれない。もっと多様な視点から、もっと深く本を読み解きたい。そんな想いが日に日に強くなっていきました。
そこで思い至ったのが、「本好きの、本好きによる、本好きのためのメディア」というコンセプトです。
世の中には素晴らしい書評サイトがたくさんあります。でも、私が作りたかったのは、単に本を紹介するだけの場所ではありません。本を読んで「実際にやってみた」結果を共有したり、古典を現代の視点で読み直したり、必要なら最新の研究と比較したり。そんな「生きた書評」ができる場所を作りたかったんです。
個性豊かな仲間たち
このビジョンに共感してくれた3人の素晴らしいライターと一緒に、bookwormsをスタートできることを本当に嬉しく思っています。
森田美優さんは、28歳のZ世代ライター。大手出版社での編集経験を活かし、話題の新刊から漫画・コミックまで幅広くカバーしてくれます。SNSでの書評活動が評価されている彼女の視点は、私にはない新鮮な発見をもたらしてくれるはずです。
西村陸さんは、京都大学大学院で認知科学を研究する26歳の博士課程学生。週に10冊も本を読む彼は、難解な学術書も分かりやすく解説してくれます。科学と文学の交差点から見る世界は、きっと皆さんの知的好奇心を刺激することでしょう。
佐々木健太さんは、38歳の元外資系コンサルタント。2児の父として子育てに奮闘しながら、健康・経済・教育の本を「ROI」の視点で検証してくれます。同じく子育て世代の私としても、彼の実践レポートには期待しています。
これからのbookworms
私たちは、以下の3つの約束をします。
第一に、エビデンスベースの情報発信。憶測や感想だけでなく、可能な限りデータや研究に基づいた書評を心がけます。
第二に、実践可能な知識の提供。「読んで終わり」ではなく、実際に試せる、生活に活かせる知識をお届けします。
第三に、多様な視点からの考察。4人のライターがそれぞれの専門性と個性を活かし、一冊の本から多面的な価値を引き出します。
一緒に本の世界を楽しみましょう
最後に、私が大切にしている言葉をお伝えします。
「知識は実践してこそ価値がある」
これは、編集者時代にある著者から教わった言葉です。どんなに素晴らしい本も、読んだだけでは単なる情報に過ぎません。それを実践し、自分の人生に活かしてこそ、本当の価値が生まれる。
bookwormsは、そんな「実践する読書」を応援するメディアでありたいと思っています。
実際に、私たちのライターがどのような記事を書いているか、いくつか例をご紹介します。森田さんの28歳、お金の教育がすべて。『100歳時代のお金の教科書』を読んで人生の優先順位が激変した話では、若い世代の視点からお金の教育の重要性を説いています。西村さんのなぜ「やる気が出ない」のか?認知科学が解明した脳内メカニズムと5つの科学的対処法では、最新の研究成果をわかりやすく解説しています。
新刊のベストセラーから、時代を超えて読み継がれる古典まで。ビジネス書から純文学まで。あらゆるジャンルの本を、私たち4人が全力で読み解き、皆さんにお届けします。
時には失敗談も正直に共有します。すべての本が素晴らしいわけではないし、すべての理論が実践で成功するわけでもない。でも、その試行錯誤の過程こそが、次の一冊を選ぶヒントになるはずです。
bookwormsという名前には、「本の虫」たちが集まる場所という意味を込めました。本を愛し、本に夢中になり、本と共に成長していく。そんな仲間が集まる場所にしていきたいと思っています。
これから、どんな本との出会いが待っているのか。どんな発見があるのか。私自身、ワクワクが止まりません。
皆さんも、ぜひこの旅に参加してください。コメントで感想を教えてください。おすすめの本を紹介してください。一緒に読書の楽しさを分かち合いましょう。
本好きの、本好きによる、本好きのためのメディア「bookworms」を、どうぞよろしくお願いします。